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【連載】やっぱりここが好き! ハワイのごはん

写真家・市橋織江さんが長年にわたり撮影してきたハワイの写真がカレンダー『ハワイ 市橋織江 Hawaii 2024 Orie Ichihashi』になりました。このカレンダーに言葉を添えるのは市橋さんと多くのハワイ本を手掛けてきた編集・ライターの赤澤かおりさん。ここでは、赤澤さんによるハワイの思い出やエピソードを連載にてお伝えします。今回はその第二弾です。

プロフィール:赤澤かおり Kaori Akazawa
料理と旅、暮らしまわりのことを中心に執筆・編集を行う。ハワイ渡航歴150回以上。『THIS IS GUIDE BOOK IN HAWAII』『Travel Hawaii』(ともに主婦と生活社)、『Hawaii note ハワイ手帖』(KADOKAWA)などハワイにまつわる著書多数。最新刊は『人生にはいつも料理本があった』(筑摩書房)。Instagram:@kaoriakazawa.akalohasunny

(執筆・写真 赤澤かおり)

【その2】やっぱり大好き、ローカルフード。なんだかんだで結構定番に行きました。

 ハワイに行って何が食べたかったかって、やっぱりこの大盛りでゆるやかな、ローカルフードがとにかく食べたかったんです。市橋織江さんとのカレンダーの写真を選んでいるときにも懐かしいローカルフードのお店の写真がいくつも出てきて、そのたびに口の中や頭でその味わいを思い出しては、どうにかこうにか食べたい気持ちをおさえるのに必死でした。だから久しぶりのハワイではあれもこれもと思っていたので、ちょうど滞在が同じタイミングだった、一緒にハワイの本を書いてきたコーディネーターの内野亮さんとともに毎日忙しく、あちこち食べまくってきました。
 今回は「その2」ということで「その1」に続いて出かけてきた、懐かしのローカルフードをご紹介いたします。

ワードエリアにある「アサヒグリル」の外観。渋い、w
ハワイの本を共に書き続けている相棒、内野亮さん。
これが大好きなセット!

 ハワイ好きなら誰もが知っているここはワード地区にある「アサヒグリル」という食堂。名物はオックステールスープ。もともとここは、アイエアというエリアにある食堂「カピオラニコーヒーショップ」のオーナーがオープンしたお店で、ここワード店とケアモク店があったんですが、1年くらい前にケアモク店がカイムキエリアにお引越し。なんだかちょっと小綺麗でおしゃれ?になっていて、パーキングもどえらく広くて、あれれれれ?と思っていたんですが、ワードにある1号店のゆるい感じはこの通り健在で、ホッといたしました。オーダーしたのはもちろん定番中の定番、オックステールスープとマカロニサラダ。
 オックステールスープの食べ方は皆、それぞれ好みがありますが、私はこの骨付き肉を小皿に出し、テーブル脇に置いてある生姜のすりおろしをのせ、醤油をたらしてからめながら食べるのが好き。で、お椀にご飯をちょこっと入れてそこにスープを注いで汁かけごはんにしたりしながら食べています。それにしてもおいしい! ご存知のようにハワイはどこも大盛りなので、1人前を2人でシェアするので十分。まだまだいろいろ食べたいしね。

「Asahi Grill」
515 Ward Ave., Honolulu
808.593.2800


バナナパンケーキはここのが私のお手本。

 カイムキにできたおしゃれなカフェに行こうと思ったら、長蛇の列。ま、そりゃそうだってことで、ローカルのおじいちゃんとおばあちゃんカップルしかいない、すぐそばの昔ながらの朝ごはんのお店へ。ここは1988年にカネオヘエリアにオープンした「コア パンケーキ ハウス」。コアウッドを贅沢に使った造りのカネオヘ店は、90年代初め、私の憧れでした。今は、訪れたカイムキ店を含め、オアフ島で7店舗も展開する朝ごはんのチェーン店になっていますが、当時は可愛かったんですよ、メニューもお店の造りも。しかも残念なことに1号店だったお店は違う名前のお店に……。
 昔はペーパープレートではなく、陶器の器でしたが、今はファストフード的な感じになっていてちょっとショックでした。が、味はほぼおんなじ! バナナの薄切りが焼き込まれたもっちりパンケーキは1枚からオーダーできるので、今の私の胃袋にもぴったり。カリカリベーコンを合いの手に、ゆるゆるとした空気の中、友人とここ数年の日々を報告し合いました。気付けば店内にいたおじいちゃんとおばあちゃんは帰り、代わりに違うおじいちゃんとおばあちゃんが。2組とも隣同士に座って仲良く1つのパンケーキを分け合っていたのがかわいかったー。
 なんとなく時代の流れを感じずにはいられなかった、ちょっとセンチメンタルな気持ちになった朝でした。

「Koa Pancake House」
1139 12th Ave., Honolulu
808.739.7778


蒸し暑い日にはこの氷入りのシャリシャリスープが最高!

 いち早くハワイへ出かけていた友人たちが口を揃えて言っていたのは、新しいところよりも慣れ親しんできた昔ながらのお店についつい行ってしまうということ。わかるなぁー、その気持ち。なかでも「やっぱり行っちゃったよー」という声が多かったのはここ。韓国冷麺と焼肉のお店で、アラモアナセンターの裏手辺りにあった頃には、行くと誰かしら知り合いに会うくらい、2000年の初め頃はとにかく混んでいて、日本人の観光客もローカルも大勢押しかけていた印象があるところでした。
 今回訪れたのはこってりしたごはんの食べ疲れで、何かあっさりしたものが食べたかったからなんですが、なんかやっぱり落ち着くー。シャリシャリとした氷が浮かべられたほんのりビネガーがきいたあっさりスープに麺をからめながらいただくこの感じ。最近はこの味が家でも食べられるようにとインスタントが発売されたとか!? まだ食べていませんが、次回はチャレンジしたいなー。

「Yu Chun Korean Restaurant」
1159 Kapiolani Blvd., Honolulu
808.589.0022


ザ・炭水化物。だけどやめられない。

 ちょっと遅い時間になってしまったとき、金欠のとき、真っ先に思い浮かぶのは、ハワイのファミリーレストラン「ジッピーズ」。夜遅くまで友人たちとおしゃべりしながら、スイーツを食べたり、遅くまで遊んだ後にサイミンを食べに来たり、飛行機に乗る前にはハワイの味を飛行機の中で食べたくて、ジップパック(お弁当)を買いに走ったり、と思い出の多い、頼りになるレストラン。
 内野さんは、チリフランク。私はサイミンとマカロニチーズ。デザートにジェロパフェをオーダーしたかったんですが、悲しいことにメニューから消えておりました、涙。これが、なぜだかときどき無性に食べたくなってしまっていたんですが、もう食べられないのかと思うと、ますます恋しい……。どれもこれも両手を上げておいし~!というほどではないんですが、気づくと足が向いてしまう、なんとも不思議な、やっぱり大好きなレストランなのです。ところで、最近こちらは、ラスベガスにもチェーン展開したそう。そこは何か違うメニューがあったりするのかしら!? ラスベガスのお店にも行ってみたい!

「Zippy’s Makiki」
1222 S.King St., Honolulu
808.594.3720


ずっと変わらないノスタルジックな店内。
これで小さい方のサイズです、w
こうやって別盛りできたお肉を熱々スープにイン!

 何十年も前から長い列が絶えなかったチャイナタウンのフォー屋さん。20代の頃から通い続けているここはノスタルジックな店内の雰囲気をはじめ、スープの味、ちょっともっちりした麺の感じ、添えてあるハーブやライムの量もたっぷりでとにかく好み。長い列ができていた頃は、浮気してすぐ近くのフォー屋さんに行ってみたりもしたけれど、やっぱりここのが好きだなぁと、久しぶりに食べて思いました。
 編集をお手伝いした2023年の夏に発売したハワイ生まれハワイ育ちの友人ショーン・モリスの著作『ハワイローカルグルメ完全ガイド』にも書いてありましたが、ハワイに住んでいたにもかかわらず、あまりに長い列が苦手で何十年も行かなかったけれど、あるとき意を決して並んで食べてみて、このおいしさの虜になってしまったと。それくらい長い列が絶えなかったお店ですが、ここ数年はずいぶんと落ち着いていて、ランチどきをはずせば案外スムーズに入れます。
 私がいつも頼むのは、このレアステーキのフォー。女性なら小さいサイズで十分。で、レアステーキを別盛りにしてもらって自分でスープに入れて肉の加減を調整しながら食べています。少しずつ辛いオイルをたらしたりして味変しながらスープも最後まで飲み干す! あとでちょっと喉が乾くけど、ビールがすすむと思えば、まぁちょうどいい感じですよ。

「Phở Tô-Châu Restaurant」
1007 River St., Honolulu
808.533.4549


2人で1つ。ジュースは2つ。
シェイクとかき氷の間みたいなスラッシュフロート。お試しあれ。

 滞在中、ほとんど出かけたのは、昔から通っているローカルテイストのお店ばかりでした。まだまだいろいろ行きましたが、最後にみんな大好き、ハワイといえばのこちらでのランチをご紹介。
 ミックスプレートがいいという内野さんの意見を無視して、今回は久しぶりということで大定番のロコモコをオーダー。この両サイドにだるーんとたれた目玉焼きと、どこよりも薄い茶色のグレービーソースに、少々焦げた薄めのハンバーガーパテ。あー、懐かしー。なんでしょうかね、この安定感。ここにほんのちょっぴり醤油とタバスコをかけるのが私たちの好み。そして妙齢になった我々、意外と2人で1個でちょうどよし、でした。合わせるドリンクは、ここに来たら欠かせないスラッシュフロート。シャリシャリとした氷が溶けかかったくらいのドリンクで、そこにアイスクリームがのったこのフロートがハワイにいるとちょうどいいんですよね、なぜだか。
 今回、市橋さんと作ったカレンダーにその写真は入りませんでしたが、かつてこのお店の写真が表紙になった本もありました(内野さんとの共著『Hawaii Book』(2008年))。懐かしい~、なんて話をしながら頬張る久しぶりのプレートランチ。やっぱりローカルフードは最高ですなぁ。

「Rainbow DRIVE-IN」
3308 Kanaina Ave., Honolulu
808.737.0177


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