日々精進(ゆるやかに)[読書日記]

奴隷の哲学者エピクテトスの人生の授業 荻野弘之 著 かおり&ゆかり 漫画 (ダイヤモンド社)

 漫画と文章とのバランスが良く、どんどん読み進められる。また、漫画の後に背景が黒いページが挟まれて、本全体のデザインも良くて集中して読み進められた。

 端的にまとめてしまえば、まずは自己の内面をしっかりと見つめ、外的な要因など変えられないものはあきらめて生きていこうということか。
 ぼく自身は内向型の人間なので、自分の内面に興味関心が向くことの重要さ、心地よさは腑に落ちる。だからきっと本書全体の空気も好きなんだと思う。

 このようなエピクテトスの教えは、老子の道(タオ)や禅的思考にも似ている。アドラー心理学にも似ている部分があるだろう。そのため、なんとなく、エピクテトスの教えは日々実践できている気もする。
 だけど、そうやって「できている」というおごりがあったり、「賢いと思われたい」という欲があったことに、本書を読んで気づかされた。再び自分について見つめ直すことができた。

 本当は子どもに読んで欲しくて購入した本だけど、漫画のところ以外はまだ難しそう。
 代わりに自分が少しだけ成長させてもらえた。

 とは言え、人は簡単には変わらないものだ。
 この本を読んだからといって、エピクテトスのように生きられるわけではない。
 しかし継続していろんなことを学んでいくことで、それらが少しずつ自分の血となり肉となる。
 だから自分の考えが正しいと慢心したり、賢いと思われたいなどと図にのったりせず、自分の考えや価値観と違うものと出会ってもまず受け止めて考えていくことが大切だ。

 そうやって、少しずつ自分の輪郭を柔軟に拡げていければいいと思った。

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