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剣術がいくつもの剣術流派の分派や統合を繰り返し現在の現代剣道に収斂した話

今回の話は、久しぶりに武道に絡む話題を書いてみたいと思います。

江戸時代の頃の、中期以降の時代から幕末にかけての話ですが、当時の剣術流派のほとんどは、伝統のある名の知れていた剣術流派から枝分かれしたものだったようです。

過去からの伝承の中で、師と仰ぐ人の流派を学び、その師を何人も変えて学んだことにより、いくつもの流派の特徴が混在して受け継がれていったこともあったようです。

そうやって複数の流派の特長を、修行した人物が組み合わせたり併修したりした結果、名乗る流派も増えていき、それこそ流派の数は当時の実力ある剣術家の数だけ存在したと考えてもおかしくなかったのでしょう。

そういう状況が変わったのは、明治9年の明治維新後に、佩刀禁止令の太政官布告が出されたことで、雨後の筍状態だった剣術流派は、まもともに衰退の波を被ってしまい、一気に衰えてしまったのですね。😥

当然ながら佩刀禁止令は、この世の中から名実ともに武士階級を消し去ったわけで、肝心の武士が存在しなくなったことで、剣術流派もその存続基盤を失うことになりました。

ちなみに、銃砲等所持禁止令が昭和21年に施行されるまで、佩刀禁止令は有効な布告として存在していたものの、銃砲等所持禁止令が昭和29年に施行されたことで、佩刀禁止令はその実効性を無くしたとして廃止されました。

前述の昭和という年号を振り返ると、武士階級や侍という存在がそんなに大昔の話ではなく、意外に身近に感じる時代までその影を引きずっていたことにびっくりです。😲

ついでにいうと、佩刀禁止令では帯刀することを禁止したのであって、刀を所持したり保有することまでを禁じたわけではなかったのです。

そういう佩刀禁止令なものだから、禁止令に反発した元武士たちは刀を差さなければかまわんのだろうと、腰に差す(帯刀する)のではなく、肩に担いで歩いたり、刀袋に刀を入れて持ち歩いたそうなんですよ。😓

まだまだ時代的に元侍ということで、気骨のある人物が多かっただろうから明治新政府も、相当手こずったのではないでしょうか。


さて、ほとんどの剣術流派の源流は、元を辿っていけばその源流は3つか4つの流派にたどり着くのですね。

まず3つの流派でわけるときには①陰流、②新当流(鹿島新當流)③念流という3つの流派に分けるのですが、これに③念流の流れをくむ④中条流を加えた4つを、剣術流派の源流として兵法四大源流と呼んでいます。

失伝せずに現在まで伝わっている剣術流派は、その源流がこの4つのどれかである可能性が高いのですが、これらを修行し免許皆伝で奥義を極めた剣豪たちは、自分で新たに流派名を名乗り一派を興すわけですね。

そういう繰り返しで流派が次第に枝分かれしたり、枝同士がくっついたりまた他の枝と組み合わさったりして、奥義を比較したらあまり違わない流派が乱立したのでしょう。


ちなみに、我が郷土の薩摩においては示現流という剣術流派が知られていますが、そのルーツを辿ると天真正自顕流てんしんしょうじけんりゅうという流派にさかのぼることができ、その源流はというと②新当流(鹿島新當流)になるのです。

天真正自顕流の相伝を受けた流祖の東郷重位とうごう ちゅういが、それまで修行して免許皆伝だったタイ捨流とのいいとこ取りで、創意工夫した流派が薩摩示現流になるのですね。

このタイ捨流にしても、上泉伊勢守の名でも知られる「上泉信綱」から別れた流派であり、上泉信綱は兵法三大源流のうちの①陰流を工夫して、新たに新陰流という流派を起こしたというわけです。

独特な裂帛の気合とすさまじい剣風で知られる薩摩示現流でさえ、その源流を辿っていくと、兵法三大源流の1つ③念流・香取神道流にたどり着くということです。

このことでも理解できるように、由来している流派というのが三大源流や四大源流のどれか1つだけという流派は、そもそもの源流派にしかあり得ず現在まで伝わっている流派のほとんどは、混血流派というわけですね。(^_^)b


そうやって現代剣道として伝わっているわけですが、現代剣道にしても当然ながら源流はこの兵法三大源流か四大源流にあるのは当然ですが、今は1つに絞られていますよね。

前述したように、廃刀禁止令のあとのゴタゴタした明治以降に、当時の剣術の達人と呼ばれた方々の尽力によって現代剣道の基礎が固まったのです。

そして、第二次大戦での敗戦による連合国最高司令部(GHQ)による占領下での武道禁止令の苦難を乗り越えて、今の学校教育にふさわしい教程に修正された上で、現代剣道が完成したのですね。

そういう観点からみると、昔の剣術と現代剣道は似て非なるもの、であるということです。

さて、次は現代武道の中でも外せない柔道と空手道について、話題にしたいと思いますが、明日の記事ネタにしようかと考えています。


ってことで、今回は
剣術がいくつもの剣術流派の分派や統合を繰り返し現在の現代剣道に収斂した話」という剣術が現代剣道に至るまでの四方山話でした。(^_^)b


では!

剣の道  人を斬らずに  のほほんと


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