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山田(仮名)がちょっと気になる記事

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山田(仮名)の中の人がちょっと気になった記事をまとめています。
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#小説

【小説】パワハラ上司、ダメ社員になる

部下を持つすべてのひとへ。 ある朝、目を覚ますと自分の部下になっていた。 * 見慣れない白い天井、嗅ぎ慣れない布団の匂い。ゆっくり体を起こすと、そこは8畳ほどの散らかった部屋の中だった。6年前に買った3LDKの分譲マンションじゃない。妻も娘もいないし、トーストやコーヒーの香りもしない。 俺は布団から飛び出して、部屋の角にあった姿鏡の前に這っていった。 不健康に白い肌、細い目にハの字に垂れた眉。 この顔は……沢木だ。俺は沢木になっている。 俺の部下である沢木。すぐに

【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第三章 苦痛の葬送曲(レクイエム) 638.プレゲトーン川  丘を下った平原には数え切れないほどの魔核が所狭しとひしめき合っていた。  今更ながらトシ子がコユキに聞く。 「なぁ、本当に魔核はそのままで良いのかい? 直ぐ復活しちゃうんじゃぞい? 挟み撃ち、挟撃の危険もあるんじゃ無いかえ?」  コユキは迷いの欠片も見せずに答える。 「良いのよ、アタシと善悪が消えた後で直ぐにでも協力して除染作業に入って貰わなけりゃならないんだからね! 復活して貰わなかったら逆に困るじゃない

あの沈黙も、あなたからの贈り物。

心のなにか欠けたところ。 カッコつけて言えば、満ちていないところ。 書く時にいつもわたしはそんなパーツを 埋めようとしている。 埋めるってつまり、補填する直したいって ことだけど。 なんでもガムテを張って修理する人が かつて仕事仲間ににいたけれど。 その人が心病んだ時に、ここらへんも ガムテで直せるといいのになって つぶやいた。 ここらへんって、いいながらじぶんの 胸元を指さしていた。 ガムテで心が治るといい。 もしそうなったら、ガムテいっぱい売れる だろうなって

【企画】君にしか見えない【#物語の欠片】

◆ 皆さん、こんにちは! むらさきあやめです! 今日はこちらの企画へお題としての投稿記事です。 興味を持っていただけた方は気軽にご参加ください! ✒企画『#物語の欠片』と参加要項 こちらの企画は、他の人が考えた『ショートショートの前半』または『アイディア』から別の誰かが作品を書くことができるかというもので、新下彗さんのこちらの記事のコメント欄から持ち上がった企画です。 僕は後から企画を知って参加しているのですが、普段とは違った切り口で物語を書くことができてとっても楽

【小説】涙のプレゼント

うーむ、どうしようか。サンタは困りました。 毎年、色々な事情でプレゼントを貰えない子ども1人を くじ引きで選び、当選した子どもの元には プロのサンタが訪れることになっています。 今年選ばれたのは小学2年生の優太。 優太は幼い頃から両親の仲が悪く、 人の顔色を読むことは得意でしたが、 その代わり自分の心にはとても鈍感な子でした。 なので自分が本当は傷付いているのだと気付いたのは 両親が離婚をし、2ヶ月前に引き取り手の城一の元に 落ち着いてからのこと。 しかし、気付いた

堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド) 52.問答の沙門 「つまり、鏡を見たり、自分で自分らしさとか考えるよりも、他人が自分をどう見ているか、他人は自分に何を求めているのか、そんな事を見て、聞いて、その要求に応えていく方が簡単では無いかって事なんでござるよ。 現状だって、自分ってどうだろ? って想像するよりも他者の評価で、ああ私ってそんな感じなんだなって考えたほうが分かり易いでござろ。 自分を知る事って大変な割に、大事な事であろ? 特にこれからの悪魔との戦いに於いては……」

これは事件だ! ADPで紙の本が出せるようになったよ!

今朝Amazon Direct Publishingから届いたメールです。 『Kindle ダイレクト・パブリッシングをご利用いただきありがとうございます。 この度、kdp.amazon.co.jp で紙書籍(ペーパーバック)を出版できるようになりましたことをお知らせします。新しくなったKDPの出版方法を活用いただくことで、さらに多くの読者に作品を届け、売上を伸ばすことが期待できます。 出版方法の活用: 電子書籍だけでなく、マンガを含む、すべてのジャンルの紙書籍(ペーパー

【小説】オン チェアー

「イサム先輩って、小説とか読むんですか?」 エレベーターを降りて会社入口へ向かう途中、 上司との空気感に耐えられなくなったのかまた 塩野が口を開く。汐見だったか。どっちでもいいか。 「俺はねぇ…小説はあんまし読まねえんだよなぁ…。」 「あー…そうなんですか…。 それはなんか、そのぅー、理由とかなんか、 あるんですか?」 ウィーン。 「んー…まあ、そうだなあ。 あんま人に言うことでも無いけど、あるにはあるよ。」 ウィーン。 「あっ、そうですか。それは、その、すいま

声と音で表現することを許された者が送り出した大人の心情なるものをちょっと考える?

今回も誰得?そういえば、デビューから30年経つんですね↓ 歌手としてデビューが1991年、私の多感なお年頃時代から30年…私は戸籍上も偽りなく年齢が上書きされました。この偉大なアーティストとは異なり、私は、ただ無駄に細胞が加齢を迎え、健康診断でメタボを指摘され、目覚めの枕元で加齢臭を嗅いだりと、下り坂な30年を歩んでしまいました。 閑話休題。 坂井泉水を中心に結成された音楽ユニットであるZARDは、楽曲を通して、私たちにたくさんの贈り物を提供してくれました。 そんな贈

【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~

34. 令嬢、破産する ①  少しだけ未来への希望が持てたエマは、足取りも軽くギルドに向けて歩みを進めていた。  そんな彼女に聞き覚えのある声が語り掛けた。 「ん? エマ! お前一人なのか? お付きはどうしたんだ? 」  奇麗に剃り上げられたスキンヘッドがキラリと光る巨漢であった。  エマは答える。 「ストラースのステハムさんではございませんの! 」 「ストラスな、んでもエマ、お前一人で街を歩いてるなんて危なくないか? 何だったらギルド迄送って行ってやろうか? 悪い

葉巻のすすめ

趣味がない私ではあるが 唯一あげるとすると 葉巻 であろう。 映画や舞台鑑賞、読書などは好きだが 仕事の一環としてみてしまうので、純粋に楽しめない。 プロにもならず、本当に趣味に留めて置きたいものである。 20年前から葉巻を嗜んでいるが、あまり詳しくはない。 美味しいから好き。 道具にも拘りはない。 道具や種類に拘りだしたら 葉巻は沼である。 高い葉巻は、1本100万を超えるものもある。 そんな葉巻は、ワインとは似ているが違う。 ワインは、高ければ

🌈#雷門通り #浅草  🌸仕事・勉強・子育ての息抜きに✨ ✅日本を知ってもらいたい! ✅Japan Online Trip! ✅日本網上旅遊!【#世界展開への道】

1.🌈台東区!   ✅午後の一息、ドデスか?   ✅焦らず、恐れず、泥臭く。     ✅仕事勉強.子育てに一所懸命なあなたを   ✅きしゃこく学院は、応援します。 2.🌈「#きしゃこく学院」プロフィール 3.🌈「#100万PVへの道」プロジェクト   ✅成長物語   ✅4月11日(日曜)始動   ✅月間20万PV、開始3か月目達成。   ✅月間10万PV、開始2か月目達成。深謝✨4.🌈「#noteで国語」プロジェクト   ✅「#きしゃこくメソッドβ」     (報道記者+高

ウラノウラ

裏方は影。 表方は光。 イベントや舞台で 「照明よかった」とか、「演出よかった」とか言われるが あまり嬉しくない。 裏方は、表方を目立たせるのが仕事。 裏方が表方を目立たすことができなかったということになる。 よく、裏方で目立とうとする人がいる。 自分の技術や機材の凄さをひけらかす。 お客は、裏方を観に来ている訳ではない。 自分のエゴを丸出ししてはいけない。 では、裏方はエゴを出してはいけないのか? そうではない。 表方を輝かせ、お客を楽しませ、主催

雑文(37)「中年発電」

 会社でこき使われ、加齢臭しかしない中年男たちを、国は社会悪になるつつある彼らを社会の発展のために活用するべく、「中年発電」法案なるものを議会に提出し、じゅうぶんな審議の末それは賛成多数でなんなく可決され、すぐさま施行された。 「――なんだってよ」  と、ひろげた新聞紙越しに夫は、台所で洗い物をこなす妻に話しかけた。 「いいじゃない、あなたも応募したら? 配偶者の金銭的な援助は生涯面倒みてくれるっていうじゃない?」  皿の水滴を流しで切って、濡れた手を腰からぶらさげたタオルで