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一冊の本を媒介に対話すること ~ABD®(アクティブ・ブック・ダイアローグ)の経験~

先日、ABD®(アクティブ・ブック・ダイアローグ)のファシリテーター養成講座に参加してきました。ABD®というのは読書会のメソッドで、集まった人たちが1冊の本を分担してその場で読み、サマリーをつくって内容をシェアし、シェアした内容から感じたことや思ったことをお互いに分かち合い、対話を深めてゆくものです。

 未来型読書法 アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)公式サイト (abd-abd.com) 

私は普段、とある企業内図書館の運営を通じたまなびの場づくりを仕事としています。まなびの場の活性化につなげたいと思い、ABD®を基礎から学んで、実際にABD®を活用した企業内の読書会を定期的に開こうと考えていました。そういうわけで、養成講座の門を叩いたわけです。

 養成講座はオンライン含めて4日間のカリキュラムです。その4日間で何度もABD®を体験し、ABD®がもたらす思考や感情の動き、参加者間の関係性の深まりについて、どのような意味が生成されるのか、理解を進めてゆきました。単に書籍を読み通すということを目的とせず、書籍を媒介として人と人がつながってお互いの違いを認め合い成長してゆくような、そのような学びのあり方を「今ここ」を大事にして生み出すことに価値があると実感しました。

 もちろん、ABD®においても書籍を読んで内容そのものを理解しその内容から学ぶことはできますが、ABD®では参加者同士がお互い助け合い、みんなの力を結集して書籍に書いてあることを紐解いてゆく過程で色々なことが起こるので、ひとりで読むのとは全く違う、大変ユニークな取り組みだと思います。

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 「それで本当に読んだことになるのか?」という疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。養成講座の講師の方が紹介してくれたあるTEDの映像で、「美術館に行ったときに、端から端まで見ようとしてしまうのは、苦しくない?」といった問いかけがありました。私自身はその問いかけに妙に納得してしまい、なるほどABD®のように間接的部分的に書籍に触れることからも受け取れるものは少なくはなさそうだなあ、と考えています。

 ABD®での学びを良質なものにしてゆくには、実施の目的をどこに置くか、と、参加者みなさまのかかわり度合い、そしてファシリテーターのはたらきかけが肝です。共同作業を楽しく進めるには、参加者の方ひとりひとりが持っている個性を発揮して、一冊の書籍から多様なものの見方、考え方をアウトプットできる場であることが必要だと思います。

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 ABD®はオンラインでもリアルでも開催できます。私は、一冊の本を囲みながら、肉筆で書いたサマリーをみんなで眺め、膝を突き合わせて対話するリアルがやっぱりいいな、と思います。オンラインは遠方同士集まれるメリットがあるので、それはそれで捨てがたいのですが…。リアルの、プロッキーでがしがしと紙にサマリーを書いてゆく作業の、ちょっとした高揚感が好きだったりします。

 私のいる企業内図書館では、リファレンス(調べ物の支援)の対応能力を向上すべく、日々研鑽を積んでおりますが、ABD®の企画立案に関しても設定したテーマに沿ってお役立ちの書籍を選定してゆく作業となりますから、ABD®は参加者の方にとってリファレンス的な性質も持ち合わせているな、と思います。参加者のみなさまにどのようなまなびの場を提供できるか、楽しんでやっていきたいものです。

 また、職場以外でも、ABD®の開催ができればと思っています。いろいろなテーマ設定ができると思いますが、キャリアやファイナンス関連の書籍を扱うということも視野に入れ、何か面白い場をつくりたいですね。

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 今回は、一冊の本を媒介に対話することについてお話しました。私は会社勤めとの複業でライフキャリアデザインカウンセラーとして個人や世帯の職業生活設計や資産設計のお手伝いを志しております。保持資格としては国家資格キャリアコンサルタントとAFP(日本FP協会会員)をコアスキルとして、これまでの会社生活や人生経験で学んできたことを活かして会社内や地域社会に向けた価値創造につなげてまいります。ご関心を持っていただいた方、ご相談事がある方は、どうぞお声がけください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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