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安全に食べる=農薬&肥料の使用不使用“ではない”話。【八百屋から見た“食”no.13】

栽培期間に起こり得るあらゆる病害・虫害・天候不順を経験されながらも、いわゆる栽培時農薬不使用(≒オーガニック・無農薬)の生産者皆さんのポリシー。敬意しかありません。美味しい状態にまで仕上げ、当店に出荷される農薬/化肥不使用の生産者も多数いらっしゃいます。お世話になってます。

しかし

“病気治す効果”とか
“栄養価高い”とか
“安全に生で食べれる”とか
栽培時農薬不使用という事実に関係しない『変なユメ・過剰な期待・誤った内容・煽り』を販売者(私)がしてはオシマイと強く心に留めています。

商品紹介・内容説明でよく見る以下の“3つの表現”
・農薬不使用
・化学肥料不使用
・無農薬/無施肥(←無○○と本来表記してはいけない)
これらを外しても文意はほぼ成立します。

ちなみに「丁寧に」を外しても成立します。雑に作ってお客さんに渡したい生産者は居ません。どの売場に並ぶ野菜も、丁寧に管理し栽培しなければ収穫(商品化)までたどり着きません。

野菜を食べれば一定の栄養が摂れます。“食べて健康になる”文脈に農薬使用不使用はほぼ寄与しません。モノの出来は、生産者の力量(品種/時期/肥培管理/鮮度/熟度)に依るところが大きく、“無〇〇”と呼ばれる栽培方法&農産物だけが特別な効力を発揮するわけではありません。

生産者同様、購入されるお客さんひとりひとり、農産物に対する農薬使用不使用(天然/合成関係なく)のチョイスは好き嫌い(生きざま)で片づけて構いません。農薬を使わないという厳しいルールの中で集まった生産者とファン。それ以上でもそれ以下でもありません。無用な期待は生産者にとってもプレッシャーでありストレスです。過剰なまでにイイモノと後押しする販売側・イイモノと刷り込まれて拡散する情報発信側には【何考えてんの】と常に申し続けています。

安全に美味しく食べる5項目

◆農薬肥料使用不使用と食品衛生はまったく別問題
◆安全に洗わず生で食べたい⇒無菌滅菌の植物工場(+液肥)が理想なのか?
◆(野菜の)美味しさは生産者の力量と時間経過の掛け算。
◆農薬肥料使用不使用の差より“誰が作り・いつ採れて・誰から買った”か。
“安全に食べる”最優先はアレルゲン回避。次点で雑菌回避(水洗い+調理)。

『変なユメ』に少しでも期待感をもって無農薬コレクターをこじらせるより、いろいろ食べて美味しいと思える瞬間を大切にしてください。美味しいと思えた生産者・売場もぜひ買って支えてください。都内小売店ではなかなか美味しいと思える買い物は叶いません。


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