「ある」と「ない」[読書日記]
月 辺見庸(角川文庫)
詩的な文章。散りばめられたメタファー。イメージの奔逸。
それでいて、作品全体から伝わってくるものが確実にある。
「ある」ことと「ない」こととを行き来するかのような文体。それが「存在とは」と問うことを強く喚起する。
主にそれは語り手の視点からのもので、そこでは「さとくん」のことも語られる。
その設定は悪くない。むしろ、おもしろいと思うし、書かれている言葉のいくつもに惹かれもした。
どれだけ障害が重度であっても、それはあくまでも表面的に判別可能な範囲の