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【ファジサポ日誌】32. 2023 ポストコロナのJ2リーグJ1昇格圏予想

お久しぶりです。
1月中旬、各クラブの新体制が順次発表され、そろそろ2023シーズンの陣容が固まりつつあります。
これからキャンプイン、練習試合などが進むにつれ各クラブの戦術は明らかになりますが、まずはこの段階で2023シーズンJ2リーグのJ1昇格争いを予想してみたいと思います。

はじめに

予想を始めるにあたり、まずは今シーズンのJ2リーグの「私的」ポイントを整理します。
そのうえでJ1昇格争いについて、自動昇格圏内とプレーオフ圏内に分けて該当クラブを予想します。例年の最終勝ち点からJ1昇格の可能性があるクラブ(自動昇格+プレーオフ進出)は7~10、キリが良いところで今年は8クラブを挙げてみたいと思います。
私はファジサポですので、ファジアーノ岡山について若干評価が甘くなる点はご容赦ください。

ちなみに…昨シーズンの予想

nоteを始めたのが昨シーズン開幕からということで(Twitterも昨シーズンから活用)、これまでは毎シーズンの予想を細々と投稿している拙インスタで公開していました。
私の予想の精度を知っていただくために、昨シーズンの予想を振り返ります。

2022シーズンJ2リーグ予想

◎自動昇格圏内

長崎、横浜FC、山形、水戸

・長崎
優勝候補でしたが、クリスティアーノを買い被り過ぎた点が反省材料です。毎熊(C大阪)の穴は想像以上に大きかったです。
・横浜FC
堅い試合運びをしてくると思っていました。順当でした。
・山形
優勝候補にしていましたね。案外、序盤~中盤の勝ち点が伸びなかったです。
・水戸
プレシーズンマッチで鹿島に勝利したインパクトが強く、自動昇格圏の大穴と思っていました。鈴木喜丈(水戸→岡山)が先日の新加入会見で語っていましたが、岡山と比較して粘り強い守備が水戸には若干不足していたのかもしれません。

○プレーオフ圏内

岡山、千葉、町田、仙台、大分、甲府、新潟、熊本
(そもそもこんなにチームを挙げて予想と呼べるのか?…ゴメンナサイ)

・岡山
プレーオフ圏内筆頭と予想しました。期待どおりの結果を出しました。
・千葉
2021シーズンが翌年に期待を持たせる終わり方でしたが、攻守の比重が悪かったと思います。
・町田
昨シーズン途中から今オフのような豪華補強を実行する可能性があるとみていました。昨シーズンは「待ち」の一年であったのか。
・仙台
あの大失速は意外でした。
・大分
そもそもコロナの影響をかなり受けていたと思います。
・甲府
大分同様、コロナで序盤躓きました。前年3位のクラブの難しさを感じました。途中から目標は実質天皇杯になっていたと思います。
・新潟
松橋体制に変わりアンカーを配置する気配があり、どうなるのか?という点を読み切れず、自動昇格圏内までは推せませんでした。結果が出ないとみるや序盤でダブルボランチに変更。見事な修正でした。
・熊本
独特のスタイルが対策しにくいと思った点、若くて走れる選手が多いことから、プレーオフ圏内の大穴に挙げました。躍進に驚きは無かったです。

1.ポストコロナのJ2リーグ

2023シーズンは昨シーズンよりも非常に熾烈なJ1昇格争いが繰り広げられるとみています。
ここでは2023シーズンが熾烈な戦いとなる理由として、Jリーグの環境面の変化をみていきます。

(1)「静」から「動」へ転換するJリーグ

その理由のひとつとしてJリーグの新たな成長戦略&構造改革がJ2リーグに及ぼす影響が挙げられます。
2020シーズンはJ2降格クラブを0にするなど、コロナ禍においては救済策に重きを置いていたJリーグですが、2023シーズンはいよいよコロナ後を睨み動き出します。

成長戦略と構造改革の詳細についてはJリーグのHPをご覧いただきたいと思いますが、ポイントは2つあります。

① J1、J2の均等配分金比率の大幅変更
「均等配分金」とはJ1~J3のJリーグ全クラブに文字どおり「均等」に「配分」されるお金のことで、カテゴリーごとに金額が決まっています。Jクラブの貴重な収入源になっていますね。
2022シーズンはJ1が3億5千万円、J2が1億5千万円、J3が3千万円となっていました。J1とJ2の比率は大体2:1というところでしょうか(それにしてもJ2:J3は現時点で5:1なんですね…)。
これを、J1クラブに傾斜配分、つまり欧州並み(6:1や9:1)の比率を目指して変更するというものです。
目的は世界に突出したJクラブをつくるためということなのですが、この点については野々村チェアマンが動画でも語っていますので参考にしていただければと思います。

J2クラブとしては、J1クラブとの配分比率を変えられるだけでも経営に大きな影響を及ぼすのですが、更に悪いことに2023年度のJリーグ予算はクラブへの配分金を約37億円の減額としているのです(下表①事業費の「クラブへの配分金」を参照)。
全体のパイが減らされ、かつ取り分け分も大きく減らされる。J2クラブにとって屋台骨自体が揺るぎかねない変更ともいえます。
J1昇格を目指すJ2クラブとしては、早い段階でJ1昇格(復帰)を果たさなければ、その後のJ1昇格の可能性が低くなり、またクラブの経営自体が困難となる可能性があるのです。

② 各カテゴリーのクラブ数統一
もうひとつのポイントはJリーグの各カテゴリーのクラブ数を2024シーズンから「20」に統一するという変更です。
皆さまご存知かと思いますが、この変更は今シーズンのレギュレーションに大きな影響を与えます。
現在J1が18クラブ、J2が22クラブですから、これを20に揃えるために2023シーズンはJ1からの降格クラブを1、J2からの昇格クラブを3としました。
これに伴いプレーオフにJ1から参戦するクラブは無くなり、プレーオフはJ2・3~6位のトーナメントを突破すればJ1昇格できることになりました。
最後にJ1・16位が立ちはだかるJ1参入プレーオフ突破の難易度は昨シーズンの熊本に代表されるように非常に高いものがあります。

2023シーズンは近年のシーズン以上にプレーオフ進出からJ1に昇格する可能性が高まっているのです。

以上①と②で述べました理由により、今シーズンをJ1昇格(復帰)に向けて「勝負」と位置付けているJ2クラブが例年よりも増えているのです。

(2)コロナガイドラインの変更

昨シーズンの予想の振り返りを行った際に、コロナによる影響を受けたチームについて触れました。
ファジアーノ岡山も昨シーズン、大一番のひとつアウェイ横浜FC戦をコロナ陽性者の発生により急造メンバーで戦いました。良いゲームでしたが、結果的に敗れたことを考えるとコロナの影響は大きかったといえます。

XII. 検査(有症状発生時)
8.    2023 シーズンより定期検査を廃止し、体調不良となった場合に検査を実施する
詳細はリーグからクラブへの案内参照

Jリーグ 新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン(2023 年改定版)より
https://www.jleague.jp/img/pdf/2023_0112_1.pdf

2023シーズンの「コロナガイドライン」によりますと、コロナの定期検査が廃止され体調不良者が出た場合のみの検査実施と変更されました。
これにより、昨シーズンよりもコロナ陽性判定による欠場は少なくなるものと見込まれます。
つまり、2023シーズンは各クラブベストメンバーで戦える可能性が高くなり、レギュラー層が充実しているクラブがより実力を発揮しやすくなると予想します。

2.過密日程の解消

昨シーズンはワールドカップの影響により10月にはレギュラーシーズンが終了する異例の過密日程でしたが、2023シーズンはこれが例年のスケジュールに戻ります。
現時点(1月15日)では全日程が発表されていないため言及しませんが、おそらく2023シーズンはミッドウィークの試合が減少し、選手の体力的負担も減少するのではないでしょうか。またリーグ戦中断期間が発生すれば、この間のチームの建て直しも可能となります。
夏のマーケットも昨シーズン以上に活性化する可能性があります。

3.新たなストライカーの確保

これはTwitterでフォローさせていただいています「ファジア二スタはま」さん@Fagianista_Hama の投稿からヒントを得ました。

×の選手はJ1昇格(チーム・個人共に)

昨シーズンのJ2トップスコアラーの多くがJ1への昇格を果たしています。過去のシーズンまで調べていないのですが、今オフは個人昇格が多かった印象です。
つまり彼らの代わりとなる新しいストライカーを確保できているかどうか?
ここも上位進出のポイントのひとつになると考えます。

3.予想のポイント

以上1・2を踏まえました2023シーズンの(私的)予想ポイントを整理します。

① J1昇格に向けた補強を敢行したクラブによるハイレベルな争い
・ プレーオフ進出にもひょっとしたら勝ち点70は必要か?
・ 下馬評どおりに順位が決まるシーズンか?
・ 戦術浸透のために勝ち点は落とせない
  →自動昇格圏は昨シーズンから体制継続のクラブが有利。
② レギュラーメンバーが充実しているクラブ
・ レギュラーとリザーブに実力差があっても上位進出可能か?
③ ストライカーの確保

これらの視点を基に陣容、戦術浸透度(継続性)、ストライカーの3点(S~C)を中心に予想してみたいと思います。

4.2023予想 ◎自動昇格圏内(2クラブ)

① 清水エスパルス

陣容:S
戦術浸透度:A
ストライカー:S
(寸評)
優勝候補筆頭です。
昨シーズンもJ1で決して悪いゲームはしていなかったと思います。
しかし後半ATの失点は実に8を数え、結果的にここでの勝ち点取りこぼしが降格の直接的な要因となりました。
それも元を辿れば、なかなか追加点を奪えなかった決定力の無さにあったのですが、今オフは主力のほとんどが残留したうえに、弱点と思われていたCBに昨シーズン柏で29試合に出場した高橋祐治を補強。
決定力に関しても、昨シーズンレンタル先の山形で決定率25.0%をマークしたディサロ燦シルヴァーノが復帰。
ゼリカルド監督の続投も継続性という点でプラス要素と考えます。

② 徳島ヴォルティス

陣容:A
戦術浸透度:A
ストライカー:S
(寸評)
一昨シーズンにJ1で二桁勝利をマークする健闘も4クラブ降格の煽りを受けて再びJ2へ。
昨シーズンは、ポヤトス体制継続も主力の流出により再び戦術浸透を図ることになりました。このロスがリーグ最多の引き分け23に繋がったと考えます。
勝利に必要なあと1点を奪うために、昨シーズン柏でブレイクした森海渡の獲得を皮切りに、クラブのレジェンド柿谷曜一朗や渡大生が復帰、J3今治で12得点をマークした千葉寛汰らを補強しました。
中盤以下も西谷和希、白井永地、内田航平、カカ、ホセアウレリウスと主力が残留し、まさしくリーグ屈指の陣容といえます。
監督は提携先のレアル・ソシエダからべニャートラバイン監督を招聘しました。細かい戦術面は不明ですが、スペイン流の追求継続に間違いはなく、習得が難しいと言われていたポヤトス監督の戦術よりも融通が利く仕組み(マークの受け渡しなど)であれば、このメンバーはあっさりこなしてしまうとみます。

5.2023予想 ○プレーオフ圏内(6クラブ)

③ ベガルタ仙台

陣容:A
戦術浸透度:S
ストライカー:A
(寸評)
昨シーズン夏以降の大失速が無ければ、自動昇格争いにも顔を出していたと思われます。伊藤彰監督就任後は2勝2分4敗でしたが4位熊本から勝利を挙げるなど内容には向上の兆しがみられました。
2023シーズンはヘッドコーチに渋谷洋樹、コーチに堀孝史と監督経験者を据える豪華指導陣となります。続投する伊藤監督と共に手堅いチームを作り直してくるとみました。昨シーズン終盤、綻びを見せていた最終ラインに熊本から菅田真啓、大分から小出悠太と実力者を補強。
前線にも神戸から郷家友太、C大阪から山田寛人を加え、中島元彦や氣田亮真の負担を減らせそうですが、何と言っても昨シーズン14得点の中山仁斗の残留が大きなプラス材料です。

④ ファジアーノ岡山

陣容:A
戦術浸透度:A
ストライカー:A
(寸評)
ミッチェルデューク町田移籍のインパクトが強く、細かい補強内容が隠れがちですが、まずはデュークに当てていたマイボールを確実に前線に運ぶサッカーにシフトチェンジを図っており、鈴木喜丈、田部井涼などレフティーを中心にビルドアップに適した選手を時間をかけて補強しました。
ミッチェルデューク、徳元悠平以外は主力の引き留めに成功しましたが、ボールの運び方を変えている分、戦術の浸透には少々時間がかかる可能性もあります。
昨シーズン16得点のチアゴアウベスの契約更新は補強並みのプラス材料です。
二桁得点の実績がある日本人FWの獲得を望む声もサポーターにはあるようですが、櫻川ソロモンの昨シーズンの千葉での7得点は千葉の戦術を考慮するならもっと評価されるべきですし、坂本一彩の潜在能力はJ2での大ブレイクを予感させます。
2年目の木山監督が幾通りも考えられる選手の組み合わせをどのように考えるのか注目ですが、戦術浸透の観点からも時間はかけ過ぎたくたくないところです。

⑤ モンテディオ山形

陣容:B
戦術浸透度:S
ストライカー:B
(寸評)
このクラブに関しては、アウェイゲームが続く春先にいかに勝ち点を稼ぐかが課題なのではないかと感じています。戦術については何も言うことはないと思います。今シーズンも見事なパスサッカーを展開すると思いますが、中盤に山口から田中涉が加わり、今シーズンはダイナミックなキックからチャンスを作るシーンも見られそうです。
しかし、ディサロ燦シルヴァーノの清水復帰、半田陸、山崎浩介のJ1個人昇格の穴は大きいと感じました。前線はデラトーレ、チアゴアウベスの決定力向上が求められます。

⑥ FC町田ゼルビア

陣容:S
戦術浸透度:B
ストライカー:S
(寸評)
新体制1年目でJ2を優勝するサッカーを考えるうえで、昨シーズンの岡山の堅い守備から縦に速いサッカーは町田の大きな参考になったと考えます。
岡山原強化部長、ミッチェルデュークの招聘はその証といえるでしょう。
残っている映像が少ないのですが、エリキは中国でもしっかりプレーしていたようです。J1ならまだしもJ2であれば得点量産の気配が漂います。
いわゆる負けないサッカーをしてくると思います。前線がブレーキでもセットプレーで点を取るサッカーをイメージしています。
昨シーズンとは全く異なるチームになりそうですので、相互理解や戦術浸透にどれぐらいの時間がかかるのかがポイントでしょう。

⑦ ジュビロ磐田

陣容:A
戦術浸透度:A
ストライカー:B
(寸評)
昨シーズンの主力選手のほとんどが残留し、クラブの危機を乗り越えようとする一体感がありますが、やはり補強禁止の影響は大きいと思います。
特に前線、CFの補強ができないのは痛いと感じました。いかにPA内にボールを入れるのかが課題ですが、横内新監督がこの点についてアイデアを持っているのかは未知数と感じます。

⑧ ツエーゲン金沢

陣容:B
戦術浸透度:S
ストライカー:A
(寸評)
最後に大穴として、新スタジアム建設に向けて気運が高まっている金沢を挙げます。全体的な選手層の厚さという面ではここまで挙げてきたクラブとは少し差がありますが、今シーズンは例年以上に意欲的な補強を敢行しました。レギュラーメンバーは強化されそうです。
昨シーズン13得点の林誠道が残留、元水戸のジェフェルソンバイア―ノが爆発すれば安定した成績を残しそうです。

その他

長崎、甲府を挙げていないので少し触れます。
長崎は戦力的にはGKやCBにもメスを入れ、ファンマデルガドの加入も心強いのですが、最終ラインから丁寧に繋ぐサッカーが合っているのだろうか?という点が気になり、今回は昇格候補に挙げませんでした。
甲府はACL出場という快挙が昇格気運を高めそうですが、ピーターウタカの状態次第の面を感じました。
こうした懸念が解消されましたら、長崎も甲府も上位に進出する力は十分あります。

おわりに
以上、一サポーターの完全な独断と偏見で2023シーズンのJ1昇格レースを占ってみました。
最初にも少し書きましたが、この先、キャンプや練習試合の進展によりこの予想に変化が加えられることになると思います。
現段階で確実に言えることは、今年のJ2はこれまで以上に熾烈な戦いになるということです。きっと面白いと思います。
お読みいただきありがとうございました。

※敬称略

【自己紹介】

麓一茂(ふもとかずしげ)
40代。特定社会保険労務士という仕事をしています。
JFL時代からのファジサポです。
昨シーズンからレビューに挑戦、このレビューを通して他のサポーターさんとの交流が広がったと感じています。
サッカーはまだまだわからない事が多い、目の前の試合に向き合いながら今シーズンも学んでいきたいと思います。

学びを諦めない、知ること諦めないはモットーのひとつです。

ミラーレス一眼片手の乗り鉄です。
意外にも「アウェイ鉄」さんって多いんだなと最近気づきました。
時刻表と選手名鑑が愛読書です。

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