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映画「マッドマックス怒りのデスロード」第一人者の究極の仕事とは

「やっぱ第一人者は格が違うな…もう出来過ぎです…」

最近久しぶりに観直し、放心状態になりながら感じた感想がコレ。「マッドマックス怒りのデスロード」の驚愕の出来の良さを痛感しました。映画公開当時、2回劇場に足を運んだのを覚えています。

アクション映画に求める全てが、過剰なレベルで盛り込まれている究極のハイテンションアクション映画。

この映画の素晴らしさを改めて整理したいと思います。

「マッドマックス怒りのデスロード」とは

石油も水も尽きかけた荒廃した世界。主人公マックスは、愛する家族を失い、本能だけで生きながらえている。この世界を牛耳るのは資源を独占し、恐怖と暴力で民衆を支配するジョー。ひょんなことからマックスはジョーの軍団に捕われの身となる。マックスはジョーに反逆を企てるジョーの右腕女戦士フュリオサと出会う。成り行きからマックスはジョーに捕われた美女たちを引き連れ、自由への逃走を開始する。背後にはジョーが率いる無法者軍団が迫っていた。果たして、マックスとフュリオサはジョーを出し抜き、安息の地に辿り着けるのか…

「マッドマックス」シリーズの第4作目のこの作品が公開されたのは2015年。全世界で約400億円以上の興行収入を稼ぎ、大ヒット作となりました。

この映画を「単なるおバカアクション映画でしょ」と見るのはあまりに惜しいです。というのも名だたる映画賞を総なめにしている非常にクオリティの高い作品だからです。アカデミー賞では最優秀作品賞、最優秀監督賞を含む10のノミネート。さらに編集、衣装デザインなどの6部門で受賞するという素晴らしい評価を獲得しています。

本作が完成に至るまで、制作が3回打ち切られたり、俳優同士が衝突したりなど紆余曲折があり、何度も頓挫の危機がありました。企画から完成までにかけた時間は15年。それらを乗り越えて上映にたどり着いた奇跡の映画です。

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この映画のここがスゴイ

1.映画史上最高レベルの没入感

「アクション映画に何を求めますか?」と質問されたら何と答えるでしょうか。私の答えはこれです。「2時間の没入感」

時間を忘れて非日常にどっぷりトリップする。
日常と非日常の行き来はココロのストレッチです。そんな「非日常の没入体験」を求めています。そういう意味で今作は無条件で100点満点の出来と言えます。

映画館で観た当時、開幕してからエンドロールまでの2時間、スクリーン以外に意識が移った時間はたったの1秒もなかったと思います。没入感100%。そこには緻密な計算とこだわりが下支えしています。

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2.アイデアとおもてなしの精神

この没入感の背景にあるのは「やわらか頭なアイデアの数々」と「丁寧にもてなすサービス精神」です。

マッドマックスシリーズは1979年公開の核戦争後の荒廃した世界観がブームになったカルトアクションシリーズ。この「世界観」はもはや発明に近く、北斗の拳をはじめたくさんの映画やサブカルチャーに影響を与えました。つまり、擦り切れるほどこすられまくっている世界観と言えます。

今作はその一作目の生みの親のジョージ・ミラー監督が30年ぶりにメガホンを取った作品。このこすられまくった世界観をここまで純粋進化させられるのは「生みの親」がなせる技だと思います。「どや?ホンモノはちゃうやろ?」とドヤ顔している監督が想像できるほど、格の違いを感じます。

そして、ストーリー作り、キャラ設定、小道具、改造車の全てが愛に溢れたアイデアに満ちています。「んなアホな(笑)」と思えるやわらか頭から生まれたクレイジーなアイデアが続々登場しますが、マッドマックスに求めているものは正にその「クレイジーな世界」です。

それを100%の純度で伝えたいという、監督のサービス精神に頭が下がります。クレイジーなアイデアを緻密な計算と、妥協しないクオリティで届けてきます。

これは監督が、観客は何を求めているかを熟知していているということ。「これが観たったんでしょ」とその期待を数倍の密度とスピードで届けてくる監督にはおもてなしの精神を感じます。

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3.誰もが共感するメッセージ性

マッドマックスシリーズには一貫したメッセージがあります。それは「弱者が権力に立ち向かう素晴らしさ」です。今作もマックスは物語の冒頭で車を奪われ、持たざる者、囚われの身となります。この弱者が他の弱者と出会い、結束しながら権力に対して一撃をくらわす。この熱さこそがシリーズに流れるDNAです。

荒廃しきった絶望しかない世界でも、希望を捨てずに戦う。ここに観客は熱くならざるを得ません。

これがジョージ・ミラー監督がずっと描いてきた前向きなメッセージであり、苦節15年の時を経て完成したこの作品自体がこのメッセージを体現しているとも言えます。

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4.シンプルなストーリー

この作品のストーリーは極めてシンプルです。荒野を逃げる者と追う者の話。最初から最後までトラックで爆走し、ただただ逃げる、追いかけるが続きます。この潔いシンプルさも魅力です。

このシンプルな設定の上でドラマを作り、人間を描き、感動的な見せ場を組み立てています。爆走するストーリーはスピード感が大切ですが、速さを感じるための「緩急」が巧みに設計されています。時にスローダウンし、一気に加速する。さながらジェットコースターのような落差を感じる。これこそ娯楽映画の醍醐味ではないかと思います。

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5.ホンモノであること

この作品の魅力は何と言ってもアクションシーンのクオリティの高さ。監督はCGを極力排除したと明言していますが、ど迫力のアクションシーンは人がカメラの前で実際に演じています。「いや、それ死にまっせ」のレベル。観ている側が恐怖すら覚えます。

公開後の後日談で主演のトム•ハーディとシャーリーズ•セロン、ミラー監督は毎日の様に喧嘩し衝突していたと言います。それはアクションシーンの過酷さから。リアリティを追求するミラー監督の撮影は正に命をすり減らす期間だったと言います。

旧シリーズでは撮影時に死人まで出したと噂された激しいアクションが、さらにグレードアップし、シリーズ史上最高レベル、いやアクション映画史上最高レベルで登場します。この妥協を許さないホンモノへのこだわりが作品に緊張と興奮を与えています。

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まとめ

「マッドマックス 怒りのデスロード」はクレイジーな描写が連続するハイテンションアクション映画です。そのクオリティの高さは、かけた時間と緻密な計算と、妥協しないホンモノのアクションが融合して生まれています。

この作品を観ると「はじめに創った人間が一番考えてるし、一番スゴイ」ということを学べます。プロフェッショナルの仕事に触れられる傑作です。

また、2時間の没入体験を約束できるマインドフルネスムービーとも言えます。観た後は小さな悩み事は吹き飛んでいること間違いなしです。

まだ観ていない方、そして一度観た方も是非改めて観ることをオススメしたい、至高のアクション大作です。是非ご鑑賞ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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