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村の昔の生活史

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昭和43年から続く小さな村の広報誌。ページをめくると大野見の歴史や民話、暮らしぶりが記されている。 そこには歴史の教科書に出てくる偉人など一人もいない。
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2023年4月の記事一覧

宴と殺人と祈りの神社。

宴と殺人と祈りの神社。

蝉時雨のなか、松葉川温泉を後に併用林道、さらに営林署の専用林道(鈴が森へと続く)を上ると三ツ又部落の飛地、高山へ到着した。 藩政時代から昭和三十年代まで生活を営んで来たこの部落も無言の里となり約二十年を数え、耕すことなくして十余年を経る。かつての住居跡も耕地跡も、葛(くず)と竹とに覆われて、いずこか定かではない。

本広報九十八号(昭和四十九年 五月号)での高山の部落探訪には耕地面積一町五反とある

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農民にひかれた生産技術が文化を作る

農民にひかれた生産技術が文化を作る

私は大野見に来てから米を作っている。
およそ半年、手塩に掛けて主食を自給するのは、野菜を育てたり、
野生動物を狩るのとはまた違う気持ちよさと安心感がある。

と、同時に米作りが他とは違い、いかに協働的な活動で、
地域のつながりを要するか思い知らされた。

それが心地よいか悪いか。

ともあれ、昔からこの村で脈々と営まれてきた稲作が
この土地の雰囲気や村民性を構成する濃い要素なのではないかと実感した

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