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中国社会の荒波を勝ち上がった人たち。『現代中国経営者列伝』高口康太


キャッチコピーは「明治維新+高度成長=改革開放!?
レノボの柳傅志、ハイアールの張瑞敏、ワハハの宗慶後、ファーウェイの任正非、大連万達グループの王健林、アリババの馬雲、優酷の古永鏘、シャオミ(小米)の雷軍などなど。

「改革開放」どころか、経済発展なんか想像もできない時代に、とにかく生き残るために、生き馬の目を抜く中国を生き抜いた人たち。それぞれの経歴も異色で、一癖どころか、五癖も七癖もありそうな人たちの「立志伝」だから、おもしろい。

それぞれの人が1冊や2冊の立志伝本になっているのを、数人まとめてコンパクトな新書にして、馴染みのない日本の読者に提供している部分もポイントが高いです。

その世界で仕事をしている人は、きっと中国語で原本を読んだり、ニュース記事なんかでよく知っているだろう話も多いです。私も、名前だけは知っていましたが、詳しくは知らない人たちの逸話や経歴、会社の特色なんかも楽しく読めました。

そして、出版当時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったこれらの会社が、現在、中国政府の「格差是正」という名目の締めつけで、政府との関係で苦労している状況も興味深いです。やはり中国共産党一党独裁の国では、いつ何がひっくり返るかわからない、オセロ状態だということを実感します。

とはいえ、私の仕事楊パソコンはレノボ(Thinkpadファンなので)。使っているソフトは、オフィスでなくkingsoft。タブレットはファーウェイ。どれもこれも、本書に登場するメーカーです。そのうち、日本メーカーが身の回りから消える日も近いのかも。


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