見出し画像

あなたと絶滅しようと思う

昔読んだ女性作家さんの小説に、確かこんな一節があった。

(うろ覚えすぎて恐縮なので、あえて名前は伏せたい)

「あなたはどうしてそんなにも 子どもが欲しいと思うのですか。
 社会のため 国のため 生物としての義務だと言うのなら、
 既にこの世に命ある 無数の親のない子どもらを 引き取るのではだめなのですか。
 生を受けても死んでいく 恵まれない子どもらの 援助をするのは違うのですか。
 いいえ私の 私の 私の子どもが欲しいのですと
 あなたはそう言いますけれど あなたが産むのは他人です」

当時私は大学生か何かで、その本を読んだ時は正直他人事の様に思っていた。
「こういう人ってきっと普段から脳内ディベートみたいなのやってるんだろうな」とかちょっと的外れな感想を持っていたように思う。
それから、「子ども産む産まないって、理屈じゃないんだから議論しても無駄じゃないのかなあ」とも思っていた。

「人間(特に頭のいい人間)て、なんでも理論で説明できると思っているところがあるけど
人間だって動物なんだから、理論とか頭を超えたものに支配されることだってあるのに」と。

***

ここから先は

3,011字

¥ 500

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

いつもありがとうございます。あなたの貴重な時間やお金を、このような形で私に使ってくれること、すごいご縁だと感謝しています。私の力の源です。