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映画の良いところは感情に触れること

けんぽくフィルムズとは

〝いばらきを映画のまちに〟をテーマに、映画を創るだけではなく市民といっしょにシナリオの基礎から学び、制作しているチームがある。

KENPOKU FILMS(けんぽくフィルムズ)という、全員近隣に在住または働いている市民。

映画づくりワークショップから制作部が生まれ、映画業界にいる監督とプロデューサーを中心に地域発信型のPR映画づくりを行なっている。

どういった経緯で市民との映画づくりをはじめたのか?また、実際にどんなことを学ぶのか?映画に関して、まったくの未経験でも大丈夫なのか?

映画監督でもあり講師を務める、速水雄輔さんにお話を伺いました。

速水雄輔(はやみずゆうすけ)

ー映画づくりワークショップをはじめたきっかけ

速水:2021年ジャパンワールド映画祭の開催をきっかけに、その後どうやったら地域のみなさんともっと関わりを持って、いっしょに楽しくお祭りが出来るか?参加型で巻き込めないかと実験的にやってみたのが、映画づくりワークショップでした。

ーシナリオ講座は書くのが得意じゃなくてもできますか?

速水:まずは自分なりにシナリオを書きます。シナリオといっても、日記やSNS投稿に近いです。テーマに沿って自身が感じたこと、気付いたことをありのままに書いてもらいます。そう考えると日常で誰でもやってること、できることです。
もちろん、効果的なシナリオライティングはお伝えしますが。技術的なことや型、文章にとらわれるよりも、心が一番動いた瞬間や体験を通じて自身がどう感じるか?なぜそういう風に感じるのか?自分自身を見つめることで生まれる感情、大切にしていることは何か?まずは自分と向き合うことからはじまります。

シナリオ講座

ーこれまでのシナリオ講座のテーマはどんなものでしたか?

速水:テーマは複数あるのですが、そのひとつは「故郷」でした。最終的には参加者の中から映画化する作品を決めるのですが、みなさんそれぞれの人生とエピソードがあります。その中から選ぶのは大変でした。

ー実際に選ばれた作品からどのように映画化を進めるのですか?

速水:シナリオのベースとなる物語はひとつ決めますが、柱というか骨格となる部分だけです。肉付けは参加者全員でアイディアを出し合います。なので、実際にあった話からドラマタイズされて、ドキュメンタリーではなくフィクションとして構成していきます。

共同脚本方式

ー全員で脚本を脚色するのは黒澤明監督の共同脚本方式にも近いのですか?

速水:複数人で同じ脚本を練るのはそうですね。より良い脚本を仕上げるために、肉付けといっても物語の本質は骨格部分にあり、その本質を見極める作業になります。主人公の成長と変化のストーリーを深掘りしていきます。

ー4回の講座でプロットを完成させるのですね?

速水:はい。参加されている全員の生の声をひとつずつ拾いながら、世界観やキャラクターを創っていきます。物語の大枠ができたら、そこからはわたしが脚本化します。

カメラ講座

ーカメラ・照明・録音講座などもありますね?

速水:実際に現場で使用する機材を用いながら、まずは知ってもらいます。基本的な使い方なども簡単にお伝えしながら、興味があれば触ったりしてもらいます。
講座だけで伝えるのは限界があるので、撮影現場に参加して積極的に動いたりして、やってみるのが一番です。これがやりたいという参加の仕方でも良いですし、やってみて向いてる向いてないなど、興味がはじめて生まれることもあります。
映画のエンドロールにたくさんの名前があるように、現場には役割がたくさんあります。市民のみなさんと創るときはあまり決めずに、いろんなことに挑戦してもらいます。

ー講座後に実践編として映画を撮影まで?

速水:映画づくりを学んで終わりではなく、制作過程の撮影に向けての準備からはじまり、撮影現場を実際にスタッフとして経験。物語を完成して映画祭で上映、そして舞台あいさつまで、すべてのプロセスに関わることができます。映画を撮るだけではなく、観客に届けることができて、はじめて映画として歩き出します。どんな風に観客に届いたかも知ることができます。

第1弾!「ブルーベリージャムを作って」舞台あいさつ

ー映画を1本完成させて上映まで…壮大ですね!

速水:ヘロヘロになります(笑)具体的には、脚本が決まったらロケーション候補やキャストの宿泊所、衣装や美術などをワークショップ参加者に提案してもらいます。
撮影日はカメラのアシスタント、マイクやレフ板を持ったり、カチンコを打ってもらったり。役者の送迎やお弁当の手配など、制作部として関わってもらいます。役割分担するので社会性さえ身に付けていれば、はじめてでも問題ありません。
撮影は限られた状況の中で最大限のことを成し遂げなければならないので、チームワークであったり、起点を効かせたりする柔軟さが必要で、それもまたひとつの学びになるかと思います。

ーキャスティングはどのように?

速水:現地の方にお願いすることもありますが、主軸となるキャラクターはプロの役者をキャスティングします。
現場では息遣いがわかる距離感でプロの演技を見ることができますし、どうやって役作りするのか?演じるのかといったことも肌で感じられるので、ワークショップ参加者にとって刺激になるはずです。
昨年はワークショップ参加者も出演して共演したりもしました。

ーなかなか体験できることじゃないですね

速水:そうですね。しかも、自分たちが共同脚本で描いた物語を目のまえで演じてもらいます。ひとつの物語を共に関わり合いながら創ることで、プロやアマチュア関係なく一体感が生まれてきます。

第2弾!「じいちゃんと夏」

ー第1弾!「ブルーベリージャムを作って」は〝最優秀作品賞〟を受賞するほどの快挙に!

速水:アカデミー賞公認の大きな映画祭で入選したり、フランスとインド、そして日本合わせて4つの賞をいただきました。全部で12ヶ所の国際映画祭で上映されました。
参加者のリアルな声を映画化したことにより、その声が多くのひとの心に届いた、普遍的なテーマであったこと、世界共通の問題を扱ったことが大きかったのかと思います。

ー第3弾!映画ワークショップからどんな作品が生まれるか?

速水:これまでも参加者全員のエピソードを映画化したいくらい、ひとりひとりの想いに触れてきました。今回も10人いれば、10人分の物語が生まれます。最終的にはひとつに絞りますが、参加者との出会いが本当に楽しみです。

ーメッセージはありますか?

速水:映画の良いところは理屈抜きに感動したり、感じたことを受け入れる、すべての感情に触れること。だけど、それを自分がどのくらい大事にできているか、それらを知ることは日常で案外してません。
自分が物語の主人公になったとして、その物語の中で自分はどこにいるのか?未知の世界にどれだけオープンか?しがみついているか?変わりたくないことも、また発見だったりします。自分に触れる機会になると思います。
まずは単純に興味だけでも、関わってもらって映画づくりって楽しいよねと感じてもらいたいです。ぜひ体感してみてください。

映画づくりワークショップ参加者募集

映画監督が講師になり、映画づくりを学ぶワークショップを開催します。
このワークショップの最後には、実際に映画を1本撮影します。完成した作品は、ジャパンワールド映画祭会場の大画面で特別上映されます。

参加資格 どなたでもご参加いただけます(中学生以上)
参加費  2,000円/全4回(学生無料)
会場   おおみやコミュニティセンター(常陸大宮市北町400-2) 
日時   以下の通り 午前9時〜12時(途中休憩あり)
①5月12日(日)シナリオ講座
②5月19日(日)シナリオ講座 カメラ講座
③5月26日(日)シナリオ講座 照明講座
④6月2日(日)シナリオ講座 録音講座
※映画撮影日 7月中に2〜3日程度を予定
※ジャパンワールド映画祭上映 8月17日(土)18日(日)@常陸大宮市を予定

お申し込み先

事務局へメール・またはPeatixにて
※メールの場合は、お名前・年齢・性別・住所・参加動機を明記のうえ
映画祭事務局<jwff.miwa@gmail.com>にお送りください。

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