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アフリカ系特有の“伸びる足”も習得可能!?川勝良一が提唱する足指トレーニング|サッカーパパ・ママが知るべき最先端理論

6月22日・23日に開催された「WHITE BOARD CONFERENCE」では、「親が変われば、子供の未来が変わる」をテーマに、日本トップクラスの講師陣が登壇。世界で戦う選手の育成に必要なメソッドやマインドを余すことなく伝えた。

6月23日のセッション3に登壇したのは、川勝良一だ。Jクラブの監督や強化アドバイザー、大学のコーチなど、育成年代からトップまで幅広いカテゴリーの指導を続けている。その中で、昨今、川勝氏が注目しているのが「足指」だ。足の指を使えるかどうかが、レベルアップの鍵をにぎる。その真髄とは何か。自らの理論に基づいて確立した“練習だけうまい選手から卒業する”川勝式トレーニングに迫る。

いいことしかない足指トレーニング

筋肉と体幹を鍛えるだけで満足していないだろうか。ピッチに立ってプレーするサッカーにおいて、「足の裏」は言わずもがなすべての動作に関係する。「立つ」という動作が当たり前すぎるがゆえに目を向けにくく、無意識の領域になっているのも仕方ないのかもしれない。しかし、拓殖大学テクニカルアドバイザーの川勝良一は、足裏、特に育成年代における「足指トレーニング」の重要性を説く。

「(足指を自由に使えることは)プロレベルでは当然です。控室で話していた中村憲剛さんも開いたり閉じたり、曲げたり伸ばしたり自由自在でした。でも、大学生も含めた育成年代の選手のほとんどは足指がくっついて動かない。大学生だと筋力や体幹のトレーニングを頑張って120kgのバーベルを上げられるのに、足元に意識を向けていないから不安定で、横から押せばすぐにぐらつく。足指を自由に動かせるようになると、芝生のピッチをつかむように立ったり走ったり止まったりできるので、キック時のボディバランスが良くなり、相手のボディコンタクトに耐える力が増します」

たしかに足指が広がれば、ピッチと接する足裏の面積が大きくなって「立つ」という動作の安定感が向上する。パス、ドリブル、シュート……すべてのプレーは「立つ」の上に成り立っているため、プレーのクオリティが高まることは間違いない。U-23日本代表のDF関根大輝は飛行機移動や寝る前にも足指トレーニングを実践し、川勝の先輩にあたるラモス瑠偉も、現役時代から足指をそれこそ手の指と同じように自由自在に動かしていたという。

では、足指を鍛えるとどんなことができるようになるのか。著書『サッカー うまい選手は足指が開くクリエイティブが目覚めるトレーニング』の制作に携わった池田タツとの対話形式で進行するなか、川勝は以下の6項目を紹介した。

①1歩目のスピードが上がる
②動かしたいように体を動かせる
③柔らかいボールタッチ
④アフリカ系選手のように伸びる足
⑤頭の器用さ
⑥無駄な動きを減らせる

日本代表選手がアフリカの国との対戦後に「足が伸びてきた」と口にすることがある。「足が伸びる」という感覚はアフリカ系の選手特有のバネや体の構造があり、それが日本人とは異なるため、その差に驚くという主旨であると思っていた……。しかし、川勝は足指を鍛えれば軸足でしっかりと地面をつかんで安定して立てるようになり、以前よりも足を出して届く範囲が広がると言う。

講義中には川勝が裸足になって足指トレーニングを実演する場面も。小指から親指まで1本ずつを上下に動かして着地させる「ウェーブ」を披露すると、参加者からは感嘆の声が漏れた。

練習のための練習からの脱却

また、講義では川勝が考えるテクニックとスキルの違い、実際に拓殖大で実践しているトレーニング方法、日本人が練習だけうまいと言われる理由と、そこから脱するためのアプローチなどの興味深い話も展開された。

「日本人はマジメだから、課された練習をちゃんとやろうとします。それは大事だけど、曜日ごとに決められた練習内容が変わらなければ、ずっと同じことをやっているのだからできて当たり前。でも、サッカーは不規則性のゲームなので、いいパスが来るかどうか、相手がどう動くか、味方がどう走るのかは毎回変わる。練習メニューのなかで設定や条件などを少しずつ変え、それに敏感に反応してスムーズにプレーできることが大事なんです。それを習慣化させるために普段の練習に慣れてきたら変化を起こす。タッチ数や人数、プレーの方向を変えて、それに適応していくことで本番のゲームで成果を出せるようになります」

指導現場で感じた、日本人特有の気質と日本で当たり前になっている練習の構築方法を踏まえて“試合で活躍するため”という練習の本質を捉えた考えを語った。

自身のオンラインサロン『TEAM POSSO』の取り組みにも触れながら、川勝が構築したトレーニング映像がスクリーンに映し出された。4人1組が必ず2タッチでパスを回し、勢い良く追いかける1人のDFをかわすパス回しや、中央の四角のグリッド内に入ってパスを受け、出してグリッド外に出ていくなど、パスも移動も高速で行い、技術とフィジカルを同時に高めていく。短い時間で区切ることで、スピード感と強度を保ち、効率良く取り組むこと川勝式スキルトレーニングの特徴だろう。

常識を覆すような斬新なメニューが紹介されたが、どれも実戦的でかつ無駄がそぎ落とされていた。練習のための練習から抜け出し、的確に成長するための秘訣が詰まった内容は、参加者にとって目から鱗が落ちるものだったに違いない。

【冒頭4分公開 #07】
川勝良一「練習だけうまい選手から卒業する川勝式スキルトレーニング」

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