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メンヘラご婦人のための手引き書

はじめに

私の名は「つかふる姐さん」と言います。

自分で“姐さん”とか言っちゃって、どっかおかしいんじゃないの?と思われたそこの貴方、正解です。
私はいろいろおかしい人間です。

昼間はわりと大きな組織で心理の専門家をやっています。もう長いので、それなりに責任の重い仕事を受け持つようになりました。いつもほぼノーメイクの、小難しい、地味なおばさんです。

でも夜には別の顔を持ち、もう十数年の間、夜職がメインの収入源でした。今も銀座に籍は置いてありますが、店に出るのは月に数回。あとはほとんど個人的な契約のアポイントのみです。それでも昼職の収入を上回ります。

金持ち、投資家、詐欺師、経営者、企業役員、カタギではない人、弁護士、医師(これは昼夜どちらもですね)、精神疾患を抱える人、娼婦、投資家、店で一番の女性、犯罪を犯した人、死に向かう病を抱える人。
いろんな人に出会い、それぞれに深く関わってきました。

そうしているうち、人生をうまく生きている人にはこんな共通点があるんだな、人格者はメンタルをこうやってコントロールするもんなんだな、というのがわかってきたような気がします。


私自身はというと、冒頭に触れた通り、完全におかしい側の人です。
いわゆるメンヘラですね。

あなたの周りにもいませんか?

感受性が強く、自尊心が低く、情緒の波の上下が激しく、人の些細な言葉を被害的にとり、悲観的な物の見方をし、必要以上に人を疑い、感情を素直に表現できず、過去の嫌な出来事をいつまでも引きずる人。いつもくよくよと悩み、その場を楽しめず、よそよそしくて、輪に入れない人。

まさに私がそれです。いかにも生きづらそうですよね。

でも、私はそんな自分を、ちょっとずつコントロールすることで、この世界をサバイブしてきました。上に挙げたような人たちから少しずつ学んで、擬態するようにして。

メンヘラにはメンヘラの、処世術ってものが必要なんだと思います。
そういうのがあると、少し呼吸がしやすくなります。なんだ、生きるのって、別にそんな大変なことじゃないや。面白いもんだって思えるようになります。

今回はそういうものを書いてみたいと思います。


***


メンヘラご婦人のための手引き書

⒈必要なのは矯正ではなく熟知すること
⒉感情を馬にたとえるなら、うまく手綱を握ること
⒊想像のナイフは現実のナイフより常に鋭い
⒋思考や感情がうるさい時は、体に道を譲ること
⒌無駄な言葉を10喋るより、聞いて聞いて1話すこと
⒍妄想の凧が飛ぶ時は、現実との結び目を見失わないこと
⒎自分だけの秘密の逃避先を作ること


⒈必要なのは矯正ではなく熟知すること


「自分を変えたい」

「今の自分じゃだめなんです」

クライエントさんもよく仰るし、私自身もかつてそう思っていました。
ですが、人間てそう簡単には変わらないもんです。

もちろん変わる部分はたくさんあります。言動を変え、習慣を変え、環境を変え、生活を変え、全然別の人間のようになることだってできます。

でも、その人のベースにある、「世の中の認識のしかた」、つまり基本的な物の見方ってなかなか変わりにくいんです。わりと幼少期にその枠が作られてしまうせいもあります。学派によっては内的作業モデルとか、中核信念とか様々に呼ばれます。もちろん絶対変わらないってこともないのですが、そこに手を入れるとなると、それこそ腰を据えたカウンセリングが必要になってきます。

だから、「こんな私嫌だ、変わりたい」「もっと楽天的な人になりたい」「明るくポジティブな人になりたい」「こんな感じ方をしたくない」等、自分を丸ごとお取り換えというのは、結構大変な作業なのです。

それよりも、今の自分と世界の関係を正しく知ること。

・自分という人間は、他の一般的な人たちと比べて、どのくらい「ものの見方」や「感じ方」がズレているのか?どんな偏りがあるのか?

・自分のその「ものの見方」や「感じ方」は、実際場面でどんな影響を及ぼしているのか?そのメリット・デメリットは?

を知って、そのズレをどう調整していくか、対策を立てる方が、ずっとずっと建設的で、現実的です。

まずは良くも悪くも“ありのままの自分”というやつと向かい合い、受け入れ、熟知することです。自分と環境との間の相互作用について目を凝らす必要があります。問題を知らなければ問題を解決できないのと同じ。

別に私たち、変わってたっていいんです。多少ヘンだって、個性があったっていいんです。

「普通」の人になんか、ならなくたっていいんです。ていうかそんな人いません。みんなちょっとずつ変わっていて、極端な人もいて、そのだいたい平均値を私たちは「普通」と定義しているだけなんです。

多くの人が、実在しない"普通の人"という幻想に囚われて苦しんでいるだけなんです。

ただ、自分と、自分が生きている"平均的な世界"との関係性を知らないと、作戦すら立てられない。だからまずはこれが1番大事なことなんです。



⒉感情を馬にたとえるなら、うまく手綱を握ること


「気分が落ち込んで何もできなかった」
「怖すぎて動けなかった」
「不安で眠れなかった」
「怒りが爆発して傷つけてしまった」

感情というのは人が生きる上で大事なエネルギーの一つなので、それがたっぷりあるというのはある意味いいことです。ガソリンがたっぷりあるのと同じで、使い方によっては動力になります。

でも使い方を間違うと自爆します。それが厄介なところです。

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