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ショートシュート

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#毎週ショートショートnote

友情の重さ(1分で読める小説)

友情の重さ(1分で読める小説)

私は他人に愛された。

母親には見捨てられ、
妹からは、誤解され裏切られた。
妹の言葉に従った親戚からは縁を切られた。

でも、真実を知る他人には愛された。

私を理解してくれた人達。
本当に感謝の想いでしか無い。

友情の重さを量る秤は無い。
友情は無量無辺。
人の心も無量無辺。
限り無く重く、限りなく広い。

でも、心は一瞬にして変わる。
無量であるが故に、一瞬で無くなる。
無辺であるが故に、

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復習Tシャツ(1分で読める小説)(410字)

復習Tシャツ(1分で読める小説)(410字)

久しぶりにユニシロに顔を出した。
あまり知られてはいないが、ヘンテコな物を扱う雑貨屋である。
この店で以前「放課後ランプ」を購入した。

店の中をぶらついていると、店主が揉みてをしながら近づいてくる。

「お客様、このTシャツはお買い得ですよ。
なんとリバーシルになっていて
裏返しすれば、表とは違う別の絵が出てくるのです。
当店では、このTシャツを『復習Tシャツ』と名付けました。
一枚で二度美味し

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彦星誘拐(410字の小説)

彦星誘拐(410字の小説)

ある命令が私に伝えられる

[彦星を誘拐し、織姫の元へ連れて行け]

彦星とは◯国の皇太子
織姫とは✖︎国の姫君
二国は対立する国である

疑問に思った私だが、命令を成功さすだけ。

だが皇太子の誘拐など簡単にはできないが、
彦星を私の車に乗せる事に成功した

彦星に
「絶世の美女に会わせる」と
云うと私の元に着いて来た

私の向かうところは✖︎国。
国境の警備員は打ち合わせ通り
私の車を通過させ

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織姫妖怪(一分で読める小説)

織姫妖怪(一分で読める小説)

◯国では騒然となっていた。
彦星皇太子が誘拐されたのだ。
だが、身代金の要求がされてこない。
不思議に思っている時に、ニュースが
ラジオから流れてくる。
「◯国の皇太子と✖︎国の織姫が結婚した」
と。
そして
「◯国と✖︎国はこれから対立を辞めて
親交国になっていく」

驚いたのは国王だったが、
◯国の国民は大喜びであった。
「これからは、いざこざも無く安心して暮らせる」

彦星は国民から大絶賛さ

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非情怪談(1分で読める小説)(410字)

非情怪談(1分で読める小説)(410字)

夏が来ると私は、怪談話を子供達に聞かせている。
それは現実に起きた話。
地球上で起きた最も怖い話。
怯えながらも聴く子供達。

私は子供達に伝えたかった。
人間の持つ悪性を!
何故、人間は殺し合い、大きな戦争を起こすのか!を。

人間の怖さ。人間の愚かさ。人間の非情さ。
人間こそが本物の妖怪・悪魔。
その妖怪の話を私は毎年、子供達に語る。
私の想いを伝えたい。
だが、その想いは空虚。
幾ら語っても

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非情怪談➕無常会館(1分で読める小説)(410字)

非情怪談➕無常会館(1分で読める小説)(410字)

街をぶらついていると、不思議な建物を見つけた。
看板に「無常会館」とある。
…無常会館って何?…と思っていたら何故か体が勝手に動きだす。
会館には入り口の扉が無い。
僕は誘われるかの様に、その会館の中に入っていく。
すると不気味な声。
耳を澄せると聞こえてくるのは怖い話

…どの部屋で語っているのか?…
聞き耳を立てながら僕は会館の奥に入って行く
だが、どの部屋にも人がいない。
声は段々と大きくな

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冷凍記憶(一分では読めない小説)(1140字)

冷凍記憶(一分では読めない小説)(1140字)

20XX年世界を驚かす画期的なマシンが発表された。
「これが弊社が開発しました、世界初の人の記憶を冷凍させるマシンです」

「冷凍させるって、記憶ですか?
脳ミソの中の記憶をですか?」
と、一人の記者が全員を代表するかの様に
疑問をぶつける。

「そうです、記憶を冷凍保存するのです。
優秀な科学者、医学者、各分野のそれぞれの
優れた記憶を冷凍保存し
時代を超え未来の人達に、
その知識やノウハウを残

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放課後ランプ (続編) (410字の小説)

放課後ランプ (続編) (410字の小説)

昨日の反省をした僕は、誓いを立てる。
…決して授業中に居眠りはしない…
と心に決め真剣に授業に臨む。
誰にも見つからずにランプに火を灯し、
神妙に授業を受ける僕。
僕の決意はかたく、
今日は一睡もしなかった。

直ぐに帰宅しランプを探すが、無い!
学校に忘れて来た。
火も消していない。
直ぐに学校に行き、
ランプを取りに行かないと!
心に思うが、睡魔が僕を襲い、
語りかけて来る。
「そんな物は睡眠

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放課後ランプ(410字の小説)➕追伸

放課後ランプ(410字の小説)➕追伸

僕は受験生。
僕の家は貧しく、塾にも行く事は出来ない。
不安に思っていたある日、ある人からランプを貰った。
その人が云うには
「このランプを灯すと、授業中の記憶が蘇る」と云うのだ。
このランプ、「放課後ランプ」と云うらしい。
…そんなランプ、本当に有るのか?…
と、疑念が湧いたが、
授業の内容がもう一度確認できるのであれば、
復習するのに最適である。
そのランプの使い方は、
「授業中にそのランプを

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春ギター(410字の小説)

春ギター(410字の小説)

兄はいつもギターを抱えてる。
「ギターが恋人」と兄が言う。
何故恋人が居ないの?
妹の私には解らないわ。

兄は妹から見てもかなりのイケメン。
彼女が居たって不思議では無いのだけど
出不精が祟っているみたいで出会いが無いみたい。

最近兄のギターの音色が変わってきた。
穏やか音色。
まるで春の季節みたいな癒しの音色。
私は畏敬の念を持ち「春ギター」と命名した。
それを兄に伝えてたい。

自分の作曲

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錦鯉を釣る雲(雲の糸)

錦鯉を釣る雲(雲の糸)

人間の横暴は、神を怒らせる。
「このままでは、地球は破滅する!
人間を海に住まわせ、魚達を陸に上がらせる。」
神は大英断を下す。

魚達は陸で暮らす事になる。

自由自在に空を泳ぐ魚達。

神達のレジャーは魚釣りだ。
空飛ぶ魚を釣り上げる。
特に人気の高いのは、錦鯉!
希少な錦鯉は、高額になる。

今日も雲の上に乗り神達は釣り糸を垂らしていた。
神達は呑気にお話しをしながら、お目当ての錦鯉を狙う

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ドローンの課長(410の小説)

ドローンの課長(410の小説)

「太陽がいっぱいを知っている人?」

…太陽がいっぱいって何?
太陽って一つでしょ。…

課長は解らない事を平然と言う。

「君達、知らないのかい?
有名なフランス映画。
自慢する訳では無いが、
僕が若い頃あの主演の男優に
似ていたんだぞ。」
と、課長の自慢が始まった。

でも、ここで嫌な顔をすると、
課長に悪い気持ちにさせてしまう。

ここは大人の対応だ
「えっ!課長はフランスの映画俳優に
似て

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会員制の粉雪(410文字の小説)

会員制の粉雪(410文字の小説)

冬将軍は悩んでいた。
毎年降雪のノルマがあるのだが、
ノルマの達成が出来ない。
温暖化の為、雪達が居ないのだ。

「またノルマの達成が出来ない。大将軍に嫌味を言われる。
嫌味だけなら良いけれど、・・」
上司の悩みの姿は、部下達を不安にさせる。

部下が云う
「今の状態では、雪達を管理しないといけません。
雪を降らすには、大きな雪よりも粉雪達を集めた方がいいのでは?
粉雪を日本中に降らす。
見た目に

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