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2ヶ月留学して良かったこと、所見

 人間はひとくきの葦にすぎない。自然のなかで最も弱いものである。だが、それは考える葦である。

(出典)ブレーズ・パスカル/パンセ

10月も終わろうとしている。

 9月初めから台湾に留学し、激動の2ヶ月が過ぎた。その流れの中で、私が得た留学の良いところ、乃至は所見を紹介したい。
  
 「紹介」というと、些か上からになってしまい申し訳ないが、一学生が実際に体験し、五感で感じ取った留学をする意義についてを、あくまでフラットな目線で読んでもらえるとありがたい。 
 



 留学する上で最大の目的、および利点はなんだろう。

 留学前は、<語学を習得する>ことを目標に掲げ、意気揚々と台湾に乗り込んできた。その思いは変わらず、今も頑張っている。

 しかし、2ヶ月経ち現在の私が考える留学の最大の目的、利点は違うところにあると考える。

 それは、 <考えて、失敗することができる> ということだ。



 母国に住んでいて、あなたは一日に何回の失敗をするだろうか。
(「失敗」と言うのは、携帯を無くす、道を間違えるといったものではなく、学びにつながると言う意味での「失敗」である。)

 環境に慣れきり、同じ毎日を繰り返す我々は、「考える」と言うことを無意識にしなくなる。言い換えれば、日常生活で「障壁」と言えるものがなく、平坦な道をただ歩くだけの日常になりがちである。

 これには日本を蔑んだり、日本にいる人々を貶す意図はさらさらない。ただ日本にいた時の自分の生活を振り返り、傾向としてそう感じた。それだけである。

 では、留学にはどのような障壁があるのか。挙げればキリがないが、ざっと「言語」「文化」「環境」「為人」などだ。

 このような障壁を乗り越え生活するためには、必死に考え、もがき、失敗し続けるほかない。その中で少しずつ学び、成功体験を増やす。これが自己成長への一番の近道だと考える。

 留学生活では失敗するかもしれないと言う可能性がそこら中に転がっていて障壁だらけだ。しかし、言い換えれば自己成長できる機会が無数に存在しているのである。

 私も恥ずかしながら数多くの失敗をしてきた。例えば、鞄(包包bao1bao1)のことをハグ(抱抱bao4bao4)と言ってしまったり、タピオカ店員の台湾独自の発音が聞き取れず、(44をスー4スー2スー4と発音する)自分の番号が呼ばれているかどうかもわからず、延々待ちぼうけてしまったり、失敗ばかりだ。




 幸運なことに台湾人の友達がたくさんできた。だが、彼らが私に向けて発する言葉はもはや暗号のようである。
 かといってわからないからそこで思考を停止させるのではなく、意図を最大限予測し、少しでも自分の考えを伝え、言葉にする。今は意図の半分も汲み取れないし、帰ってくる言葉は軒並み「什麼意思」だが、そのような失敗を数多くする中で、自分の考えや感じたことが相手に伝わった時の自己成長感は計り知れず、さらに勉強を継続していくモチベーションにつながる。

 このような経験を数多く積めるということは本当に貴重なことであり、同時に机上では得れない学びを享受していると強く感じる。これこそが留学する上での最大の利点であると考える。


 
かのブレーズ・パスカルは、人間を「葦」というとても弱い植物に例えた。だが、そんな「葦」の我々も、<考える>ことで宇宙を超越できる。とも言った。

 私は矮小な存在に過ぎず、何も成し遂げていないただの20歳大学生。

 そんな何者にもなれていない私ができることは、思考を止めずにたくさんの失敗体験を積み、あわせて失敗に比べればほんの少しだけの成功体験を積む他ない。

 人間として大きくなれる無限の可能性は、留学に限らずあなたの周りに無数に広がっている。私の環境とあなたの環境は全く違うが、そこで得たたくさんの経験をいつか私に話してほしい。

 私は残り4ヶ月の留学生活を、私は精一杯生きる。のみである。 

「複雑な気持ち」だなんてシンプルで陳腐でいいね気持ちがいいね

(出典)桝野浩一/てのりくじら

 

 

 

 



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