マガジンのカバー画像

ショートシュート

78
短編集を集めてみました
運営しているクリエイター

#毎週ショートショートnote

冷凍記憶(一分では読めない小説)(1140字)

冷凍記憶(一分では読めない小説)(1140字)

20XX年世界を驚かす画期的なマシンが発表された。
「これが弊社が開発しました、世界初の人の記憶を冷凍させるマシンです」

「冷凍させるって、記憶ですか?
脳ミソの中の記憶をですか?」
と、一人の記者が全員を代表するかの様に
疑問をぶつける。

「そうです、記憶を冷凍保存するのです。
優秀な科学者、医学者、各分野のそれぞれの
優れた記憶を冷凍保存し
時代を超え未来の人達に、
その知識やノウハウを残

もっとみる
放課後ランプ (続編) (410字の小説)

放課後ランプ (続編) (410字の小説)

昨日の反省をした僕は、誓いを立てる。
…決して授業中に居眠りはしない…
と心に決め真剣に授業に臨む。
誰にも見つからずにランプに火を灯し、
神妙に授業を受ける僕。
僕の決意はかたく、
今日は一睡もしなかった。

直ぐに帰宅しランプを探すが、無い!
学校に忘れて来た。
火も消していない。
直ぐに学校に行き、
ランプを取りに行かないと!
心に思うが、睡魔が僕を襲い、
語りかけて来る。
「そんな物は睡眠

もっとみる
放課後ランプ(410字の小説)➕追伸

放課後ランプ(410字の小説)➕追伸

僕は受験生。
僕の家は貧しく、塾にも行く事は出来ない。
不安に思っていたある日、ある人からランプを貰った。
その人が云うには
「このランプを灯すと、授業中の記憶が蘇る」と云うのだ。
このランプ、「放課後ランプ」と云うらしい。
…そんなランプ、本当に有るのか?…
と、疑念が湧いたが、
授業の内容がもう一度確認できるのであれば、
復習するのに最適である。
そのランプの使い方は、
「授業中にそのランプを

もっとみる
春ギター(410字の小説)

春ギター(410字の小説)

兄はいつもギターを抱えてる。
「ギターが恋人」と兄が言う。
何故恋人が居ないの?
妹の私には解らないわ。

兄は妹から見てもかなりのイケメン。
彼女が居たって不思議では無いのだけど
出不精が祟っているみたいで出会いが無いみたい。

最近兄のギターの音色が変わってきた。
穏やか音色。
まるで春の季節みたいな癒しの音色。
私は畏敬の念を持ち「春ギター」と命名した。
それを兄に伝えてたい。

自分の作曲

もっとみる
錦鯉を釣る雲(雲の糸)

錦鯉を釣る雲(雲の糸)

人間の横暴は、神を怒らせる。
「このままでは、地球は破滅する!
人間を海に住まわせ、魚達を陸に上がらせる。」
神は大英断を下す。

魚達は陸で暮らす事になる。

自由自在に空を泳ぐ魚達。

神達のレジャーは魚釣りだ。
空飛ぶ魚を釣り上げる。
特に人気の高いのは、錦鯉!
希少な錦鯉は、高額になる。

今日も雲の上に乗り神達は釣り糸を垂らしていた。
神達は呑気にお話しをしながら、お目当ての錦鯉を狙う

もっとみる
ドローンの課長(410の小説)

ドローンの課長(410の小説)

「太陽がいっぱいを知っている人?」

…太陽がいっぱいって何?
太陽って一つでしょ。…

課長は解らない事を平然と言う。

「君達、知らないのかい?
有名なフランス映画。
自慢する訳では無いが、
僕が若い頃あの主演の男優に
似ていたんだぞ。」
と、課長の自慢が始まった。

でも、ここで嫌な顔をすると、
課長に悪い気持ちにさせてしまう。

ここは大人の対応だ
「えっ!課長はフランスの映画俳優に
似て

もっとみる
会員制の粉雪(410文字の小説)

会員制の粉雪(410文字の小説)

冬将軍は悩んでいた。
毎年降雪のノルマがあるのだが、
ノルマの達成が出来ない。
温暖化の為、雪達が居ないのだ。

「またノルマの達成が出来ない。大将軍に嫌味を言われる。
嫌味だけなら良いけれど、・・」
上司の悩みの姿は、部下達を不安にさせる。

部下が云う
「今の状態では、雪達を管理しないといけません。
雪を降らすには、大きな雪よりも粉雪達を集めた方がいいのでは?
粉雪を日本中に降らす。
見た目に

もっとみる