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伊藤馨の舞台照明

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僕の照明デザインについての備忘録というか、デザインの仕方についてのマガジン。果たして、ちゃんと完結できるのか。
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#舞台照明デザイン

「MagicQの使い方」について

「MagicQの使い方」について

久しぶりでnoteの使い方を思い出せていませんが、最近はYouTubeで

っていうものをやっています。

MagicQというのは、イギリス産の照明用の調光ソフトです。
僕のnoteでも照明の説明に使っているのはMagicQです。

海外の動画では照明用のソフトや調光卓の紹介や説明動画というのはそれなりに数があり、僕自身もそういう動画を見て使い方を覚えたところがあります。
一方、日本では照明用の卓

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舞台照明デザインのこと その9 舞台表現ということ。からの方向性(ディレクション)とデザインのこと

舞台照明デザインのこと その9 舞台表現ということ。からの方向性(ディレクション)とデザインのこと

時空間芸術である舞台表現僕の考え方としては、

まず、前提として、演劇やダンスといった舞台表現は時空間芸術である。

時間と空間を共にしたものにしか味わうことが出来ない芸術。
じゃ、映像で撮ったものは違うのか。
僕の答えは違います。
だ。
どういうことかと言うと、映像(2次元=2D)は、時間と空間をあらかじめ切り取ったものだと言うこと。どんなに精緻な作品であっても、時空間芸術とは呼べない。
映像で

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舞台照明デザインのこと その10 では、少し大きめの劇場に置き換えて考えてみようのこと

舞台照明デザインのこと その10 では、少し大きめの劇場に置き換えて考えてみようのこと

はじめに前回までで、舞台照明の基本となる方向性についての話をした。
ただ、これは
「舞台上にあるとされる物体に対してどういう方向から照明を当てていくのか。」
までにしかなっていない。実際は劇場という機構を使って、舞台照明はなされるものだ。

劇場に当てはめてみようという、わけで今回は実際に劇場においては、どういう照明の位置関係になるんだろう。ということを説明していこうと思う。

今回モデルとしてい

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舞台照明デザインのこと その11 人間の眼と舞台照明

舞台照明デザインのこと その11 人間の眼と舞台照明

ここから先のことについて前回までで、方向についてのことと舞台での名称とかを整理した。
方向に関しての印象とか、具体的な使い方については、更にこの先に行かないと説明が出来ないことなので、まずはいろんな方向や角度があって、それを駆使する。
っていうことと、それらは単純化して覚えておくと便利ですよ。って、ことまで進んだ。

次回以降は、人間の眼というものがどういうように機能するのか。
と言うことを切り口

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舞台照明デザインのこと その12 眼に入る光には二種類あること

舞台照明デザインのこと その12 眼に入る光には二種類あること

しばらく時間が空いた理由があります。
お盆休みでした。
嘘です。

ちょっと今回のテーマが大変なので、苦戦してた。

操らなくてはならないのは二つの光二つの光とは、
透過光と反射光

透過光は、物体を通過して直接眼に入ってくる光

反射光は、物体に反射して眼に入ってくる光

照明で操らなくてはならないのは、主に反射光だ
照明って言うくらいなのだから、透過光なんじゃないの。
って、思うかもしれない。

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舞台照明デザインのこと その13 「明るさ」とは何か

舞台照明デザインのこと その13 「明るさ」とは何か

明るさについて人間の感覚器は、「差」で様々なことを判断する。
視覚も暗いと明るいの「差」で物事を判断する。

ただし、暗いにも下限があり、ある程度の光の量が少なくなると見えなくなる。

同様に、明るい側にもある一定の明るさを超えると、眩しくて見られなくなり、最終的には見えなくなる。

これが明るさをコントロールしていく時の幅(レンジ)になる。
幅の中で、明るさを操作しいてく。

また、舞台全体の中

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舞台照明デザインのこと その14 カラーについて

舞台照明デザインのこと その14 カラーについて

ちょっとふりかえり前回、観客の視点(観測点)からの画面の明度についての話をした。
照明のデザインによくある誤解として、
点灯している照明がどれくらい明るいか
と、
その箇所が明るいかは同じものではない
ということ。
狙った箇所の明度をコントロールする必要がある。

新しい要素色相
つまり、カラー
カラーの説明は、難しい。
日常的に我々が使っているのは、反射光の色についての用語であり、透過光の名前で

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舞台照明デザインのこと その15 シーンとキューについて

舞台照明デザインのこと その15 シーンとキューについて

完全なる勘違いデザインの構成についての話をしようと思って準備をしていたのだが、やるべきことが残っていたという事実に気が付いた。

完全にうっかり忘れていた。

何かというと、シーン(場面)とキュー(場面の間の変化)のことだ。

少しおさらいしつつ画面の明度について語っていて、そこに色の話まで話をした。
次は、デザインの話だ。みたいことを前回の最後に話をしていたけれど、
舞台照明は、時空間芸術におけ

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舞台照明デザインのこと その0? 仕事の始まりのこと (舞台照明のキャリアの積み方 僕の場合)

舞台照明デザインのこと その0? 仕事の始まりのこと (舞台照明のキャリアの積み方 僕の場合)

はじめにしばらく、間が空いているけど、続きを書くつもりはあるので、待っている方が居たら、もう少し待って。

で、今回は、この記事を読んで、自分が照明の仕事を始めようと思ったことと、ここまでの道のりについてを、少し詳しく書こうと思う。

よこしまな思いから始まった高校生の時になりたかったのは、DJ。
なので、入った部活は「放送部」 ナレーションとかそっちじゃなくて、好きな曲をかけて、適当にしゃべった

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舞台照明のデザイン 番外編 自然光にゃ勝てないのよね そして、Fについて

舞台照明のデザイン 番外編 自然光にゃ勝てないのよね そして、Fについて

番外ばっか書いてるなよとか言わないで(汗)
理由があります。
ちょっと次のものを動画でお送りした方がいいのかどうか、悩んでいて、手間取ってるのよ。
ものはあるんだけどね。
「シーンの正体」
っていうタイトルも決まってるのに。
なので、いましばし。
さて、

舞台照明なんて仕事をしているとついつい、自然光で見たものを再現出来ないかしら。
なんてことを考えたりする。
舞台というものは、そこには現はなく

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舞台照明のデザイン そのxx 光源についての話

舞台照明のデザイン そのxx 光源についての話

また本題から逸れる思いつきで書き散らしているので、こういうことが起きる。
というか、二連荘でこれっていうのもどうかと思ったけど、舞台照明の話をしているけど、光源の話ってほとんどしていないので、少ししておこうか。

と、思ったの。

なんで急にこんなことを書こうと思ったかって言うと、白熱、ハロゲン、放電管、蛍光灯、LEDなどなど、いろんな光源があって、それにはアンチとかも居るよな。

そんなことをず

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夜叉ヶ池をやるんだけど、なんでこんなことするんだろうか。って話。

夜叉ヶ池をやるんだけど、なんでこんなことするんだろうか。って話。

はじめになんでスタッフなのに、公演やんのよ。
ってこと。

現状スタッフとして、と言うか照明デザイナーなので、デザインがしたい。が、出来ない。

このジレンマを解消するには、できることは決まっている。
作品を作ることしかできない。

じゃ、やってやろうじゃん。ということで、文化庁の継続支援事業に申請した。
お陰で今稽古をしている。

稽古で気をつけていること。とにかく感染症対策は重要。感染したらア

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舞台照明のデザイン 夜叉ヶ池編 その1

舞台照明のデザイン 夜叉ヶ池編 その1

配信やるぞいろんなことを考えてる間になんだか、配信をすることになってしまった。
企画自体は前から考えていたし、やりたい演目でもあったけど、文化庁の継続支援事業が通ってしまったので、その流れで配信をすることになってしまったと言う。

配信にあたってのリード文幻想的な泉鏡花の世界を個性的な4人の俳優とともに、昨年『天守物語』を上演し好評を博したD.R.A.Gの演出により、あやし、たのし、うつくしい世界

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