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ファンタジーみたいなドキュメンタリー映画。『あなた、あの川を渡らないで』韓国、2014年


とにかく、韓国の民族衣装を着たおじいちゃんとおばあちゃんがかわいい。本当にそれだけの映画。ドキュメンタリー映画とは思えないくらい、ファンタジーじゃないかと思うくらい、らぶらぶの韓国のご夫婦が主役です。

98歳と89歳(数えどし?)のお二人は、民族衣装ががとっても似合っているし、何より農村の自然と溶け合っています。映像もきれいすぎて、でもちゃんと現実っぽいのが不思議。

以前見た、『牛の鈴音』というドキュメンタリー映画だと、韓国のおじいちゃんが奥さんを愛してはいるんだけど、うまく表現できずに、牛のほうばっかり大事にする頑固ジジイになっちゃってて、見ている方がきつい部分もあったのですが、今回のご夫婦は本当に相思相愛なので直球すぎて、恥ずかしくなるくらい。

昔の結婚に恋愛はなかったし、結婚年齢もローティーンとかが普通だったみたいです。実際、このご夫婦も親の決めた結婚。でも、婚礼初日の夜、すごく年の離れたご主人が、若い奥さんをちゃんと大事にしてくれて、夜の夫婦生活は「君がその気になるまで待つよ」って言ってくれたのだとか。それは、私でも惚れてしまいます!

その言葉がうれしくて、若い奥さんはだんなさんが大好きになって、数年後には自分から、だんなさんのおふとんに入っていったのだとか。もう、そーぜつなノロケですね。それからずっと、二人は仲良し。

子どもを産んで、貧しい農村でがんばって育てて、彼らが農村から出ていって、孫をつれてたまにしか帰ってこないようになっても、夫婦でずっと仲良し。ちゃんと民族衣装を着て、ご近所を手をつないで散歩するので、評判になって、その結果がこのドキュメンタリーなのだとか。

ラストは、おばあちゃんが最愛のだんなさんを見送ります。これ、切ないですが、愛にあふれていてやさしいです。仕事に疲れたときに、見たくなるような映画です。そして、ちょっと人生を考えてみたくなるドキュメンタリー映画です。

邦題:あなた、その川を渡らないで(英題:My Love, Don't Cross That River)
監督・撮影:チン・モヨン
制作:韓国(86分)2014年


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