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舞台照明デザインのこと その15 シーンとキューについて

完全なる勘違い

デザインの構成についての話をしようと思って準備をしていたのだが、やるべきことが残っていたという事実に気が付いた。

完全にうっかり忘れていた。

何かというと、シーン(場面)とキュー(場面の間の変化)のことだ。

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少しおさらいしつつ

画面の明度について語っていて、そこに色の話まで話をした。
次は、デザインの話だ。みたいことを前回の最後に話をしていたけれど、
舞台照明は、時空間芸術におけるデザインであり、ここまで話したのは、
その空間部分の話しかしていない。
ある意味2次元の話をしていたにすぎない。
時間経過というのは、舞台照明のデザインの中でもとても重要。

時間経過について考えてみる

時間の流れは一定で、舞台上も観客も同様に同じ時間が流れる。

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一方で、演劇やダンスなどの作品は、一定の時間軸に沿って物語や構成がなされていたりはしない。
実時間と観劇体験の中の時間は必ずしも一致しない。

照明のデザインの中のわかりやすいシーン(場面)の構成として、
昼、夕方、夜、朝。
という展開の時間経過があったとしたら、実時間に対して圧縮された時間経過が存在することになる。

デザインと選択についての予告

この後に実際にデザインの手法として、こういう時間などの扱いがどうなるのか。
みたいな話をする予定だが、先に少しだけ話しておく。
時間経過を舞台照明のデザインで扱うか扱わないのか。
ということについては、基本的に舞台照明デザイナーが決めることだ。
前に書いた、角度や明るさ、色についてもすべてデザイナーが選択し、決定していくことが前提。
なので、お話上のシーンの進行に同期して舞台照明のデザインをしてもいいし、そうでなくても構わない
ただ、それで作品の質が下がったと多くの人が思った場合にはそのデザインは独善的であり、失敗だったと言わざるを得ない。

シーン(場面)について

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同じ絵を二度貼って、手抜き。な、わけではない。
これは、舞台照明のデザインにおいてとてもじゅうような概念になる。
始まったら必ず終わる。
時間の速度は一定。
この前提を念頭に、
必要に応じて区切る
これが、シーンの概念だ。
演劇やダンスが持つ構成上の区切りというものもあるが、デザイナーとして考えるべきは、観客(観測点)が流れで見たときに、
どういう舞台照明の空間構成が並べられているのがよいか。
ということを考えなくてはならない。

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前に眼の構造の話をしたときに、
人間の感覚器は差でしか物事を理解できない。
という話をした。
シーンごとのデザインもその差異というものが必要になる。

キュー(シーンとシーンの間の変化)について

舞台照明というと、こちらの方がメインだと思う人が多いと思われる。
キュー(Cue)

変化が起きるところなので、そういうように見られるかもしれないけれども、実際に重要なのはシーンの方だと僕は思う。

さて、キューとは、先ほどのシーンとシーンのつなぎをどのようにするのか。というものだ。
前のシーンから次のシーンにどのように変化させるのか。
ということでもある。
構造としては、

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という構造なので、前のシーンの終わりから、次のシーンの始まりという考え方で考えるのが一番筋が通っていると思う。

ただ、このキューというものは、シーンの話でも出てきた。
人間の感覚器は差でしか物事を理解できない。
という概念が適用されて、差として認識できた部分だけが、キューとして認識されて、その値に満たない部分に関しては、キューではなく、シーンとして認識されることになる。
たとえば、データ上で、10%弱くらいしか点灯していない状態の照明は点灯していないのと同じ扱いになるだろうし、変化している時間というのを体感するのは難しい。

キューには中間点と言えるような位置が大体存在していて、
変化の始まり、中間点、終わり。
という構成になる。
※ただし、カットチェンジ(0秒で変わる)ものにはない。
この中間点を舞台上の実時間の中のどこに置くのか
ということもデザインの大きな要素となる。

エフェクトとかはどうなんですか

エフェクト(点滅など)については、僕の舞台照明デザインでは、あまり使うことがない。
理由は、照明が動くことで舞台上で起きていることを見えにくくなることが多いからだ。
一方で、何かを隠すときには使うこともある。
基本的なデザインの構造の中にエフェクトありきで構造を考えることはまずない。専門である演劇やダンスにおいも同様。
可能な限り、舞台に集中して観客が観られるようにすることを求めたデザインをしているためだ。

というわけで、ここでエフェクトについては扱わない。

今回はこのあたりで

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うっかり忘れていたシーンとキューについてのことを思い出してよかった。
もう少し構成を考えてnoteを書け。
ということかもしれないけど、思いつきでダラダラ書いている部分が多い。

というわけで、また次回。


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