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みどりの暗号資産を作る海外サステナブルスタートアップ

突然ですが、皆さんは仮想通貨を所有していますか??

私は、昨今の乱高下の中で正直なところビビっていて、手を出せないでおります(笑)


一時期700万円台をつけたビットコインですが、この記事を書いている時点で400万円台となっています。

大きな変動の真っ只中といったところですが、昨年の同時期は100万円台だったことを考えるとまさに投資対象として多くの人に注目されていることが窺えます。

私は、かつての職場で金融機関向けにコンサルティングをしていたこともあり、ブロックチェーンの技術自体には古くから触れていたのですが、ここまで高く価値がついている現状にはただただ驚くばかりです。


今回の相場変動の発端となったとも言われるイーロンマスクのツイートにも関係しますが、ビットコインのマイニングの多くは中国やロシアなど、発電コストが安い地域で行われていると言われています。

それらの地域では、火力発電がメインの発電方法であり、ビットコインのマイニングのために化石燃料を大量に使って発電が行われ、多くの温室効果ガスが発生しているという指摘があります。

そのため、仮想通貨自体の持続可能性を問う声も多く、その疑念が昨今の価格の乱高下を生んでいると言われています。


各国の経済支援に支えられた現在の株高相場と連動するように、仮想通貨に対する世界の期待が高まりつつありますが、持続可能な未来を求める我々にとって仮想通貨やブロックチェーンはどのように関わっていくべきものなのでしょうか。


今回は世界を見渡して私自身が気になった、ブロックチェーンを使って環境問題に取り組む3つのプロジェクトをピックアップして、未来の事業のヒントを探っていきます。


1. BitGreen, US

BitGreenは2017年に持続可能な社会への取り組みを進めるべくニューヨークで始まったプロジェクトです。

温室効果ガスの削減を進めるアクション(シェアバイクや、ウォーキング、カーボンオフセットを進める企業の商品購入など)でBITGと呼ばれるコインが獲得でき、そのBITGコインを使って環境保護活動へ寄付することができます。

BITGコインは直接やり取りするだけでなく、仮想通貨取引所で交換ができるため、寄付されたコインを現金に交換することで、環境活動活動を一層推進することができます。

前回紹介したAnt Forestをはじめ、サステナブルアクションの記録サービスの多くは、企業の協賛や広告が原資となり、その原資をポイントの形で提供しています。

他方で、BitGreenのようにコイン自体を仮想通貨取引所に上場(ICO)させることで流通するコイン自体の価値を市場に委ねる取り組みも始まってきています。

コインやトークン自体の価値評価を市場に委ねることで、社会的に意味のある取り組みに多くの関心を集めやすくなり、これまで小さな取り組みにとどまりがちであった社会活動に大きな力を与えることができると言われています。

法整備をはじめ、まだまだ課題のつきない領域ですが、これまでの資本主義の文脈では捉えきれなかった課題解決の手段として今後も色々な挑戦が行われていくことでしょう。



2. Bitfarms, Canada

2017年にカナダのケベック州で創業されたBitfarmsはビットコインのマイニングサービスを提供しているスタートアップです。

冒頭にも記載した通り、ビットコインなど仮想通貨のマイニングにおいては、取引の証明に必要な演算処理に多くの電気をつかうこと、またその電気の多くが、化石燃料を多く使った火力発電によって供給されていることから、持続可能な社会に逆行しているのではないかと言う声が上がっています。

今回紹介するBitfarmsでは、火力発電による電気を利用するのではなく、かつてアイスホッケー場だった廃墟を活用し、環境負荷の少ない水力発電でつくられた電気によるマイニングを行なっています。

また、Bitfarmsのように、環境負荷を抑えたエネルギー源を利用して、Proof of Workに必要となる多大な電力を賄う企業が増えてきています。アメリカのマイニングカンパニーEcoChainでは、Bitfarmsと同じ水力発電に加え、太陽光や風力も活用してマイニングを行なっています。

今回紹介した両社を筆頭に、このような環境に配慮したマイニングのアプローチは、今後、国を超えて一層広がっていくと思われます。

ただし、経済性だけを見れば、コストの安い火力発電の方がマイニング効率は高いという現実もあり、経済的観点を超えたグローバルレベルでの価値観の共有やルール整備もこの領域において今後ますます重要性を増してくるのではないでしょうか。


3. Energy Web, Switzerland

Energy Webは2017年にスイスのツークで発足された団体で、再生可能エネルギーの取引市場を構築する上で必要なアプリケーションプラットフォームを提供しています。

昨今では、多くの国で再生可能エネルギーや環境に配慮したエネルギーが生み出されるようになりました。

しかしこれらのエネルギーは、クロスボーダーでスムーズに取引されていないという現状があります。なぜなら、エネルギー取引を行う上で、取引対象を評価するためのプロセスが煩雑かつ多数存在しており、さらに国ごとにルールが異なり、統一基準が存在していないからです。

Energy Webでは各国の業界団体とともに評価・取引ルールを定めながら、ブロックチェーンを活用した非中央集権型アプリケーションプラットフォーム(EW-DOS)を提供、各国の再生可能エネルギー取引市場に必要なソリューションの構築をサポートしています。


ビットコインやイーサリアムをはじめとする仮想通貨への急速な関心の高まりを受けて、ブロックチェーンや仮想通貨に関連するエネルギー消費を抑えるべく業界でのルールづくりを行うCrypto Climate Accord(CCA)という組織も今年立ち上げられました。

Energy Webはリップル社などとともにこのCCAにも参加して業界ルール作りにも精力的に取り組んでいます。

グローバルで銀行のルール作りが行われるエリアとして、スイスのバーゼル(Basel)が有名ですが、ブロックチェーン取引ではスイスのツーク(Zug)が多くの企業を集めるエリアとして知られています。

銀行業界のバーゼル銀行監督委員会のように、Energy Webも参加企業の一つに名を連ねる「ツークブロックチェーン協議会」のような組織が生まれ、グローバルでの統一されたルール作りが今まさに、行われているのかも知れません。


今回は、環境への影響が指摘されるブロックチェーン・仮想通貨業界において、環境への負荷を抑える・または環境保全を推し進めるべく取り組んでいる企業を見ていきました。

新たに生まれた産業が、社会の大きな流れの中で持続可能な取り組みへと自らを変質させ、ルール作りなどを行いながら社会の一員へと成熟していく過程は、他の事業開発においても参考になると思います。もちろん今回ご紹介した3社は事業開発の参考としてご紹介しているもので、特定の暗号通貨の購入等を推奨するものではありませんのでご留意ください。


次回も引き続き、私自身の事業開発の参考にしたい意図も含め、世界のSustainability Businessについてリサーチしていきたいと思います。

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