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【向日葵は枯れていない!】6.ギラヴァンツ北九州ミニレビュー~第7節 vs 大宮アルディージャ

この試合に関してはどうしても岡山サポ的な目線で観てしまいました。
土曜日のJ2大分-岡山を観戦した岡山サポも数多く観戦していた一戦です。もちろん筆者は北九州贔屓なのですが、時間帯によっては元ファジ戦士が6人同時にピッチに立つ瞬間があり、彼らが闘志を燃やす姿に様々な想い出が甦り少々目頭が熱くなるのでした。

1.試合結果&スタートメンバー

ギラヴァンツは残念ながら今シーズンホーム初勝利とはなりませんでしたが、今シーズン1、2を争う好内容であったと思います。
その証にドローながらも試合終了後のミクスタに響き渡る割れんばかりの労いの歓声、拍手はDAZN越しにも伝わってきました。

惜しいゲームが続くチームと、試合内容が渋いながらも勝点を積み上げていくチームとの間には実は大きな差はあるのかもしれません。
しかし、今の北九州の試合内容の向上ぶり、選手のプレーぶりには人を信じさせる説得力があります。

J3第7節 北九州-大宮 メンバー

メンバーです。大きなところではCF(10)永井龍がスタメンに復帰、最近1トップでの起用が多かった(29)高昇辰がOFMを務めます。

2.レビュー

(1)総評

お互い4-2-3-1のミラーゲームということもあり、序盤から激しいボールの奪い合いになりましたが、北九州は前線~ミドルゾーンでの激しいプレスで主導権を握ります。首位大宮に真正面からぶつかるという増本監督のコメントがそのまま反映されているような戦いぶりでした。
北九州は10~20分台前半には中盤で良い形で奪い、中盤から前線へ鋭い縦パスを差すシーンもありましたが、大宮の堅い守りを崩すには至らず、逆に28分CH(11)喜山康平が中盤で大宮にボールを奪われたところから素早く繋がれ、大宮RSH(41)中野克哉からのクロスをOFM(23)杉本健勇に飛び込まれ先制を許します。
その後数分は、リズムを取り戻せない北九州でしたが、33分RSB(23)坂本翔のクロスからCF(10)永井龍がシュート、38分には同じく(10)永井がダイビングヘッドで枠内に飛ばしますが、これは大宮GK(1)笠原昂史のビッグセーブで防がれますが、北九州は前半のうちに攻勢を取り戻します。
同点に追いつきたい北九州は後半更にギアアップ。ほぼワンサイドゲームとなる中、何度もサポーターが待つ大宮ゴールに迫りますが、決め切ることが出来ません。しかし67分、左サイドからボックス内にこぼれたところを(11)喜山が豪快に蹴り込み同点。ミクスタのボルテージが最高潮になる中、ホーム初勝利を目指して更に攻勢を強めますが、やはり最後を決め切れず悔しいドローに終わりました。

大宮のこれまでのゲームも何試合が観ていますが、おそらく内容的には今シーズンワーストです。ボールロストも多かったですし、特に後半は苦し紛れのファールも多かったと思います。しかし、自陣でブロックを敷いた際の守備は堅牢で岡山サポ目線では、長澤徹監督のつくったチームらしさを感じさせました。
獲られなければ、いつか獲れるというサッカーです。得点シーンのように奪ってからゴールを陥れる速さ、そして(23)杉本のJ3では別格の技術で無敗、上位をキープしているという印象でした。

(2)坂本が関与するビルドアップと前線の流動性

ミラーゲームになった場合、各ポジションの「殴り合い」を制するかという個の勝負と、いかに「違い」をつくるかという組織としての勝負がポイントになると筆者は考えています。
この試合の北九州で特に良かったと感じたのが、RSB(23)坂本翔の攻撃への関与です。12分のように大宮のLSH、LSBを続けざまに剥がし、逆サイドの(10)永井のシュートに結びつけたように大宮相手に「個の勝負」で優勢に立っていましたし、ビルドアップへの関与という点でも右サイドから1レーン、2レーン内へ正確なパスを差す、また高い位置を取りパスを受けることで、大宮から厳しいマークを受ける(11)喜山、(34)高吉正真を助ける動きは「偽サイドバック」とまでは言わないまでも効果的であったと思います。
また、惜しくも外れてしまいましたが、70分LSB(33)乾貴哉からのクロスに頭で合わせるなどフィニッシュワークにも関与、サイドバックの攻撃関与に課題を残していた北九州としては前節今治戦に続く(23)坂本の躍動は今後の大きなプラス材料になりそうです。

また前線4枚(10)永井、(29)高昇辰、LSH(21)牛之濱拓、RSH(17)岡野凛平の流動的なポジションチェンジも大宮の守備に的を絞らせず、北九州が押し込む一因になっていたと思います。

強いて改善点を挙げるなら、最近トップ起用が続いていた(29)高昇辰が若干(10)永井など最前線の選手とポジションが被るシーンがあったことぐらいです。

(3)認めざるを得なかった杉本健勇の効き目

北九州と大宮の守備面を比較して、大宮に分があった点はOFM(23)杉本の守備面での貢献であったと思います。前線からCHの辺りまで広範に顔を出すことによって、特に北九州の2CHにプレッシャーを掛けていました。28分大宮の先制点のシーンにもその駆け引きの巧さが現れていたと思います。

J3第7節 北九州-大宮 28分大宮先制のシーン

北九州が大宮陣内右サイドで押し込んでいた場面でスローインを獲得。(11)喜山が受けた場面です。この時の(23)杉本の立ち位置が効いていました。
(11)喜山はここまで前線の4枚に斜めのパスを度々差していました。この時も(21)牛之濱が受けに一列下りてくるのですが、このパスコースを遮断していたのが(23)杉本でした。この時(23)杉本はおそらく背後から(11)喜山に迫る大宮FW(42)藤井一志の動きも視野に入っていて、(11)喜山の横への持ち運びに合わせて対面のポジションを獲り続けるのです。
そして、(42)藤井がボールを奪うと一気にボックス内へと一直線にスプリントしていました。(34)高吉はこの動きに反応、懸命に戻りましたが間に合わなかったという大宮の先制点でした。
岡山サポ目線では、レフティの(11)喜山がボールを奪われる時の典型的なパターンなのですが、流石にそこは長澤監督よく知っているよなという感想でした。それにしても北九州のボランチから前線へ差すパスの傾向を掴み即座に対応した(23)杉本の戦術眼の高さを窺い知る場面でした。

しかし、北九州の同点ゴールは失点のきっかけとなった(11)喜山の左足から生まれたのでした。

(4)ストライカー喜山をみた!

久々にストライカー「11番」の喜山康平を観た気がしました。
(23)坂本、(34)高吉、(17)岡野が右でつくりクロス、こぼれ球を(33)乾が落とし、(10)永井や(29)高昇辰が大宮最終ライン引きつけ、ぽっかり空いたスペースで(11)喜山が左足を振る。
チームで丁寧につくったお膳立てを豪快に決め切る。
ごめんなさい、草創期の岡山のストライカー喜山康平を少々思い出していました。
それはともかく、このシーンもやはり左右に相手の目線を振っている点が効いていたと思います。形は異なりますが、今治戦のゴールとの共通項は見えたと思います。いかにボックス内で相手の目線を振るかが、基本的な事かもしれませんが北九州の得点アップの秘訣なのかもしれません。

今回もお読みいただきありがとうございました!

※敬称略

【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
岡山のサッカー好き社会保険労務士
日常に追われる日々を送っている。

JFL時代2008シーズンからのファジアーノ岡山サポ。
得点で喜び、失点で悲しむ、単純明快なサポーターであったが、ある日「ボランチが落ちてくる」の意味が分からなかったことをきっかけに戦術に興味を持ちだす。

2018シーズン後半戦の得点力不足は自身にとっても「修行」であったが、この頃の観戦経験が現在のサッカー観に繋がっている。
レビュアー3年目に突入。今年こそ歓喜の場を描きたい。

北九州大学(現:北九州市立大学)法学部出身
北九州は第二の故郷ということもあり、今シーズンからギラヴァンツ北九州もミニレビュー作成という形で追いかける。

鉄道旅(独り乗り鉄)をこよなく愛する叙情派。

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