掘り起こして磨く[読書日記]

第2図書係補佐 又吉直樹 著 (幻冬舎よしもと文庫)

 又吉直樹さんによる本の紹介文。しかし一般的な書評のようなものではない。というか、ほぼエッセイだ。本の紹介はほんの少し。
 そして、こんな本の紹介の仕方があったんだ!と圧倒された。

 まず、エピソードがおもしろい。だから、その流れで紹介されている本に、自然に興味が湧く。
 著者が考えたり感じたりしたこと、それを表す文章力がおもしろいからこそなせる技だとも思う。

 そして僕は、著者の感じていることも文章も好きだ。彼が文学に抱いたものと同じように、「僕だけじゃなかった」と思わせてくれるから。

 ちなみに僕も、「おまえといてもおもしろくない」と小学校5年生のとき友達に言われ、「そうか、人がおもしろいと思うことをしないといけないんだ」と承知した経験がある。

 そんなふうに、わりと多くの人が経験はしているけど、どこかに置いてきたり埋もれたりしているものを掘り起こして、丁寧に磨いて、「ほら、きれいでしょ」って見せられるような人になれるといいな、と思った。

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