20年の時を経て、届いたもの(おじいちゃんからの贈り物)
飛行機の窓の外には、空と海の境界が溶け合って見えない水平線が広がっていた。私は読み終えた本を膝に抱え、その景色を眺めながら、ぼんやりと感慨に耽っていた。
この本をやっと読めた喜びと同時に、もうおじいちゃんと話せない寂しさが心をよぎった。彼は私が大学院を卒業するより少し前に亡くなってしまった。
小学校5年生の頃、おじいちゃんが、私が本好きだと聞いて、喜んでプレゼントしてくれたその本は、ヘルマン・ヘッセの「車輪の下」。昔は高校で英語の先生をしていたおじいちゃん。私にとっての彼は