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2022年2月の記事一覧

序章としての小話;人生において狙ってはいけないものその1

序章としての小話;人生において狙ってはいけないものその1

その人(たぶん女性)は、コンプレックスがないことがコンプレックスだったそうだ。
そう聞いて、はじめは容姿と能力に恵まれた、非の打ちどころのない完璧な人を想像していたけれど、そういう話ではないらしい。
彼女は面接試験で高校に合格した。大学には推薦で合格した。そして大学に入って、衝撃を受けた。同級生と話すと、多くの人がすでに人生において大きな挫折を経験したエピソードをひとつふたつ、持っていることに。彼

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東山魁夷館再訪の感想を再び試みるという意気込みでこの文章を書き始めた。たしかに東山魁夷の絵について語ってはいるがこれはいったい……

東山魁夷館再訪の感想を再び試みるという意気込みでこの文章を書き始めた。たしかに東山魁夷の絵について語ってはいるがこれはいったい……

なんだかややこしいタイトルになってしまいました…。

今度こそ、東山魁夷館で見てきた絵について語りたいと思います。

東山魁夷の描いた絵は、大きく2種類に分けられます。

①ひとつの風景全体を描いたもの
②風景の一部を切り取って描いたもの

主に、
①が本制作、
②が習作やスケッチと分類されています。

もちろん、
これは風景の全体か一部か、とはっきり分けられないものもあるでしょうし、

本制作だ

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東山魁夷の絵について語るはずだったのに思索を展開してしまう20220215

東山魁夷の絵について語るはずだったのに思索を展開してしまう20220215

昨日、職場のNさんに誘われて長野市に行ってきました。

訪れたのはこちら、
長野県立美術館。

駅の近くでランチを食べると、
さてこの後はどこに行こうかという段になり、
Nさんが「この辺りは善光寺しかないよね」と言うので、
僕は「善光寺のとなりに美術館がありますよ」と答え、
行く運びとなりました。

僕がなぜ美術館の存在を知っていたかというと、実は先月に一人で行ったからです。(この記事で使っている

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仕切り直される世界

仕切り直される世界

一本乗り遅れた電車の中で、ふてくされたように本を読んでいた。

駅に着いたとき、ちょうど電車がホームに入ってくるのが見えて、間に合ったと思った。でも結果から言えば、間に合ってなどいなかった。
落ち着け、と心で唱えてはみても財布を操る手は震えていたし、切符券売機の反応がやけにのろく感じた。
切符が出てくると同時に、電車は無情にも動き出していた。

自分と世界との間に、埋めがたい溝を感じる。

惜しい

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世界を仕切り直すための序曲

世界を仕切り直すための序曲

また電車に乗り遅れた。

準備にもたつき、家を出る時間が少し遅れてしまった。とはいえ、それくらいのズレならば、駅まで歩くペースの調整いかんによっては十分間に合う可能性もあった。だがそこで僕は、ちょっと早歩きで行けば大丈夫だろう、と楽観的な見通しを立て、実際にそうやってアバウトに対応した。こういうところが僕のよくないところだ。僕は自分を愛するあまり…なのかは分からないが、自分の感覚や主観といった曖昧

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