渡辺 達哉(Tatsuya Watanabe)

国内・海外のカルチャーやスタートアップ、ニュービジネスから持続可能な未来のための次のビ…

渡辺 達哉(Tatsuya Watanabe)

国内・海外のカルチャーやスタートアップ、ニュービジネスから持続可能な未来のための次のビジネスのヒントを発信します。Sustainable Business note連載中。

最近の記事

食のトレーサビリティを変える海外サステナブルスタートアップ

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が続き、外食に行く機会が確実に減りました。家で料理するためにスーパーマーケットに行く機会が増え、日々食材を選ぶ中で、その産地などにも気にかけるようになりました。 買い物をしているうちにふと気になり調べてみると、食材だけでなく、加工食品の原材料に関しても、産地表示が義務づけられているようです。2015年からスタートしており、2022年の3月までに、全ての加工食品に原材料の産地表示を行うことが義務化されています。 世界中の食材が我々の食卓に届

    • 土の健康を守る海外サステナブルスタートアップ

      外食中心から自炊中心へと生活が変わったことで、食への関心がこれまで以上に高くなり、さいきんでは食材の産地や農薬の有無などにも気にかけるようになりました。 日本の農地は火山灰土壌が多いため、世界の農地と比較すると生産性が低く、また温暖多雨な気候により病害虫が発生しやすいことから、他国と比較して、農薬を多く使用していると言われています。 長い間農薬や化学肥料を使用し続けたり、過度な農業生産で土地を酷使したりすると、土壌の栄養素に偏りが生まれ、土の中の生き物や微生物の多様性に大

      • "プラント"シーフードを作る海外サステナブルスタートアップ

        魚や甲殻類、貝類などの海産物が近年、世界中で人気を博しています。 含まれる栄養成分が健康に良いとされることや、日本食のブームなども相まって、欧米やアジアを中心に広く消費されるようになり、漁獲量も年々増え続けています。 ニーズの高まりを裏付けるように、海産物の乱獲に関する話題はニュースでも度々取り沙汰されますが、天然で獲れる魚の量は年々減っており、世界の食卓に登る海産物の多くは養殖による漁獲に頼らざるを得ないというのが現状です。 しかし、特定の海産物を養殖するには、餌を含

        • 食材加工の副産物を活用する海外サステナブルスタートアップ

          ステイホームの時間が増えるのに伴って、自炊をするようになったと言う声をよく聞きます。私自身、まだまだ妻の手伝いレベルですがかつてはほとんどしなかった自炊をするようになり、作れるメニューも少しずつですが増えてきました。 自分でいろんな料理を作るようになってみると、野菜の切れ端や魚の骨など、調理の過程で使われなかった食材の余り物が多く発生することに気づきます。 出来合いの料理を食べているときにはあまり意識してきませんでしたが、調理の過程で発生するこうした余り物は一般家庭だけで

        食のトレーサビリティを変える海外サステナブルスタートアップ

          木材業界を変える海外サステナブルスタートアップ

          昨年から続く世界規模のパンデミックを契機として、日本でもステイホームが推奨され、リモートワークを実施、導入する企業が一気に増えました。Zoomなどのオンラインツールの普及・進化もあり、対面を前提としない働き方が受け入れられやすくなったことに伴い、都心に済み、都心で働くと言うこれまでの当たり前に疑問を感じ、住まいを見つめ直す人も増えているようで、都心部から、郊外へ移住しようと言う動きが加速しています。 実際に不動産需要を見ても、これまで都心のマンション住まいだった方々が、郊外

          木材業界を変える海外サステナブルスタートアップ

          みどりの暗号資産を作る海外サステナブルスタートアップ

          突然ですが、皆さんは仮想通貨を所有していますか?? 私は、昨今の乱高下の中で正直なところビビっていて、手を出せないでおります(笑) 一時期700万円台をつけたビットコインですが、この記事を書いている時点で400万円台となっています。 大きな変動の真っ只中といったところですが、昨年の同時期は100万円台だったことを考えるとまさに投資対象として多くの人に注目されていることが窺えます。 私は、かつての職場で金融機関向けにコンサルティングをしていたこともあり、ブロックチェーン

          みどりの暗号資産を作る海外サステナブルスタートアップ

          炭素の足あとで社会を変える海外サステナブルスタートアップ

          昨年、菅総理による「2050年カーボンニュートラル」宣言がなされました。 東日本大震災以降、火力発電の割合が高止まりしている我が国において、脱炭素社会へ今一度歩を進める意思を表す宣言として、海外でも高く評価されているようです。 EU・イギリスをはじめ、アメリカ、中国など世界の大国が足並みを揃えて進めている気候変動に対する取り組みですが、「カーボンニュートラル」や「ネットゼロ」という言葉で表現される温室効果ガスを排出する量と、削減する量を合わせて社会全体として差し引きゼロに

          炭素の足あとで社会を変える海外サステナブルスタートアップ

          脱炭素の燃料を作る海外サステナブルスタートアップ

          ビットコインやアルトコインなど、最近は暗号通貨の業界でも何かと世間を騒がせているイーロン・マスクですが、彼が生み出したTeslaを筆頭に、燃料エンジンではなく電池で動く電気自動車は、次世代の車のデファクトスタンダードを目指して世界中で日々開発されています。 電気自動車はモーターと電池のみで車体を動かすため、複雑なエンジン制御技術が要らず、一般の自動車と比べて容易かつ安価で製造することが可能で、さらに排気ガスも出さないことから、メーカ良し・消費者良し・環境良しの三方良しの商品

          脱炭素の燃料を作る海外サステナブルスタートアップ

          脱プラ素材を生み出す海外サステナブルスタートアップ

          2020年から始まったレジ袋有料化の取り組みですが、私個人の実感値としてもエコバックを使う人が増えてきたように思います。 レジ袋有料化が始まってから、「脱プラ」という言葉を新聞やWEBのニュースで目にする機会も増えてきましたが、その一方で、家の中を見渡せば本当にいろいろなものがプラスチックで作られていることに気づかされます。 軽くて丈夫で長持ちする素材として、我々の生活のあらゆるところで使われているプラスチックですが、日本はアメリカに次いで世界2位のプラスチック消費大国と

          脱プラ素材を生み出す海外サステナブルスタートアップ

          科学の力でお酒を再発明する海外サステナビルスタートアップ

          友人との親睦や、取引先との会食、家族との団欒など、食事や人と過ごす時間をより楽しいものにしてくれる「お酒」ですが、昨今のステイホームで友人と会う機会や仕事の会食などが減り、お酒を飲む頻度も減りました。 健康を気遣うという意味では非常に良いことなのですが、お酒の楽しさはやめられないもので、私もたまに飲む機会があるとついつい飲み過ぎてしまいます。 古くから自然の中で作られてきたアルコールには様々な種類がありますが、基本的には穀物や果物などの糖分を発酵する製法で作られています。

          科学の力でお酒を再発明する海外サステナビルスタートアップ

          水の力を引き出す海外サステナブルスタートアップ

          人間のからだの60%は水分でできていると言われますが、我々が生きる上で水は決して欠かすことのできないものです。 海に囲まれ、豊富な水源に恵まれた日本にいるとその大切さをついつい忘れてしまいますが、世界に広がる大陸の内陸部では深刻な水不足に陥ることも多く、また昨今問題になっている環境汚染などの理由で、我々の生活する日本においても自由に使える水資源が今後不足していく可能性が指摘されています。 そのような状況において日本でも、我々quantumも深く関わらせていただいている「W

          水の力を引き出す海外サステナブルスタートアップ

          無駄の気づきでフードロスに挑む海外サステナブルスタートアップ

          昨今、何かと話題に上がることが多いフードロスですが、日本は一人当たりの食品廃棄量がアジアで1位、世界で見ても6位と、多くの食品を無駄にしているフードロス大国なのだそうです。 農水省の統計によれば年間650万トン近くの食品が廃棄されていて、これは世界全体の食糧援助の2倍に相当する量にのぼります。 私もデータを見るまでは実感がなかったのですが、ふと街を見渡せば、食料品店や飲食店が溢れんばかりに軒を連ねているわけで、これらの店でどれほど多くの食品が日々流通し、そして最終的には廃

          無駄の気づきでフードロスに挑む海外サステナブルスタートアップ

          再生素材を活用する海外サステナブルスタートアップ

          前のnoteでも書きましたが、この一年、「持続可能な生活」を意識するようになったことで、私自身も<サステナブルなサービス>を生み出したいと思う気持ちが高まってきました。 世界を見渡し、企業やスタートアップの活動を参考にして、未来の事業を開発する上でのヒントを探っていきたいと思います。 今回は、持続可能性が強く求められているファッション業界に注目し、そのアプローチとして再生素材を開発・事業化している3社を取り上げたいと思います。 1. Beyond Leather, De

          再生素材を活用する海外サステナブルスタートアップ

          パンデミックの後に吹くサステナブルな春の風

          こんにちは。博報堂グループでスタートアップスタジオを運営しているquantumの渡辺です。変わりゆく時代の中で感じたことをつらつらと書いていきたいと思います。 晴れ渡る空に満開の桜。 ここ最近の春の陽気は、全世界を巻き込んだ激動の1年間の、「次の一年」の始まりを告げています。 この1年は、私にとってもプロジェクトの進め方から組織の運営方法まで、全てがガラッと変わった年で、リモートワークが日常になりオフィスに行く頻度が激減するなど、以前とは全く違った生活スタイルになってい

          パンデミックの後に吹くサステナブルな春の風

          歴史がつくるコミュニティのかたち

          こんにちは。博報堂グループでスタートアップスタジオを運営しているquantumの渡辺です。変わりゆく社会のトレンドについて日々思いついたことをつらつらと書いていこうと思います。 年明け2度目の緊急事態宣言が始まって、そこからあっという間に時間が経ちそろそろ次の春を迎えようとしています。 コロナの不安とゴールの見えないオリンピックへの焦燥感にせきたてられて、走り出す人々の意識は行先を見失いつつあり、毎日いろんなできごとが起きています。 ワクチンとジェンダー論と既得権益、K

          歴史がつくるコミュニティのかたち

          コロナ禍に光り輝くAsian Solidarity

          こんにちは。博報堂グループでスタートアップスタジオを運営しているquantumの渡辺です。コロナショックが変えてゆく社会のNew Normalのトレンドについて日々思いついたことをつらつらと書いていこうと思います。 コロナウイルスによる自粛が始まって、早数か月。人々の生活も次第に新しい生活様式へと移行し始めています。 現時点でまだ自粛期間は終わっていませんが、感染者の減少傾向を見るに、もう少しで自粛ムードも落ち着き、徐々にそれまでの生活を取り戻していくことでしょう。他方で

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