〝金の卵〟をどう育てるか 「開国」後に問われる日本の真価|【WEDGE SPECIAL OPINION】日本第一主義の「コロナ鎖国」 これでは世界から見放される[PART2]
新型コロナウイルス感染症の発生から3度目となる春の訪れとともに新年度が始まった。
だが、かつては多くの外国人観光客で賑わっていた地域や、国際的事業の多い企業、国際教育交流の盛んな大学などでは、外国から訪れる人の数がまだまだ少ない状況が続いている。
日本はコロナ禍を通じて、外国人の入国に関し、世界でもトップクラスの警戒度を維持し、厳格な水際対策を行ってきたからである。
この間、海外の日本研究者やビジネスパートナーの間では、日本の鎖国政策に対する不満が鬱積していった。2020年冬には、多くの国が国際交流を制限したこともあり、厳しい水際対策にも一定の理解を得やすかった。筆者の住む米国内の大学関係者の間でも、日米の学生や研究者の交流が途絶えることにさまざまな懸念はあったが、当時の状況からは、しばらくの間、訪日が困難な状況が続くことは仕方がないという認識の方が強かった。
しかし、21年11月以降、日本の鎖国政策が国際社会でも際立って厳しい制限であったことや科学的根拠に乏しかったこと、さらにその状態が何カ月も続いたことなどから、相次いで批判の声が聞かれるようになった。揚げ句には海外の日本研究者が連名で「開国」を求める声明を出したり、在日米国商工会議所や在日ドイツ商工会議所などからも水際対策緩和を要請される事態となった。最終的には、こうした声を受けて水際対策の緩和が実現し、岸田文雄首相はその「聞く力」を示したのだが、なぜこれほど時間がかかったのだろうか。
複数の海外経済団体からも日本の
「開国」を望む切実な声が上がった
この鎖国政策は、国民の8割以上が支持する政策だった。当時はまだオミクロン株が高い感染力を有するということ以外に謎が多く、各国が戦々恐々としている状況だった。そのため早めに国境封鎖を行うという岸田首相の決断は、力強いリーダーシップとして歓迎された。この背景には、それまで後手後手になっていた政府のコロナ対策が転換したものとして、多くの国民に受け入れられたことがある。
だが、時が過ぎるにつれてオミクロン株に対する恐怖心が薄れ、国境封鎖の科学的根拠が疑問視され、他国では国際交流が元に戻りつつある中でも、日本の鎖国政策は続いた。日本政府にとっては……
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