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日記

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創作メモ、展示や日常。
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#しほちゃんはういている

トレンチコートの憂鬱

トレンチコートの憂鬱

 この時期になると、おろしたてのベージュ色のトレンチコートを大量に着た新入社員が憂鬱な顔で、電車に乗っている。はっきりした化粧に、キラキラした瞳が周囲の景色と明らかに調和していない。

 大学の時とちがう。初日に仕事でミスして怒られて、辞めたくなって途中下車した先でみた桜の木がきれいだな、もうちょっと頑張ろう。人から見たらありきたりな悩みだけど、つらい。甘えるなだと、バカヤロー。みたいなストーリー

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テンプレで書く小説

テンプレで書く小説

「2018/12/21」

○概 要感覚や感性、才能など曖昧なものに頼らずにテンプレートや理論で小説を書くための覚書メモ。◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

【作例】

テンプレートを使用した十行の短編小説。

○一行目 人物の登場

例)今日もしほちゃんが、学校に来ていた。

○二行目 人物の紹介

例)彼女は背はスラリとして、色白で首は細く黒髪の目立つ美人である。

○三行目 

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しほちゃんは、ういている#10

しほちゃんは、ういている#10

 大学生の男はしほちゃんの隣に座った。汗くさい。襟がくたくたになったエルトン・ジョンのTシャツからはタバコの匂いがする。腕には青やピンク、黄色のカラフルなリストバンドを付けている。

「入院してんの?」

 しほちゃんは気だるそうに「熱中症」と答えた。大学生の男はその後も、なにかにつけて話しかけてくるので彼女は適当に「はい。うん。へえ。そうなんですか。」など相槌を繰り返した。そんなやりとりが暫く続

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しほちゃんは、ういている#8

しほちゃんは、ういている#8

 東京の気温25度。台風12号がすぎたあとは涼しくなる。きょうは、エアコンがいらないくらいに過ごしやすい。そとにでると植木鉢や空き缶がころがっている。また今年も、破壊の季節がやってきた。

 彼女はお気に入りのブランドのレインコートをまとって、台風の日は外にでる。なぜなら、台風の日はフードを深くかぶっても誰にも怪しまれないし、顔を見られないから最高だ。レインコートは他人からの好奇な視線から彼女を守

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しほちゃんは、ういている#7

しほちゃんは、ういている#7

 雲が照り返して銀色にひかっている。きょうは久しぶりに雨が降った。通学路には連日の猛暑で野良猫がぐったりしている。

「おーーい。ゆうさく」

 ゆうさくと呼ばれた黒が多いぶち猫が、しほちゃんにきづいた。彼女は猫のからだを撫でながら「あついね」「げんき」「ご飯たべてる?」と話しかける。通学路には何匹かの猫がたむろしている。街の住人が餌でもやっているのか。みな警戒心がない。人間がちかづいても、逃げよ

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しほちゃんは、ういている#6

しほちゃんは、ういている#6

 東京の街では、オリンピックのポスターがふえてきた。むかし、アキラの漫画でみた東京オリンピック2020はすぐそこだ。あまり実感がわかない。

 夏のギラギラした太陽がアスファルトに降りそそぐ。陽射しに敏感な彼女は外出する時、パリス・ヒルトンみたいなサングラスをかけている。なぜなら、空を直視するとそのうつくしさに泣いちゃうからだ。いちいち空を見て泣いていては身が持たない。ふつうに生活できない。あおく

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しほちゃんは、ういている#5

しほちゃんは、ういている#5

 しほちゃんは水にいる生き物がすき。学校では、水族館で買ったクラゲのクリアファイルをいつも大切につかっている。通学用のカバンにはダイオウグソクムシの大きなぬいぐるみをぶら下げている。お気に入りのポケモンはヒトデ型のポケモンのスターミーだ。ポケモンGOでは水ポケモンだけにこだわって、集めていた。日曜にテレ東で放送している「池の水全部抜く」は録画してかかさず見ている。将来はこの番組の女性アシスタントに

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しほちゃんは、ういている#4

しほちゃんは、ういている#4

 きょうの気温36度。わたしは制服から財布をとりだし、近くのコンビニにアイスを買いにいった。太陽が肌をじりじりと攻撃する。コンビニまでの道のりがまるで修行のようだ。每日救急車を見かける。熱中症で搬送された人だろうか。アイスがおいてある冷凍庫のしろい冷気がうでにあたり、ひんやりとする。このまま頭をいれてしまいたい衝動にかられた。冷凍庫の中は色とりどりのアイスがひきめしあって、花壇のように整頓されてい

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しほちゃんは、ういている#3

しほちゃんは、ういている#3

 この間、夏休みに入る前の全校集会を蒸し暑い体育館でやった。制服の袖をまくり、ネクタイをゆるめても汗がタラタラと落ちる。うちわ禁止とかありえない。赤い透明な下敷きであおいでいたら、眼鏡をかけた先生に没収された。むかつく。私達は繊細なんだよ。今時エアコン無しとか、しねと言っているようなものだろう。

校長先生の話は、熱中症に気をつけましょうの話を三十分かけてじっくりと話した。どうせなら、YouTub

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しほちゃんは、ういている#2

しほちゃんは、ういている#2

 しほちゃんは、落ちているものを拾うのがすきだ。じぶんが拾ったものをインスタにアップしている。セミの抜け殻。きらきら光る外国のコイン。安物の百円ライター。東京の街はいろんなものが落ちている。

 放課後に拾ったライターで火をつけて彼女が遊んでいると、大きな声で生徒を威嚇する体育教師に見つかり、どこかに連れて行かれた。胸の奥のあたりがヒリヒリする。悪い予感がして、わたしは急いで二人の後を走って追いか

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しほちゃんは、ういている#1

しほちゃんは、ういている#1

きょうの気温36度。金曜日の教室では女子達がMステの話をしている。

「原宿で玉森くんに遭遇しないかな」

 しほちゃんは、教室で誰ともしゃべらない。ずっとスマホをいじっている。わたしはその仕草をそっと見ていた。彼女のTwitterアカウントは、いつも荒れている。しほちゃんはインターネットでからんでくる、見ず知らずのひとに対して華麗にスルーする。いつだったか、土用の丑の日にしほちゃんがうなぎが食べ

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しほちゃんは、ういてる#0

しほちゃんは、ういてる#0

夏休みがせまってきた。中間テストがおわった教室ではクラスメイト同士で、テストの答え合わせをする声が聞こえる。

「現国どうだった?」

「自己採点で60点」

ゆっくりと窓側の席をみると、しほちゃんが透き通るような薄茶色い長い髪を気だるそうに触っている。

しほちゃんは教室でういてる。

彼女はトイレもお弁当も移動教室も、いつも一人でいく。笑っている顔をみたことがない。クラスのみんなが話かけても、

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