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【詩】星に願いを


わたしが
つぎのことばを求めるとき
その空白に身をゆだねるとき
くらくてふかい海に映る
ちいさな星をさがすような
途方もない仕事だと
感じることがあります

かすかな光をたよりに
底にゆらぐ きれいな石だけ
掬いとれるでしょうか

わたしが拾った石には
ひとが感じ入る美しさが
伴っているでしょうか

なんど経験しても
心臓がきゅっと締まる
きもちになります

ことばには値打ちがあるそうです
だからせっせと
石を拾っては水に透かし
丁寧に泥を洗い
その輝きを信じている

その姿は
うしろ指さされ
笑われても
仕方ないことなのかもしれません

迷いがこころを刺さなかった日は
ありません
冷たくて冷たくて
それが痛みに変わり
からだが芯から冷え切ってくると
青ざめて
もうやめてしまおうかと
弱気になります

それでも
かつてみた淡い光は
わたしの中で反射し続け
その連鎖が
わたしのからだを温めてくれます

星に願いを
昔おおきな遺跡を
長い年月を懸け
積み上げたひとたちにも
祝福を

拾い上げた石を
祈るように 包みこむように
両の手で磨きます
星の光がいつかわたしを覆い
燃やし尽くしてくれると願って




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