今、目の前にあるんだ。それだけは確かなことなんだ。
よしもとばななの作品の中でも、『王国』は自分にとって大切な作品。
読んでいるだけで、優しい気持ちになれる、自然を慈しむ気持ちが自然と出てくる不思議な世界観。
大学生の時に、ちょうど新潮文庫で文庫版が出ていて、その後に4巻目がリアルタイムで発売された。
今も『王国シリーズ』を読んでいると、当時の甘酸っぱい思い出で胸がいっぱいになったりもする。
王国の中では、人との出会いと別れ、自然の寛大さと、人間の傲慢さが描かれている。
物語を読み進めていくにつれて、「いま、目の前の、この瞬間」を生きることが何よりも大切なのだと、心で理解できる。
過去も未来もいいけれど、やっぱり今目の前の瞬間をごくごくと水を飲むように、感じながら生きていたい。この本を読むと、いつもそう思うのです。