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わたしの仕事はわたしだけのもの。 仕事に関する曖昧な心情をエッセイにして、毎日22時頃…

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わたしの仕事はわたしだけのもの。 仕事に関する曖昧な心情をエッセイにして、毎日22時頃に更新しています。

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ブラック企業から転職したらブラック企業だったけど、割と楽しい#1

今日、部長が退職する。 理由は方向性の違いだそうだ。使い古されたミュージシャンの解散理由ようなそれを直に耳にするとは思ってもいなかったが、私はそれに特に何か感じることもなく、淡々と聞き流していた。大切なのは部長が去ることではない。午後以降、後任の人事発表と共に巻き起こるであろう山のような引継ぎと新たな上司から発される方針転換に対応するための準備をしなくてはならないということだ。 部長と言っても長い付き合いではない。一昨年オーナーの個人的な伝手で入社し、昨年オーナーの唐突な

    • 最強の矛と盾の接触は人類には早すぎた

      最強の矛と盾はこうして接触を回避した。 商人の英断だ。言われるがままに矛で盾を突いてしまえばどうなってしまっていたのだろうか。 人類の秩序を決定的に破壊しかねなかった瞬間はここに回避された。 物理法則でいえば、いずれかが折れるか壊れるか、あるいはいずれもが破壊されることを想像する。この「ある人」もその前提で質問をしている。商人が答えなかったのも、嘘があるからだということを認めたからだと思っている。 本当にそうだろうか。

      • 僕たちは城を作った

        ある日の昼過ぎのこと。 物置の奥で眠っていた折り畳み式の机を引っ張り出して丁寧に拭く。 畳にして半畳ほどのそのスペースに100円ショップで買い込んだたくさんの部材を並べて、思いつく限り機能的に、思いつく限り美しく。線を這わせて本を並べて、壁にぶら下げたり張り付けたりして作った張りぼての城。 それはまるで子供時代に夢中で作った秘密基地のようなチープさと、秘密であるはずなのに外からは丸見えの矛盾をはらんだ泡沫の儚さを持ち合わせた素敵な空間になった。 毎日、毎日そこでいろんな

        • 戦争稼業

          混沌の中に需要あり。 今の世界は間違っている。 正しくはこうあるべきだというギャップが願望となり、何かを支払ってでも解決に向かいたいと思うのは人間の性だろう。 だから誰かの役に立とうとするならそれは必ず混沌の中に身を投じることであり、安寧の中で一定の収入を得ながら生きることは許されない。 戦場が平定されれば次の戦場へ。ニーズから次のニーズへ。 だって平和な世界で人を撃ってしまったら、それはもう犯罪者なんだからね。 それはつまり、自分を捨てて生きていくことになりかねないじ

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        ブラック企業から転職したらブラック企業だったけど、割と楽しい#1

          銀河鉄道の夜

          もっと遠くへ もっと遠くへ 行きたいと頬を濡らし、汗を振り切って進む 父が死に。母が死に。 わたしは何を思うだろうか。 今のわたしに満足してくれるだろうか。今のわたしは満足するだろうか。 わたしには何もない。 本当に、何もないんだ。

          銀河鉄道の夜

          いつか死ぬとしたら自殺がいい

          ハイデガーの言う通り、自らの死だけは誰かに肩代わりして貰うことは出来ず、その責任から逃れることは出来ない。 我々は現存在として来るべき死の事実に向き合うことではじめて自由に、自分を取り戻すことが出来る。 内なる良心の呼び声が聞こえなくなってしまったとか、その声に従えなくなっえしまったら、それはもう生きていないのと同じだ。 よくいる誰かのひとり。わたしの世界を構築するわたし以外の雑多な何か。 ただ息を吸い、命を食べて、排泄するだけの永久機関。始まってしまったのだから、終わらせ

          いつか死ぬとしたら自殺がいい

          丸1年休みがあったら何をしようか 何をするか思いつくまでに3ヶ月 計画を立てるのに3ヶ月 準備を整えて3ヶ月 実行するのに3ヶ月 でもこれじゃあ、帰ってきてから休めないよなぁ

          丸1年休みがあったら何をしようか 何をするか思いつくまでに3ヶ月 計画を立てるのに3ヶ月 準備を整えて3ヶ月 実行するのに3ヶ月 でもこれじゃあ、帰ってきてから休めないよなぁ

          人生騙し騙し、時間を稼ぐことも必要だよ

          人生騙し騙し、時間を稼ぐことも必要だよ

          猜疑心

          行きつく先は自分。 自分だったらどう考える。自分ならどうする。普通だったら、皆だったらなんて関係ない。自分は自分の主観以上の世界を見ることはできない。 想像することはできる。思いを馳せ、共感し、学ぶことができる。 しかし追い詰められて視野が狭まればその限りではない。 自分の経験から、自分の信念から、蝕まれた視野の中で選び取るしかない。 あの時はどうだった?奴は裏切った。 あの時はどうだった?奴は去っていった。 あの時はどうなった?奴を信じて失敗した。 あの時の奴は、あの時

          二勝一敗くらいでちょうどいい

          全戦全勝は辛い。勝ったというのに反省点を探さなくてはならない。 勝ったのに次の挑戦を探さなくてはならない。 そのうちレベルがカンストして、装備はすべて手元に揃い、倒すべき裏ボスもイースターエッグもなくなって村人も同じ話を繰り返すだけ。 なんて孤独な世界だろう。さあ次のソフトに移ろうか。一応記念にセーブはして、もう二度と差し込むことのないディスクを取り出す。 わたしも連れて行ってくれないだろうか。残念ながらそうはならなかった。 おそらくこれからもそうだろう。 これまでたくさん

          二勝一敗くらいでちょうどいい

          まぁ、いいか仕方ない。 上司とうまくいかなくても、まぁいいか。 希望した仕事じゃなくても、まぁいいか。 思い通りの進み方でなくても、まぁいいか。 迷惑かかっちゃったけど、まぁいいか。 まぁいいじゃないか。 それでも明日はやって来る。

          まぁ、いいか仕方ない。 上司とうまくいかなくても、まぁいいか。 希望した仕事じゃなくても、まぁいいか。 思い通りの進み方でなくても、まぁいいか。 迷惑かかっちゃったけど、まぁいいか。 まぁいいじゃないか。 それでも明日はやって来る。

          ブラック企業から転職したらブラック企業だったけど、割と楽しい#6

          ファットマン杉浦曰く、私には気合が足りないのだそうだ。 何事も為せば成る。為さねば成らぬ。本当に何かを為したいのなら手段を選ぶ余地はない。結果を得るためにはすべてを尽くし、努力で補えなければ誰かを頼り、足りないパーツはあらゆる手段を使って埋める。実のところそれは行動次第でどうとでもなる。だからその気合をもってすればあらゆる事が叶うというのに、私は勝ち方やら上手くやろうとするあまりにそれを見失ってしまっているというのだ。 それはその通りかもしれない。その通りでないことを証明で

          ブラック企業から転職したらブラック企業だったけど、割と楽しい#6

          赤のやりたくないvs青のすごくやりたくない

          赤コーナーの勝利。相手が悪かった。 諦めて着手する。 あいつよりかはマシだとか、比較的恵まれた方だとか、何気ない毎日が一番幸せとか。 なかなか賢いことを考えるものだと思った。 何かやりたくないことがあるとき、それに無理して取り組む必要は無い。そんなことで心を痛めてしまっては本末転倒。 無理して一生懸命やる必要は無い。 自分に出来ることは、もっと嫌なことを見つけよう。選択肢を絞ってどちらかを選ぶ環境に身をおこう。後ろ向きだと思うかい?でも得られる結果は一緒。 逃げずに頑張っ

          赤のやりたくないvs青のすごくやりたくない

          評価のはなし

          労働における五つの次元について、ドラッカー曰く 生理的な次元:人は毎日同じスピードとリズムで働けない 心理的な次元:労働は重荷であると同時に本性でもある 社会的な次元:人と社会をつなぐ絆であり位置づけ 経済的な次元:労働は生計の資であり基盤 政治的な次元:権力を得たり行使したりする 評価とは尺度のことで、その集団における基準となる。 評価の尺度が適切に配置されているとき、その絶対軸に沿って善悪が判断され、成果と失敗が判断され、昇進したり降格したりする。絶対的な神の

          評価のはなし

          老人の国

          2人の老紳士が向かい合っている。 片方はすっかり白髪で腰は曲がり、動かなくなった口でもごもごと伴侶の話をする。もう片方の男は老人と言ってもまだ若く、スマートフォンを片手にニコニコしながら話を聞いている。時折写真を撮ったり、メガネを取り出してメニューを覗き込んだりする。 きっと親子なのだろう。 どこを見渡しても老人ばかり。老人の子もまた老人となった。きっと彼の息子や白髪頭の方の両親も、まだ老人なのだろう。 若さが永遠のものになるとしたら、若さの基準がわたし以上の速度で上がっ

          老人の国

          どうでも良くなるくらいで丁度いい

          忘れられない後悔がある。 それは忘れられない環境にいるからだ。そこから離れてしまえばもうどうでも良くなってしまう。世界は広く、また数多くある。何かに囚われることは時にパワーを産むが、それでなにかを為しえたわたしは果たして幸せか? 首を吊った誰かのことも、去っていった友人達も、飛行機が突っ込んだビルのことも、波に飲まれた故郷も。全部忘れた。全部が明確に思い出せない。わたしはそんなことに構っていることを許されない。今日この日を生き抜くことで精一杯。わたしが余裕を持って生きようと

          どうでも良くなるくらいで丁度いい