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【ファジサポ日誌】81.2023J2リーグ 昇格予想の答え合わせ

まだJ1昇格プレーオフを残す状況ですが、2023シーズンJ2の順位が確定しましたこのタイミングで、年始の昇格レース予想の答え合わせをしてみたいと思います。

まずは、予想を振り返ります。

予想記事を要約しますと、
自動昇格圏(2位以内)2チーム
① 清水エスパルス
② 徳島ヴォルティス
プレーオフ圏内(6位以内)6チーム
③ ベガルタ仙台
④ ファジアーノ岡山
⑤ モンテディオ山形
⑥ FC町田ゼルビア
⑦ ジュビロ磐田
⑧ ツエーゲン金沢

それでは「無印」のクラブも含めまして、順位順に答え合わせをしていきます。

1位 ⑥FC町田ゼルビア(勝点87・26勝9分7敗 得失点差+44)

6番手評価でした。全体の予想のポイントが「戦術の継続性」にありましたので、Jリーグでの指揮経験がない黒田監督の手腕が読めない分、プレーオフ圏内の予想に止めました。
しかし、このクラブのプランはおそらく単純かつ明確であったのかもしれません。圧倒的ポゼッションサッカーでリーグを陵駕した新潟が抜け、「手堅い」横浜FCも抜けました。
ならば、3位岡山のスタイルをヒントに、戦力をそれ以上に充実させ、その甘さを徹底排除すればJ2は優勝できる。
甘さの排除を徹底する上では、高校のような子弟関係も必要ということで、黒田監督の招聘に繋がったのかもしれません。
更に原強化部長、ミッチェル・デュークといった「岡山の肝」を引き抜きます。怪我で途中離脱しましたが、エリキは予想どおりの活躍。
バスケス・バイロンなど青森山田出身選手の活躍も目立ちました。
戦略が非常にしっかりしていたと思います。こうした目に見えない部分にもしっかり投資していたのかもしれません。

残念でしたのが、時折発生する相手選手の怪我に繋がる、また選手生命さえ揺るがしかねないラフプレーが散見されたことです。露骨な反スポーツ行為も行き過ぎとの印象は残りました。
J1に昇格してどのようなスタイルになるのかわかりませんが、今後大事故が起きないことを願っています。

2位 ⑦ジュビロ磐田(勝点75・21勝12分9敗 得失点差+30)

7番手評価、プレーオフ圏内の予想でした。戦力の質は随一も、長丁場のJ2、しかもルヴァンカップにも出場する状況において、補強禁止の影響は多分にあるものと思いましたし、監督初挑戦となった横内監督の手腕も未知数でした。
しかし、クラブのピンチともいえる状況が、却って指揮官、スタッフ、選手の「一体感」を作り上げていたように見えました。
そして見事であったのが、登録選手ほぼ全員を戦力として使い切るマネジメントです。これはコンディショニングの勝利ともいえます。
懸念されていた前線は、ドゥドゥのSHへのコンバートが嵌りましたし、やはり後藤啓介の台頭、ジャーメイン良の成長は目を見張るものがありました。松原后の迫力あるオーバーラップ、闘争心も目立ちました。
選手、スタッフ、サポーター一同が「クラブ」のために戦う一体感が自動昇格の大きな要因であったのです。

3位 (無)東京ヴェルディ(勝点75・21勝12分9敗 得失点差+26)

勢いを持って昨シーズンを終えたこと、城福体制2年目の継続性はかなり気になりましたが、佐藤凌我、ンドカ・ボニフェイス、馬場晴也などセンターラインがごっそり抜けてしまった点は、大きな減点として、無印にしてしまいました。
染野唯月の復帰や中原輝の獲得は大きかったのですが、このチームには次から次へと有望な若手が現れます。関東のクラブという立地性、伝統のユースを活かしたスカウト力がこのクラブの強みなのだと改めて感じました。
それが如実に出たシーズンであったと思います。
さて、プレーオフですが筆者はこのチームが勝ち抜くのではないかと現段階では予想しています。3位の優位性を最も活かせるチームスタイルであると思います。

4位 ①清水エスパルス(勝点74・20勝14分8敗 得失点差+44)

昇格筆頭候補でした。間違いなく個の力は抜きん出ていました。
序盤の出遅れに関しては、戦術的にも少々堅過ぎるとの印象はありました。
手遅れになる前に秋葉監督にスイッチ。アグレッシブさを取り戻したのですが、大量得点で派手に勝つ試合も多かった反面、ポカも多かったと思います。しかし、清水のレビュアーさんの記事を読むと、実は組織的な守備が未整備などの戦術的な問題点も数多くあったようです。
外国籍選手も含めて強烈なタレントたちに組織を植え付ける。想像以上に困難な作業なのでしょう。
プレーオフ初戦の相手は山形。おそらく一番やりたくない相手なのではないでしょうか。

5位 ⑤モンテディオ山形(勝点67・21勝4分17敗 得失点差+10)
5番手評価の予想どおり、プレーオフ圏に滑り込んできました。しかし、予想記事では「春先どれくらい勝てるかが鍵」としていましたので、開幕後例年以上に勝てなかった点は非常にまずい流れでした。
非常に負けが込んだ状況で渡邉監督に交代したのですが、ここで後方からのビルドアップのみに拘らず、ボール運びに柔軟性を持たせ、よりゴールに直結するプレーを意識した修正が見事でした。
藤本佳希の安定感、デラトーレ、チアゴアウベスの決定力向上もチームの上昇に直結しました。
降格圏もちらつく中、上を見据え勝点3にこだわってきた姿勢は「21勝17敗」の成績に表れています。

6位 (無)ジェフ千葉(勝点67・19勝10分13敗 得失点差+8)
年明けの段階ではノーマーク。補強状況をみましても、おそらく一般的な千葉サポさんであっても懐疑的な新体制であったと思います。
しかし、小林監督の指揮の下、キャンプ中のトレーニングマッチやちばぎんカップで、面白いサッカーをしているとの情報は入ってきていました。
シーズン全体を通しますと、インテンシティの高さが目立ったのですが、単にそこだけではなく、もっと総合的な「ボールの支配」に関してよく練られていたという印象です。岡山としては5失点大敗したホーム戦が衝撃でしたが、筆者はフクアリのドローの試合の方が実は印象に残っています。

さて、ここからは残念ながらプレーオフ圏から外れたクラブについてです。

7位 (無)V・ファーレン長崎(勝点65・18勝11分13敗 得失点差+14)
戦力と監督が志向するサッカーのミスマッチについて予想記事では書きましたが、カリーレ監督のやりたいサッカーというのが見えにくいという印象は今シーズンも残りました。もっと上位にいてもおかしくない戦力なのですが、各選手のサイズの大きさは間違いなく武器でした。

8位 (無)ヴァンフォーレ甲府(勝点64・18勝10分14敗 勝点+10)
予想記事ではACLの影響と、ウタカ次第という内容を書きました。
そのACLも上手く戦力を分散し、リーグ戦への勢いに転化出来ていたと思いますし、ウタカ以外でも点が獲れるようにもなっていました。
躍進したイメージの割には勝点が伸びませんでした。
年間を通すと7~8月の夏休み期間中の不振が響いた格好です。豊富な運動量を要求されるサッカーの弱点がそのまま出た格好かもしれません。

10位④ファジアーノ岡山(勝点58・13勝19分10敗 得失点差0)

※早いうちに別記事でまとめたいと思います。
1~6位相手には4勝3分5敗、比較的勝敗はきっちりついています。
中位から下位相手のドローが最後まで響きました。

15位②徳島ヴォルティス(勝点49・10勝19分13敗 得失点差-10)
自動昇格候補でした。大誤算でしたし、このチームの低迷から自分自身のサッカーの見方の浅さを感じました。ポヤトス監督が引き抜かれたとはいえ、昨シーズンの核となったメンバーが残り、レジェンド柿谷曜一朗や期待のストライカー森海渡を補強。若干35歳ラバイン監督の就任には驚きましたが、スペイン流にこだわるクラブの強い意思を感じました。
意欲的なチャレンジに好感を持ちました。
しかし、昨シーズンのサッカーとは全くと言っていいほど異なる細かい立ち位置や繋ぎにこだわらない縦に速いサッカーを志向するとは思いませんでした。
当たり前なのですが、スペイン人のサッカーにも様々なスタイルがあるということです。戦術浸透に時間がかかる中、監督初挑戦となるラバイン監督の経験不足も出てしまったように思えます。
サッカーの奥深さを感じました。

16位③ベガルタ仙台(勝点48・12勝12分18敗 得失点差-13)

3番手評価、戦力は間違いなく上位。場合によっては自動昇格圏も有り得ると思っていました。
岡山も苦しみましたが、岡山以上に苦しんだクラブともいえます。
なぜここまで低迷したのかが上手く説明できないチームなのですが、まず序盤の可変システムの効果があまりなかったのではないかと思います。
監督交代後はシンプルな仕組みに代わりましたが、攻撃は個人能力頼みになっていたと思います。モヤモヤした試合が続くうちに様々なトラブルが重なり、クラブ全体で失速してしまった印象です。

22位⑧ツエーゲン金沢(勝点35・9勝8分25敗 得失点差-29)

プレーオフ圏大穴評価でした。過去と比較しても一番の意欲的な補強、新スタジアムへの気運などを理由に挙げましたが、この前のレビューでも述べましたとおり、マンマークにこだわり過ぎたという印象は拭えません。
守備戦術が浸透しないまま、攻撃面で特徴を持つ新戦力の良さも出ませんでした。
フロントと現場の関係性の難しさがピッチ上に伝わってくるようなシーズンであったといえます。

以上、しっかりデータ等を検証していない書き流した文章でしたが、今シーズンの予想の答え合わせをしてみました。
J2は難しい…ただただそんな感想です。
最終的に人件費や資金どおりの順位に着地するという見方もあり、それも真理なのでしょうけど、やはりピッチ上で起こる出来事は観戦者の予想を超えることもあるという事を読み取っていただけたら幸いです。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

【自己紹介】
麓一茂(ふもとかずしげ)
地元のサッカー好き零細社会保険労務士
日常に追われる日々を送っている。
JFL時代2008シーズンからのファジアーノ岡山サポ
得点で喜び、失点で悲しむ、単純明快なサポーターであったが、
ある日「ボランチが落ちてくる」の意味が分からなかったことをきっかけに
戦術に興味を持ちだす。
2018シーズン後半戦の得点力不足は自身にとっても「修行」であったが、この頃の観戦経験が現在のサッカー観に繋がっている。

アウトプットの場が欲しくなり、サッカー経験者でもないのに昨シーズンから無謀にもレビューに挑戦。
持論を述べる以上、自信があること以外は述べたくないとの考えから本名でレビューする。
レビューやTwitterを始めてから、岡山サポには優秀なレビュアー、戦術家が多いことに今さらながら気づきおののくも、選手だけではなく、サポーターへの戦術浸透度はひょっとしたら日本屈指ではないかと妙な自信が芽生える。

岡山出身ではないので、岡山との繋がりをファジアーノ岡山という「装置」を媒介して求めているフシがある。

一方で鉄道旅(独り乗り鉄)をこよなく愛する叙情派でもある。



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