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鉄道写真を撮る時の思考プロセス


今週は鉄道写真を撮る時に何を考えているかを書いていきます。私の鉄道写真は編成系というよりは風景/スナップ系が大多数ですので、鉄道に限らず主題がはっきりした被写体を狙う人には何かの参考になるかもしれません。なお、プロセスを考える手法としてはゴールから逆算する方法が取られるので、一般的な写真ノウハウと少し毛色を変え、敢えて後ろから書いてみることにします。

発表

家族写真を除き、基本的に私の写真のゴールは発表です。発表のやり方はSNS、展示、同人誌、コンテスト等々ありますが、何かしらの方法で発表することを原則としています。

編集

発表の前に実施する作業です。編集は嫌いな作業ではないものの、大幅な編集は時間を食ってしまうので、なるべく編集幅が小さくなるように設定するようにしています。また、展示や本の場合は額や紙のサイズの関係で、編集段階でトリミングする場合もあります。多少のトリミングを効かせられるよう、カツカツ過ぎない構図にすることも心がけています。

露出や色の編集だけでなく、媒体によっては縁を付ける加工もします。

セレクト

どの写真を採用するかを選ぶ段階です。明らかなミスショット(例えば連射の前後カットで明らかに使わないカット)はこの段階で削除します。それ以外のカットは全て取っておき、その中から選びます。SNSに出す、展示に出す、コンテストに出すなど目的によって選ぶ作品の傾向は多少変わります。ただ、作者は同じなので大雑把な傾向はどの写真も似てくるとは思います。

連写したカットの中から、シャドウの花びらが見えるものをチョイス。例えば列車の顔に架線柱の影が落ちている、柱と顔が被っているなど明らかなNGカットはここで削除する。

シャッターを押す瞬間

多分一番無心になる瞬間です。設定は事前に終わっているので、あとは撮るだけ。ただ、こと鉄道写真の場合、狙っていた構図を撮ったあとパッと撮った後追いアングルがものすごく良かった、なんてこともあるので、列車が過ぎ去って見えなくなるまでは目線を外さないように心がけています。

実はこの写真は振り向きざまの1枚。元々狙っていた構図が全て撮り終わった後、まだファインダーを覗いていたので、再び来た良い瞬間をキャッチできた。

構図と設定を組む時

基本的な考え方は
・主題を目立たせる
・余計なものを排除する
の二つだけです。鉄道写真の場合、主題か副題のどちらかは鉄道になります。構図を組んでいく中で、列車は止めるのかブラすのか、被写界深度は浅めが良いか深めが良いか、みたいなこともセットで考えていきます。バリアングルの機材を導入してから、構図の自由度は格段に向上しました。なお、後工程を考えて色を作りこんだり、構図の余裕量を決めたりするのもこの段階です。

意図を持って「この作品はモノクロ以外ありえない」と思っていたら最初からモノクロで撮ります。

被写体を決める

ロケハンしながら、主題を何にして副題を何にするかを決めます。この段階が写真の出来栄えに最も大きな影響を与えると言っても良いでしょう。鉄道はもちろん、街の雰囲気、季節、天候といった要素も取り入れながら主題、副題となる被写体を決定していきます。なにも車両を外から撮るだけが鉄道写真というわけでもないので、車内や鉄道施設も被写体の対象になってきます。組写真を作りたいと思った時、箸休めや繋ぎのカットに使えそうな被写体も見つけたら撮っておきます。

JRの車内から撮った山陽電車。ぼんやり窓の外を眺めている時も、「これが絵になるかも?」という発想は常に持つようにしています。

撮影地を決める

本当は鉄道が通る陸地全体をくまなく歩くのがベストです。ただ、当然そんなことは出来ないので、他の人が撮影している場所を参考にしたり、航空写真を見たり、地形図を見たりして、ある程度撮影地の目星を付けておきます。最終判断は、その場所に鉄道なり車なりで向かい、実際の状況を見てからです。追っかけをする場合は、地図を見る段階で複数目星を付けておく必要があります。

追っかけの定番といえば蒸気機関車。観光列車故に途中停車を長めにとることも多いため、追いかけやすい。

行き先を決める

撮影する路線を選びます。景色が良い、車両が良い、街が好き、行ったことがない県を走っているなど、食指が動く時は何かしらの理由があることがほとんどです。他の人の作品の影響で「この路線良いな」と思って赴くこともあります。

国鉄特急色が好き、という動機で訪れた伯備線

今回は写真を撮るプロセスを後ろから書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。しれっと撮影しているようで色々考えているんだ、ということが伝われば何よりです。

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