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"プラント"シーフードを作る海外サステナブルスタートアップ

魚や甲殻類、貝類などの海産物が近年、世界中で人気を博しています。

含まれる栄養成分が健康に良いとされることや、日本食のブームなども相まって、欧米やアジアを中心に広く消費されるようになり、漁獲量も年々増え続けています。


ニーズの高まりを裏付けるように、海産物の乱獲に関する話題はニュースでも度々取り沙汰されますが、天然で獲れる魚の量は年々減っており、世界の食卓に登る海産物の多くは養殖による漁獲に頼らざるを得ないというのが現状です。

しかし、特定の海産物を養殖するには、餌を含め多くの資源を必要とすることから、このまま無尽蔵に消費を続けていると、いずれ我々が親しんできた海産物を食べられなくなる時が訪れてしまうと言われています。(2006年の時点で、サイエンス誌には、2048年に食用魚がいなくなるという論文が掲載されていました。)


現在の状況を改善するべく、海洋資源を守る様々な取り組みが各所で行われており、海産物を人工的に生み出すプラントフードの取り組みも進んでいます。


今回は世界を見渡し、私が気になった海産物のプラントベースフードを製造するスタートアップ3社をピックアップし、未来の事業へのヒントを探っていきます。



1. GOOD CATCH, US

2016年にペンシルバニア州で創業されたGOOD CATCHは、フィッシュフィレ(魚のカツ)やクラブケーキをプラントベースで製造し、販売しているスタートアップです。

海洋資源や生物を守りたい、という強い思いを持ったシェフ二人組が創業したスタートアップ で、大豆やひよこ豆、えんどう豆といった6種類の豆をブレンドしてシーフードの食感を再現し、海産物を使わずにシーフードをイメージした製品を作ることに成功しています。

食感の高い再現性もさることながら、フィッシュフィレによく使われるマグロは水銀を多く含むことから健康への問題を指摘する声もあり、その点でもプラントベースのフィレの人気が高まっています。

GOOD CATCHの製品は、健康志向の高い生活者やビーガンなどを中心に広く評価されており、米国内のWHOLE FOODSでも販売されているほか、カナダやイギリスにも進出しています。



2. NEW WAVE, US

2015年にコネチカット州で創業されたNEW WAVEはエビ製品をプラントベースで製造・販売するスタートアップです。

海藻と緑豆由来のタンパク質から作られたNEW WAVEのプラントベースシュリンプは、コレステロールフリーで甲殻類アレルギーの人でも問題なく食べられるヘルシーな食材となっています。

アメリカではエビはサーモンやマグロよりも人気の食材であり、しかもそのほとんどを輸入に頼ってるという点でもサステナブルという観点から考えると大きな課題を抱えていました。

NEW WAVEの製品は、こうした課題に応える一つの可能性を提示しており、まずは米国内のマーケットを狙うべく食品メーカーのCVCからの投資も受け、今まさに急成長しているスタートアップです。



3. WILDTYPE, US

2016年にサンフランシスコで創業されたWILDTYPEは、サーモンの細胞を培養して人工のサーモンを製造しているスタートアップです。

日本人が愛してやまないお寿司ですが、いまや欧米・アジアなどでも食される世界的な大人気料理となっていることは皆さんもご存知のとおりです。中でも脂が乗ったサーモンは、魚の生食文化がなかった地域でも広く受け入れられており、サーモンの消費量の増加に少なからず影響を与えています。

プラントベースフードは、豆類などの植物由来のタンパク質をベースにしているものが多いですが、お寿司のような生食のシーフードの食感を再現することは非常に難しいとされています。

WILDTYPEは、代替食材では作れない生食のサーモンを人工的に製造する、という点に焦点を絞り、投資家を含むマーケットの注目を集めています。



今回は、近年世界中に広まる海産物のニーズを支え、有限な海洋資源を守るべくプラントベースでシーフードを製造している3社のスタートアップに着目しました。

Beyond Meatをはじめとして牛・豚・鳥などの肉製品が先行しているプラントベースフードの領域ですが、海産物の領域でも様々なチャレンジが進められています。

海産物の美味しさや価値を世界で最も知っているといっても過言ではない我々日本人ですが、海産物が今以上に取れにくくなったり、あるいは海産物の代替食品が今以上に求められるようになった際には、日本初のビジネスこそがこのプラントベースシーフードという領域で、強さを発揮することになるかもしれません。


次回も引き続き、私自身の事業開発の参考にしたい意図も含め、世界のSustainability Businessについてリサーチしていきたいと思います。

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