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一生付き纏うある問いについて

私は自己紹介が苦手だ。
何回やっても変な感覚になる。
名前があって、生年月日がわかる。
それなりに趣味も特技もあるが、
それが「私」かと言われると微妙な感じがする。

私、「貴方は何者ですか」の類の問いが苦手。
何が好きですか、長所は?短所は?好きなタイプは?
うどん派?そば派?
だがしかし、これは一生自分でしてしまう問いでもあって。
分からなくて、苦しくて、苦手。

映画「キャラクター」を観た。

ざっくり言うと、
「普通」の性格を持った漫画家が、超尖ったキャラの連続殺人鬼に出会って人生も性格も変わる
って映画。

「僕は誰?」みたいなセリフが発せられる度に、
「貴方は何者ですか」という問いを突きつけられた。

「没個性」の山城と、「超個性的」な両角。
対極にいる2人が
関わり、交わり、「入る」ことで、
山城は隠れていた「個性」を知る。

きっと誰も「普通」は居ない。
「普通」は社会が決めた基準。
大勢の人はそこに収まろうと、
自分の何かを隠し、忘れ、生きているだけ。
それぞれにそれぞれの「キャラクター」があって
本当は「普通」なんてたった2文字で表しちゃいけないそれを
大勢が「普通」と言うことにしているだけ。

多分。

だから私にもきっと「キャラクター」がある。
自分を「普通」だと認識してるうちは、まだ甘い。

映画で「普通」と自称したのは山城だけ。
その山城が、「個性」に触れる物語。
そんな風に、まだ触れられる個性があるはず。
序盤のセリフでぱぱっとキャラ説明をやってのけた清田刑事みたいに
「普通」を使わずに自分を表現できる人間になれるはずだ。
てかなりたい。清田刑事めっちゃかっこいいもん。

私は自己紹介が苦手。
「普通」の2文字を封印して、
「普通」を説明する必要があるから。
じゃあ見つけてしまえばいい、
自分だけの「キャラクター」を。

「僕は誰なんだ」

一生付き纏うある問いについて、
また考えるきっかけになった。


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