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水の力を引き出す海外サステナブルスタートアップ

人間のからだの60%は水分でできていると言われますが、我々が生きる上で水は決して欠かすことのできないものです。

海に囲まれ、豊富な水源に恵まれた日本にいるとその大切さをついつい忘れてしまいますが、世界に広がる大陸の内陸部では深刻な水不足に陥ることも多く、また昨今問題になっている環境汚染などの理由で、我々の生活する日本においても自由に使える水資源が今後不足していく可能性が指摘されています。

そのような状況において日本でも、我々quantumも深く関わらせていただいている「WOTA」や「DG TAKANO」を筆頭に、グローバルの水不足問題に視線を向け、水資源の有効活用に取り組む企業が出始めています。


今回は、世界を見渡して私自身が気になった、我々の暮らしに欠かすことのできない水資源の有効活用に取り組む三社をピックアップし、未来の事業のヒントを探っていきます。



1. Orbital Systems, Sweden

2012年創業のスタートアップで水の循環利用により、シャワーで利用する水量を最大90%削減できるシャワーシステムを開発・提供しています。

NASAの技術に着想を得て、シャワーで流された水をフィルターによる不純物処理、UV照射による殺菌処理と言った方法で再利用できる状態にするもので、必要最小限の水量で体を洗うことを可能にします。

スウェーデン発のスタートアップということで、シャワーシステム自体もお洒落なノルディックデザインで作られており、アプリと連動し節約した水量が一眼で分かったり、メンテナンスもシンプルなフィルター交換のみだったりとユーザーフレンドリーな体験設計がなされています。

節水効果として5人家族で3.5年のROIと非常に短く、大きなコスト削減効果が期待できるので生活インフラとして、一軒家を建てる際には是非導入検討したい商品です。



2. O3 Waterworks, US

2013年創業のアメリカ企業で、オゾンの力を使った除菌・殺菌製品の開発販売を行っています。

O3 Waterworksのメイン商品はランドリーシステムで、洗剤を使わず、オゾン加工した水を用いて衣服の洗濯を行うことができます。

アメリカでは通常、洗剤と暖かいお湯を使った洗濯を行っていますが、洗剤の成分と高温のお湯の効果で衣服のマイクロファイバーが多く流出し、環境汚染を引き起こしてることが以前より問題視されてきました。

O3 Waterworksの製品ではオゾンを含んだ低温の水で洗濯を行うため、上述したマイクロファイバーの流出による環境汚染を抑えることに成功しており、さらに通常のランドリーで発生していた加熱にかかる電気代や洗剤のコスト負担も抑えることができます。

最近では、オゾンの除菌・殺菌効果を利用したスプレーも開発し、家庭内の家具や食品などの消毒用として販売を開始しています。

現在猛威を振るっているコロナウイルスへの効果はわかりませんが、オゾンの性質上、バクテリアや大腸菌、サルモネラ菌といった細菌の除菌・殺菌については強い効果を示すことがわかっています。

水の力を最大限活用し、環境への負荷を考慮したO3 Waterworksのランドリーシステムは、今後の持続可能な社会にとって必要なアイテムの一つとなっていくでしょう。



3. Watergen, Israel

こちらは2009年にイスラエルで創業したスタートアップで大気中の水分から飲料水を作り出すウォーターサーバーを開発・販売しています。

仕組みはシンプルで、大気中の水分を冷却・凝集し、不純物を取り除いた後に、必要なミネラルを付加して、飲料水を生成しています。

大気から水を作るウォーターサーバーはシンプルな機構のため、類似品も多く販売されていますが、他の商品では水分を作る際の冷却工程に多大な電気エネルギーを使うため、高い電気代が購入・普及のハードルになっています。

Watergenでは冷却工程の熱効率を改善する技術を開発し、市場の類似品に比べ同じ電力で、5倍の水分を生成することが可能になりました。

この冷却効率を向上する技術開発に成功したことで、様々な大きさ・用途の製品開発が可能になり、大規模なウォーターサーバーをアフリカなどの水不足地域に送ったり、ウォーターサーバーを内蔵した車体を災害地に運び、綺麗な水を届けたりと様々なシーンで活用されています。

2020年のCESではソーラーパネルで稼働する大気ウォーターサーバーとして、電源がない地域でも新鮮な水を生成することができるプロダクトを披露し、この年のInnovation Awardを受賞しています。



今回紹介した3社は、それぞれ異なる方法で水の力を最大限引き出し、人々の生活に必要不可欠な水資源を確保する取り組みを続けています。今の生活ではまだなかなか実感できない水不足の問題ですが、近い将来訪れるその時に向けて、汚染を抑え、再利用し、再生・生産する様々な技術を駆使し、水資源を持続的に守る準備が始まっています。

水という物質が持つ様々な特性に目を向け、解くべき課題を一面からだけでなく、あらゆる側面からアプローチする姿勢は他の事業にも活用できることがあると思います。

次回も引き続き、私自身の事業開発の参考にしたい意図も含め、世界のSustainability Businessについてリサーチしていきたいと思います。

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