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【リモート採用流行らせたい】5年間試行錯誤の連続 採用活動をフルリモートで行った体験記

自分の知見を何か社会に役立てられないかと考え、前職で経験を積ませていただいた「バックオフィスをフルリモートで運用する」ことがいま必要とされるかも?と思い立ちました。5年間という短いような長いような期間で、様々な失敗を乗り越えて得たノウハウを、ぜひ新時代の”働く”現場にお役立てください!(役に立たないかもですがw)

本題前に整理!採用活動をフルリモートで行うメリットは?



!企業メリット!

・説明会開催のための費用と労力をカット!
(会場費・設営日・人件費・もろもろ!)
・説明会開催の準備時間をカット!
(会場おさえて……といった下準備はオンラインの倍はかかる)
・採用面接のための費用と労力をカット!
(交通費とか飲料水とか受付案内係とか)
・面接は30分、1時間しなきゃ……という暗黙知は無視!
(せっかく来てもらったのにすぐ帰すのも申し訳ないな……なんてね)
・かぎりなくペーパーレスにできる!
(履歴書・職務経歴書……持参されると処分に困るんだよな)
・かぎりなくスペースカットできる!
(個室会議室がひとつあれば十分!)
・かぎりなく業務時間カットできる!
(現地面談だと、開始終了時間に10分程度バッファとったりする)
・まだみぬ地方のめっちゃ優秀なやつに出会える
・まだみぬ海外のめっちゃ優秀なやつに出会える

!求職者メリット!

・交通費節約できる!
・移動時間節約できる!
・スーツ代節約できる!(重要!)
・地方在住でもチャンス!
・海外在住でもチャンス!
・スマホでお手軽参加!
・空き時間に就活参加!
・デジタル化で手書きやら書類印刷やら無駄な労力をカット!


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前段 私は何を生業としていたのか 実績報告

まだ「リモートワーク」はおろか「クラウドソーシング」「副業(複数)」「パラレルキャリア」といった言葉も広く世間に認知されていなかった2015年。とあるご縁で、企業とリモートワーク(在宅ワーク)を希望するかたをマッチングするというアシスタントサービスの立ち上げをお手伝いすることになりました。

「オンライン」と名がつく通り、働き手はみな「テレワーク」を前提としており、当然ながら採用活動もすべてインターネット上で完結します。こういったサービスの登録には、「採用面談は必ず現地対面」「採用後の研修は東京で2日間」といった要項が少なくありません。職場へ物理的に行けないからリモートワークを希望しているのに、なんという逆接。

当初、サービスとしても企業としても知名度はおろか、リモートワークという働き方も社会に浸透していなかったので、採用の間口を可能な限り広げる必要がありました。そして、「フルリモート」でも仕事ができる証明として、求人広告掲載から採用活動をすべてオンラインで完結させる必要もありました。結果、私は5年間で延べ2000人の方々とオンライン面談を実施。そして、当初0人だった在籍メンバーは100名、200名、300名と増え続け、今では500名超えの大所帯組織となりました。(今年の春からフリー転身しました~)

私自身、当時はオンラインでの採用活動は初めてでした。その過程では多くの課題があり、失敗がありました。数ある失敗の連続から生まれた、汗と涙なくして語れないリモワティップスをまとめてみました。

関連過去記事)
採用事務スタッフの退職が急遽決まり、1日で引き継ぎを完了させた話
日程調整を自動化することで無駄な業務を1/20カットできた
メール処理がめんどくさすぎてGmailの機能をフル活用してみた


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勝負は面談前から始まっている 下準備には念を


★こんな課題ありました
 ①WEBカメラがありません><;
 ②イヤフォンマイクがありません><;
  PCマイクが機能しません><;
 ③ブラウザが機能していません><;
 ④ミーティング用のアカウント取得ができません><;
  個人アカウントを企業に知られたくありません><;
 ⑤インターネット回線がオンラインミーティングに適していません><;



★こんな結果を招きます
 ①面談当日にドタキャンヽ(`Д´)ノプンプン
 ②面談当日に顔が見れない、声が聞こえない、通信障害ヽ(`Д´)ノプンプン
 ③面談当日にパソコン設定等のサポートをしていたら
  実質面談時間が5分になってしまったヽ(`Д´)ノプンプン
 ④応募前に求職者が離脱するヽ(`Д´)ノプンプン



★こんな方法で解決しました

①面談前に「テスト接続ルーム」を作成する
長々と必要な備品についてメールやマニュアルに記載しても読んでくれませんでした!人は圧倒的に「ビジュアル」重視ということを痛感!(人は見た目が9割/そういうことではない)そのため、自分のPC環境がオンライン面談に適しているかどうか簡単に判定できる「テスト環境」を用意することが重要です。


②接続不良になった場合の「FAQ」を用意する
面談数をこなしてくると求職者の躓きポイントが見えてきました。
例えば、
・chromeブラウザを使用していない
・PCマイクがミュートになっている
・PCカメラの切り替えができない
といった具合に。FAQを事前に手渡しておけば、求職者が自己解決を図れるので、当日にバタバタ慌てることが格段に減ります。


③できるだけユーザーの手を煩わせない導線設計をする
当初オンライン面談に使用していたツールはSkype/チャットワークの二点でした。どちらも事前にアカウント共有をしていただかなければ、通話ができません。アカウントが本名でないことも多く、承認作業を見逃すとコメント通知も来ません。「あなたはいまどこなの~?!」と織姫と彦星状態になったのも一度や二度ではありませんでした(笑)

ポイントは「ワンタッチ接続」!URLで面談ルーム生成できるツールに移管しました。(Skype→Appear.in(Whereby)→ZOOMという変遷をたどる)


④環境依存の通信障害はお互いにありうる 一時避難場所を複数用意
・急にSkypeにログインできなくなりました……
・なぜか音声通話の調子が悪いです……
・チャットワークのアプリが起動しません……
・PCが更新プログラムのインストールを始めました……
といったトラブルも多発しました。また、海外在住者の場合はデフォルトでアプリケーション依存の通信障害が起きることも(笑)そんな時に備えてメインとサブで使うツールを複数用意しておきました。

例えば、
 メイン)ZOOM
 サブ)Appear.in(Whereby) Hangout スマホ

⑤通信環境が怪しい場合は、最初から「スマホ通話」を推奨
・自宅のインターネット回線が怪しい方
・PC環境がオンラインミーティングに適していない方
だけでなく
・まだ仕事前なので備品がそろっていない
・副(複)業したいので就業時間の合間に面接しないといけない
といった方にも無理なく面談に参加してもらうために、スマートフォンでの参加を推奨しました。PC版よりもスマホアプリ版が安定している、通話品質がきれいといったこともざらにあります。スマホアプリ版の方がUIが分かりやすいこともあるようです。(事前判別のために、自宅のインターネット回線速度を測定してみてね~といったルールを設けていたことも)目的は、求職者との対談なので、ツールのあり方にこだわる必要はないのです。



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いざオンラインで面談!どうしよう……集中できない


★こんな課題ありました
 ①履歴書・職務経歴書の情報格差が激しすぎ、会話を深堀でない;つД`)
 ②メモをとることに必死になり、会話を深堀できていない;つД`)
 ③背景音や生活音が気になって、きちんと話せない・聞こえない;つД`)
 ④入場退出という物理動作がないので、面談時間がのびる;つД`)
 ⑤調子に乗って連チャンで面談を入れると、集中力が逝く;つД`)
 番外:自社説明や質問対応に時間を使いすぎ、実質面談時間が少なくなる

★こんな結果を招きます
 ①本来の目的である求職者との対話に集中できない!
 ②企業側はもちろん求職者側ももやっとした時間になってしまう!
 ③画面の証明・背景・音声は、企業側も気をつけないとイメージダウン!

★こんな方法で解決しました
①エントリーシートを自社開発 WEB経由で一括データベース管理に

求職者情報を紙媒体やPDFやWordといった個別ファイルで管理するのは漏洩リスクも高まりますし、データドリブンの弊害になるのでおすすめしません。採用の入口である求職者管理は一括でデータベース管理できるように設計するのが望ましいでしょう。

また、履歴書や職務経歴書の記述項目もよく吟味する必要があります。人材プールをどう分析したいのか、面談で何を見極めたいのか、そういった目的に応じて自社流に改良するのが良いでしょう。

そして、ここでもユーザーファースト視点に立つことが重要です。なるべく、求職者の手間暇をとらせないように、フリー記入項目をやたらと作らないようにしました。


②面談メモは事前に「面談設計」をすることで効率化
採用活動において下記のPDCAが重要だと私は考えています。

組織課題

人材要件設計

採用したい人材を言語化(コンピテンシー設計)

質問設計

回答設計

求職者の定量数値化

面接官に成り立て野頃は何から何までメモを取ろうとするとして、とっても苦労したことを覚えています。何故かというと、面談において「何を見極めればいいのか言語化できていなかった」からなんですよね。

しかし、面談数をこなすことで、求職者の回答から「どのような行動様式で仕事をしてきたのか」の傾向値が見えてきます。その傾向値の言語化・定量化に成功することによって、メモの精度もあがり、業務量が減ります。くわえて、面接官の冗長化を促すよい素材となります。

そして、エントリーシートとデータ連携することによって「採用ステータス」管理も一括で行えます。


③マイクイヤフォン推奨を面談前に伝えておく
面接官の方も試してみてほしいのですが
・喫茶店
・社内のオープンスペース
・社内の個室会議室
でオンラインミーティングをした際に、外野の音がどれほど影響あるのか?という実験。近頃のマイクはとっても優秀なので、そこまで?!という音を拾ってしまうことも。部屋のつくりによっては音が反響し、ハウリングを起こすといったトラブルもあります。基本的には、ノイズキャンセリング機能つきイヤフォンマイクを推奨。相手の声をよく聞きたいときは、ミュート機能を活用。ZOOMなどの場合は、オーナーであれば相手をミュート設定などもできますね。

④面談を始める前にアジェンダ説明を タイマー設定重要
アジェンダを時間配分と一緒に決めておくことが重要です。なぜなら、お互いが時間を意識しないと、そのままずるずる1時間~2時間も面談を続けてしまうことがあります。(オンラインは慣れないうちだと時間感覚が狂うんですよね……)なので、終了時間を明確に伝えます。カレンダーで面談終了5分前アラートを準備すると「うっかり時間泥棒!(お互いのね)」を防げます

また、遅刻やトラブルによって面談に遅延が発生し、15分以上時間確保できない場合はリスケジュールします。事前連絡なしの遅刻は10分待つが現われない場合は自動キャンセル、とルールも明確にしておくとトラブルを事前防止できます。


⑤1日の上限面談数を設定 効率重視で同じ曜日などに詰め込みすぎない
過去、最高にスケジュールが過密だった時は、1日10面談×5日だった時があります。その時は、喋り通しで酸欠になるわ、同じ話で飽きてくるわ、集中力がゼロどころかマイナスで、超非効率でした。

体感的には1日3件がほどよいバランスです。(人によってキャパシティあると思うので参考までに)他の業務を進める余裕を残しましょう。
通常業務でも起こりがちですが、リモートワークは待機時間や移動時間がないので、限界までスケジュールや業務を詰め込めます。しかし、結果的には生産性がた落ちなので絶対にやめましょう。業務時間が急に増えるので、万能感・無限感を感じてしまうのですが、それ、一時しのぎの「ドーピング」です。時間は無限にはありません(笑)


番外:自社説明会は「面談」切り離して 充実した公開コンテンツを用意
求人原稿だけで、自社の魅力や業務内容を相手につぶさに伝えることは難しいですよね。また、求職者も質問したいことが盛りだくさんです。(まして、得体のしれないリモートワークの企業……ならなおさらw)

そのため、採用活動を本格化させる前に、求職用自社サイトをオープンしました。自社コンテンツを持つことで、ブランディング以外にも実利的な利点があります。

・採用担当の説明負担を軽減する
・採用担当の業務負担を軽減する(オペを自動化)
・求職者がビジュアルで自社を理解する
・求職者がビジュアルで業務内容を理解する
・求職者が自分で情報収集し、質問を事前にまとめられる
・面談時に共通資料をして、共通言語で会話できる
・面談時のよくある質問をFAQでまとめられる

結果
 ★みんなが会話に集中!
 ★冗多になりがちな面談時間や業務時間をカット!



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増加するエントリー 100件/月は当たり前 次なる手は……?


採用活動が軌道に乗り始めたころ、私自身のリソースが困窮を極めました。
というのも、採用以外の業務に比重を置かなくてはいけないことが多数あり、物理的に業務時間が足りなくなってきたんです。

しかし、採用において求職者との対話は必要不可欠であり、カットできません。いかに自分から業務を剥がし、採用の質を平準化させるか?は最も苦心したポイントのひとつです。面接官の採用・育成・研修もすべてフルリモートで行う必要があったからですね。リモートによる「教育」「育成」「研修」に関するお話は次回にするとして……。

結論から申し上げると、1:1式では効率が悪いので、1:N(2~4名)式に切り替えました。集団面談の方が、重複事項である「企業からの情報伝達や質問回答時間」を短縮できるかな~と安直に考えたんですね~。

ところが……

★こんな課題ありました
 ①他の方に、「個人情報」開示に対する不安
 ②他の方の発言中に、暇そうにしている人がいる
 ③質問対応で、発言する人に偏りがある
 ④質問対応で、うまく発言やチャットできない人がいる
 ⑤時間配分を気にせず、話す時間が長い人がいる


いろいろ考えた結果……
集団面接は「目的」がなければ、あまり意味がないという結論に(笑)討論や意見交換をしてもらい、行動様式を観察し、人材アセスメントをするなら目的が伴っています。しかし、カルチャーフィットといった個人対企業のマッチングを高める選考プロセスという目的であれば、求職者にとっては「集団」で面談する必要はあまりないんですね。もちろん、何かしらの効果を狙うのはできると思います。あくまで、目的を何におくのか?ですね。


★求職者の「ジャーニー」を深堀し、下記は2ステップに切り分け

①「自社を知ってもらう」→「ファンになってもらう」
……オンライン説明会

②「自社に応募してもらう」→「より自社にマッチする人材を選考する
……個別オンライン面談


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参考スライド)
カスタマージャーニーマップをHRで活用しよう!

こちらは別軸の話題になりますが、採用活動は「求職者」という顧客を集客することなので、「マーケティング」と基本的に考え方は一緒なのです。なので、ジャーニーマップの作成はとっても有効。このお話はまた次回に持ち越しましょう。


採用ステップ前
 ・書類選考
 ・個人面談
 ・適性検査
 ・実務課題
 ・最終面談


採用ステップ後
 ・オンライン説明会
 ・書類選考
 ・適性検査
 ・実務課題
 ・個人面談

元々の採用ステップは「ファンになってもらう」「より自社にマッチする人材を選考する」をひとつの面談のなかに押し込んでいた形だったんですね。(いま考えるとかなり無理がありますね。だから面談を2回やることになったのですが)当たり前ですが、人感のない企業に求職者は魅力を感じないので離脱します。だから、採用ステップの早い段階で面談を差し込まなければならなかった。求職者をモチベートさせる必要があるので、時間も労力も半端なくかかった。同時に、単純物量が多かった。


しかし、面談の役割を説明会と面談で分断することによって、求職者の「熱量」をリテンションさせ続けられたのです。それは、ひっくり返すと、個人面談に臨む求職者は「熱量」をもった「めちゃんこアツいヤツ」になります。これは、双方にとってのメリットになりました。結果的に、リソース削減と採用の質向上につながりました。


まとめ

意外と採用もフルリモート、できちゃいますよ。(一旦、セキュリティ要件は脇に置いておきますね) 


次回予告


▶採用はマーケティングだ!採用戦略設計の理論と実践
▶オンライン説明会とオフライン説明会は異次元 コンテンツ設計の仕方
▶あなたがもしも後輩をフルリモートで育成しなくてはいけなくなったら
 ー営業 編
 ー採用 編
 ー事務 編
 ーインターン 編 などなど


興味があるかたみんなで語りましょうー!

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