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【ファジサポ日誌】90. 激戦~2024J3リーグ J2昇格予想~

毎年恒例、昇格予想記事、まずはJ3編です。
早速、昨シーズンのおさらいから入りましょう。

1.2023昇格予想のおさらい

J2昇格(2位以内)候補に5チームを挙げました。
「2023J3リーグは愛媛の年になる」がテーマでした。
①~③が本命級、④⑤が大穴とお考えください。

① 愛媛FC ⇒優勝
② FC今治 ⇒4位
③ カターレ富山 ⇒3位
④ ガイナーレ鳥取 ⇒6位
⑤ SC相模原 ⇒18位

もうちょっとで愛媛勢のダブル昇格でしたね!惜しかったです!
前年からの継続性、上積みという点を重視しました。
愛媛は予想どおり、今治は監督交代で自らリズムを失ったという印象が残りました。富山も惜しかったのですが、夏場に勝点を稼げなかった点と若干ボール運びが単調な点が最後に響いたと思います。
逆に2位の鹿児島については、前年夏に失速したこともあり、継続性は評価しながらも若干戦力の薄さが気になり昇格候補から外したのですが、昨シーズンも同様に夏場に失速しかけたところを監督交代で乗り切り、当初リザーブと目されていた選手たちがよく頑張っていました。

昨シーズンのJ3はシーズン途中での監督交代が相次いだのですが、S級ライセンス取得者も限られるため、監督シャッフルのような現象が発生しました。結果的にYSCC横浜のように成績が向上するケースもありますので、監督とチームの相性というのも存在するのかなと思っています。

そして選手層が限られるJ3において、38試合という試合数はやはり多いと思います。夏場は試合内容の面からも各クラブ苦しんでいました。
特にナイター設備がないロートフィールドで開催される奈良クラブのホーム戦では、試合中にアイスブレイクが設けられていましたね。この過酷な夏を乗り切るマネジメントも必要なリーグです。

2.2024昇格予想のポイント

(1)プレーオフ新設

最大の変更点になります。
まず6位以内という現実的な目安が出来た点から、今オフは意欲的な戦力補強、体制変更を行ったチームが増えました。
昨シーズンのJ3はご存知のとおり昇格枠は2。2位争いは接戦になったため、上位5~6チームが終盤戦まで高いモチベーションを維持して戦った影響もありましたが、14位のAC長野パルセイロまでが勝点50以上をマーク、17位のFC琉球までが二桁勝利をマークしました。
6位ガイナーレ鳥取の勝点は56でしたので、6位と14位の勝点差が6しかない大混戦の戦いであったのです。

下位常連チームの躍進も混戦に拍車をかけました。
石崎信弘監督を招聘したヴァンラーレ八戸は初の一桁順位をマーク、前年16位のY.S.C.C.横浜はFW福田翔生がブレイク、夏のマーケットでJ1湘南に送り出すものの愛媛、今治、松本に勝利するなど上位キラーとして存在感を発揮します。中山雅史監督が就任したアスルクラロ沼津は4-1-2-3を採用し、攻守に切り替えが速いサッカーを展開、J2ライセンスが不透明ながらも一時は2位を窺いました。

この状況でプレーオフが導入されますので、高いモチベーションでの6位以内争いが展開されるでしょう。この混戦はまさに激戦へと昇華していくことでしょう。

(2)J3残留争いの激化?

昨シーズンの特異な状況として振り返りたいのが、リーグ残留争いがほぼ発生しなかったことです。これはJFLからJ3へ昇格する可能性のあるチームがHondaFCの独走により実質1チームのみとなり、更にギラヴァンツ北九州が早々に最下位に定着してしまったからです。

このことにより、当初19位と入れ替え戦圏内にいたSC相模原(最終的に18位)は次年度も見据えたチームづくりに着手。ギラヴァンツ北九州もひとまず自動降格はなさそうなことから、じっくりと構えたチーム再建に舵を切っていたように見えました。

本来、激化する筈の残留争いがほぼ発生しなかったという点はリーグ全体に及ぼす影響も大きかったと思います。

今シーズンはどうでしょうか?
昨シーズン最終節残り5分(AT入れるともう少し)で入れ替え戦進出を逃したJFL・レイラック滋賀が昨シーズン以上に強化に力を入れています。
Hondaは安定した力を発揮するのかもしれませんが、ソニー仙台の牙城を崩すクラブが出てくれば、J3の残留争いも激しくなります。

(3)大宮と金沢は抜けているのか?

小見出しに対してストレートに答えるなら、その答えは「否」であると思っています。この点についてはこの後の予想で述べたいと思います。

つまり、2024シーズンのJ3は大激戦、昨シーズンからの上積み内容がモノを言うとよみます。

それでは予想に移ります。昨シーズンは5チームの昇格候補を挙げましたが、今シーズンはJ2編に揃えて自動昇格圏内2チーム、プレーオフ圏内6チーム、計8チームを昇格候補に挙げます。

3.ひまわりは枯れていなかった

(1)自動昇格圏予想(2位以内)

① ギラヴァンツ北九州
テーマは「新進気鋭の指揮官とベテランの力」
前年最下位からの大逆転、ギラヴァンツ北九州のJ2復帰を予想します。
昨シーズンは序盤から勝点を積み上げられず、早々に最下位に定着してしまいました。しかし、その内容は大敗というものは少なく、45失点は上位陣と遜色がないレベル。得点力が課題となりました。
天皇杯ではファジアーノ岡山と対戦、筆者は現地観戦しましたが、実際のところ順位ほど悪いチームにはみえなかったという印象も残っています。
昨シーズンは技術力が高い若手選手が多く、しっかりしたビルドアップを模索する反面、強度不足によりボールを運べないシーンが散見。若手選手が自信を失い、失敗を繰り返す悪循環があったようにみえます。
しかし、シーズン途中からは入れ替え戦や今シーズンを見据えた戦いにシフトしていた傾向もありました。選手を育てては大量に引き抜かれるという近年の悪循環の極みともいえた昨シーズンは、もはやノーカウントとみて良いような気もします。

クラブとして、チームとしての課題が比較的明確であり、5年間続いた小林体制に終止符を打った今オフは、J2岡山からFW永井龍、松本からMF喜山康平など実績経験豊富なベテランやいわゆる「戦える選手」を補強。テクニックがある若手との融合を目指しています。
そして特筆すべきは新指揮官に鳥取から増本浩平監督を迎えたことです。
昨シーズン途中から鳥取を率いましたが、就任後の成績はなんと11勝8分5敗。勝点41を積み上げ、チームを18位から6位に引き上げました。
なぜ鳥取が契約を更新しなかったのか謎なのです。
人気漫画「アオアシ」の「佐竹監督」のモデルになったことでも知られていますね。
TMでも結果を残しているという情報もありますし、北九州の本来のポテンシャルとの化学変化が起これば一気に頂点という未来も決して飛躍し過ぎではない気がします。

② FC大阪
テーマは「ハイプレス+α」
そしてJ3、2年目FC大阪を対抗に挙げます。
このチームの場合はJ2ライセンスの交付が条件になりますが、クラブのリリースによりますと、昨シーズンの段階で基準未充足とされたU-15チームについては立ち上げ準備も完了していたようです。クラブもJ3優勝、J2昇格を全面に出した新体制発表となりました。
昨シーズンもJ3昇格1年目ながら、終盤まで2位を狙える位置につけていました。最終的にライセンス不交付もチームの士気に影響した気もしますが、志垣良監督のハイプレス戦術が若くて体力がある選手たちにマッチしていたと思います。志垣監督がJ2山口に移り、昨シーズン途中まで鹿児島を率いた大嶽直人監督が就任、ハイプレスの継続に加え、攻撃面でのバリエーション増が期待されます。
特筆はその選手数の多さです。実に22人が新加入となりましたが、全国的には無名ながらも若くて走れる選手が多い編成になっています。
昨シーズン、夏場に苦しんだチームが多かった中、体力・走力の充実は上位進出の確実な武器になりそうです。
昨シーズンの成績からの上積みとよみ、自動昇格圏と予想します。

(2)プレーオフ圏内(6位以内)

③ 松本山雅FC
テーマは「翼の強化」
霜田体制2年目、J1浦和から馬渡和彰が加わり、昨シーズン成長を遂げた藤谷壮や山本龍平と共に雷鳥の両翼を担います。得点王、小松蓮はJ2秋田に引き抜かれましたが、奈良から浅川隼人を獲得。トップ下は菊井悠介の引き留めに成功、相模原から安藤「翼」も加わりました。
元々霜田監督がつくるチームは攻撃力があり、課題はディフェンス面にあるとはよく言われるのですが、ここはCBに高橋祥平を補強。個の力量アップでどこまでカバー出来るかに注目です。
キャンプリポートからは過去数シーズンの中では最も良い雰囲気を感じました。当初は自動昇格圏の予想を予定していましたが、攻撃陣の主力、高井和馬の負傷、長期離脱の影響は大きいと考え、若干割り引きました。
エース浅川隼人の負担をいかに減らせるかが鍵です。

④ 大宮アルディージャ
テーマは「長澤スタイルの浸透と継続」
布陣のみをみれば、昇格候補の筆頭と考えられるのですが、岡山を指揮していた頃のような堅牢な守備組織をこの大宮で築くのに、どのくらいの時間を必要とするのか、これが最初のポイントと考えます。岡山を率いていた頃と比べますと、J3でも各チームそれなりの堅い守備、切り替えの速さを標榜するチームは増えました。いかに他チームとの違いを出せるかもポイントになるかもしれません。
更に攻撃に関しては、杉本健勇に収める部分を求めるのか、それともフィニッシュワークまで求めるのか、チームとして誰に点を獲らせるのか、こうした部分のイメージをチームとして共有することも必要と考えます。
シュビルツォクの起用法もポイントになります。故障がちと思われますし、前線からの守備という点では目を瞑らなくてはならない面もあると思います。案外懸念要素が多そうですが、それでも確実に勝点は積んでくると思います。最終的にはハードワークをリーグ終盤戦まで続けられるかどうかに懸かっているとみています。

⑤ FC今治
テーマは「我慢」
引き続きFC今治も昇格候補に挙げます。J3の中では最もビルドアップがしっかりしているチームですし、最も面白いサッカーをしていると思います。データから昨シーズンは決め切るところが若干弱かったのかな?という印象は持っています。戦力的にはもう1人ストライカーが欲しいという気もしますが、バランスは最もいいですね。
今シーズンは服部年宏監督が率いますが、どうやら4-4-2を継続するようです。福島では無念の途中解任となりましたが、今シーズンも調子が悪い時期が来た時に、フロントがどこまで我慢するのかがポイントになりそうな気がします。

⑥ カマタマーレ讃岐
テーマは「得点力向上」
ここからは穴っぽいチームを挙げてみます。
昨シーズンの順位自体は16位でしたが、いいチームになったと好印象を持っています。1-0で勝利する試合運びをモノにしている点は今シーズンも大きな武器になると思います。堅守をベースに得点力向上をねらい富山からFW大野耀平を獲得。クロスからの得点が多いデータからも理に適った強化が出来ているといえます。
念願のクラブハウスも完成しましたし、クラブ全体に良い空気が流れている点もいいですね。結構、頑張るのではないでしょうか。

⑦ ツエーゲン金沢
テーマは「戦術浸透」
降格組なのですが、近年は極論すると戦術らしい戦術がなかったようにみえました。そこへ戦術家の伊藤彰監督が就任しましたから、選手のモチベーションは高まっているのではないかと予想しています。しかし、その分前体制との落差も大きいといえ、また伊藤監督の可変システムを浸透させるにはそれなりに時間もかかりそうなことから、序盤は苦労する可能性もありそうです。

⑧ Y.S.C.C.横浜
テーマは「侮るなかれ」
そして最後に大穴としてY.S.C.C.横浜を挙げます。
このチームの試合は注目チームの対戦相手としてみることが多いのですが、一時期の「ボーナスカード」のような存在から、年々手強い相手として進化しています。いわゆる変な失点が無くなりましたし、選手層も徐々に厚くなってきました。「誰が」とか「この戦術が」という点では語れないのですが、激戦と予想する今シーズンにおいては6位以内に食い込んでくることを想定しても不思議ではないと思うのです。

以上、駆け足でしたが、今シーズンのJ3リーグ昇格予想を終えたいと思います。なかなかJ3まで観るのは大変なのですが、ファジアーノ岡山に縁のある選手も多く、非常にウォッチし甲斐のあるシーズンになりそうです。

今回もお読みいただきありがとうございました。

※敬称略

【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
地元のサッカー好き社会保険労務士
日常に追われる日々を送っている。

JFL時代2008シーズンからのファジアーノ岡山サポ。
得点で喜び、失点で悲しむ、単純明快なサポーターであったが、ある日「ボランチが落ちてくる」の意味が分からなかったことをきっかけに戦術に興味を持ちだす。

2018シーズン後半戦の得点力不足は自身にとっても「修行」であったが、この頃の観戦経験が現在のサッカー観に繋がっている。
レビュアー3年目に突入。今年こそ歓喜の場を描きたい。

鉄道旅(独り乗り鉄)をこよなく愛する叙情派。

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