Masahiro Watabe

2023年5月に完全自由診療で開業しました。 開業までの道のり、経営やライフスタイルを…

Masahiro Watabe

2023年5月に完全自由診療で開業しました。 開業までの道のり、経営やライフスタイルを交えて これからの歯科医師について考えていきます。 https://www.watabedental.com/

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普通の歯医者が自由診療だけで開業した理由

私は博士号もなければ、海外経験もない、有名な先生にお墨付きを与えられたわけでもないし、なにか特別な才能があるわけでもない。 はっきり言って凡人。 普通の歯科医師です。 そんな普通の歯科医師が保険診療をやめて、自由診療で開業してしまいました。 しかも都心から離れたベッドタウンに。 普通に考えて無謀ですよね。 親父の背中をみて 私の父は超田舎の開業医です。開業して40年以上も事業を継続させている大先輩です。では私の父が40年以上も継続できている理由はなんでしょうか。 驚異的

    • 高額医療機器の代償

       初診でCTを撮影する歯科医院が激増している。どうやら「有用性」が高いらしい。なぜ、やたらにCTをとるのか。大量の放射線被ばくのリスクを勘案しているのだろうか。出血したり外傷がなければ侵襲性が低いわけではない。  高額な医療機器を導入すると「使わない」ことができなくなる。 なんでもかんでも適応に見えるようになる。 その機器を導入したコストを回収する必要性が生じる。 ましてや、保険点数を高く請求できるとなると、使わない手はない。 有用性とはなんなのだろうか。 初診で、場合に

      • お金持ちになりたい

        保育園の園児が書いた将来の夢に「お金持ちになりたい」があった。 お金のことをよくわからない年齢の子がお金を欲しがっている。 これって私たち大人に原因があるんじゃないのか。 お金ばかり追いかけている姿勢を見せてしまっている たしかに、お金は大切です。 お金は潤滑油みたいな感じだと考えています。 お金はあらゆる物と物、サービスとの交換をスムーズにする 価値の指標になるのでお互いの合意形成が楽になる だから人間関係を円滑にできる。見ず知らずの人であっても そして保存できる もちろ

        • コンサルタントに相談しないで開業した理由

          歯科医院の倒産が過去最悪のペースで推移しているようです。 歯医者だからって放漫経営が許される時代は終わったんですね。 開業医=成功者なんてのは当の昔に終わっています。 それを知らないで、開業をゴールと勘違いしていると悲惨な結果が待っています。 私がコンサルタントに依頼しなかった理由は「ケチ」だからです。 開業費を可能な限り低く抑えたかったからです。 最初は良いのですが、初期の損失はボディブローのように後からじわじわくるので。 コンサルタントは開業総額の〇%を報酬として取られ

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        普通の歯医者が自由診療だけで開業した理由

          情報操作の意外なメリット

          医療業界というのは、多くの利害関係が複雑に絡み合い、政治的に情報が動くことが多いです。 伝えるべきことを隠ぺいする 恣意的な統計操作 医療と金と政治は完全癒着しており、そこに患者さんはいません。 情報操作と聞くと、悪い面ばかり考えがちですが、案外そうとも言い切れない面があります。 万病は歯にあり 100年くらい前にアメリカで中心感染仮説(focal infection)が広がりました。中心感染仮説とは簡単に言うと、むし歯から全身に細菌が入って様々な病気を引き起こす、と

          情報操作の意外なメリット

          エビデンスが無意味な理由

          「この最新治療にはエビデンスがあります」 「この新しい材料は有効性が確認されています」 しかし「正しい」と言われた治療が正しくない治療になるのが医療です。 ある日を境に、急に真逆になる。 エビデンスってなんなのだろう。 最近で言うと、根管治療の際に水酸化カルシウム製剤を根管の外に出すことが正しかった。 炎症で酸性になった環境にアルカリ性の薬剤を入れることで中和できると。 ところが強アルカリ製剤による薬害が頻発した。 強烈な腫れと痛みに苦しむ患者さんが出てしまった。 さら

          エビデンスが無意味な理由

          生き残る歯科医院

          先日、大規模な歯科医院のリニューアル工事を見つけてしまいました。 おそらく土地だけで200坪以上、延床面積900平米を超える大規模な工事現場でした。 圧巻ですね! たまたま見てしまったから仕方ないのですが やっぱり大規模な歯科医院を見ると 「私の小さな歯医者は大丈夫なのだろうか。やっぱり規模が必要だったのでは」 と考えてしまいます。 今の歯科のトレンドは大規模化による経営の効率化ですから。 それと真逆を進んでいるので、ちょっぴり不安がよぎります。 小心者ですね。 企業も歯科

          生き残る歯科医院

          高気密・高断熱の意外な欠点

          開業から1年が経ちました。 忙しくて大変でしたが、なんとか落ち着きつつある状況です。 環境配慮に疎い医療界で先陣を切って最高レベルの高気密・高断熱のクリニックで開業したわけですが、 良い点もあり、難点もあり、未だに試行錯誤を重ねております。 熱源が足りない  高気密・高断熱の住宅と決定的に異なる点が 人がいない時間が長いことです。 高気密・高断熱を知らない人からは「だからなに?」って思われるでしょうが、人間からはいっぱい熱が出ています。体温って36度くらいあるので、気温で

          高気密・高断熱の意外な欠点

          冬の高気密・高断熱の電気代

          ワタベデンタルは日本トップレベルの高気密・高断熱の歯科医院です。 光熱費も日本でトップクラスの低エネルギー化を実現できております。 直近の電気代を公開すると・・・ 11月 5,191円 12月 7,539円 1月 14,476円 1月はややハードな治療が続いたため、滅菌器を回す回数が増えたのと 診療時間が長かったため、医療機器が原因で電気代がやや高くなってしまいました。 それでも2万円を切っています。 一般家庭ではなく医療施設ですよ! しかもガスを使っていないので、エネル

          冬の高気密・高断熱の電気代

          普通のカメラが必要

          臨床用のカメラで求められる性能は普通であることです。 目で見たそのままを記録できることが大切なので、エモい写りや鮮やかな写真は不要です。 表現ではなく「記録としての写真」だから、カメラが勝手に補正処理などの加工をすると困ります。 そして経過観察での比較も必要であるため、変わらないことも重要なのです。 あとは軽くて取り回しが良いと助かります。 普通のまま変わらず撮れるカメラ 実はありそうで無い。 今カメラで困っています。 何十年もニコンのD5000番台の一眼レフを使い続けて

          普通のカメラが必要

          歯科医院の床材について考える

          歯科医院の床材に求められる性能はズバリ「最強」です。 まず重量級のキャスターをゴロゴロ動かします。 ワタベデンタルでは重量100kg越えのマイクロスコープが鎮座しています。そして30kgを超える材料や小器具が入ったメディカルキャビネットを頻繁に動かします。ドクターが座る診療用のイスも同じところを頻繁に、座りながら引きずり続けます。 この時点でキャスター対応+耐荷重が必須です。 ぐっと選択肢が限られます。 さらに薬液が頻繁に床材にかかります。 アルコール、次亜塩素酸、オキシ

          歯科医院の床材について考える

          保険CRと自費CRの違い

          かなり前にパッと見ただけで「ロバート・ツルッパゲとの対話」というタイトルの本を買ったことがあります。 「なんだよツルッパゲって。ふざけてるな。買おう」 くらいのノリで買ってしまったのです。 ユーモアを交えつつ、重くなりやすい話題を軽くのせてくる感じで、心地よく読ませてもらいました。 難しい問題に直面した時、ロバート・ツルッパゲだったらなんて言うかなぁ、と想像する。 中からではなく、外から見る感じで考える、とでも言いましょうか。 本書から新しい視点をもらうことができました。

          保険CRと自費CRの違い

          建築士が知らない歯医者の窓の注意点

           多くの先生が希望される明るい歯科医院ですが、気を付けないと治療精度に悪影響が出ます。建築士は歯科治療の細部まで理解していません。そのため、良かれと思い明るい歯科医院を設計してしまい、これが悲劇を生むことになる可能性も…。実際に私が体験した内容を踏まえて解説します。 セットできない  夏の晴れた日の正午くらいのことでした。その日に勤務していた歯科医院はユニットの前がガラス張りで開放的で明るい歯科医院でした。歯医者って暗くてジメジメしているイメージなので、開放的で明るい歯医

          建築士が知らない歯医者の窓の注意点

          1年を振り返ってみる

           今年は予想外に楽しい一年でした。 開業準備、東松山での仕事の整理、祖母の遺品整理、これにプロジェクトをひとつ抱えつつ子育て。振り返ってみると、激動の一年というか、けっこう大変そうに見えます。いざ終わってみると「まだ余裕があるな」という感じです。さすがに3~4月はきつかったです。診療が終わって、子供を寝かしつけて、開業での書類やらなんやらで、一息ついて深夜の0時くらいから「よし!次はプロジェクトの設計だ」だったので・・・でもこれが意外と辛くない。多分、自分で決めたことだからな

          1年を振り返ってみる

          夢とは

          私には夢がない。 よく言う夢っていうのが分からない、とでも言いますか。 「私の夢は〇〇〇です」などと聞くことが多いのですが、はたして夢って何なのだろう。 目標や計画なのか それとも空想や妄想 私はやりたいことを即やってきた人生です。 やりたいと思ったら即行動するので、夢に向かって突き進んだりしません。 今やりたいことをやっているので。 いろいろ考えるより、手足が先に動くタイプです。 やりたい!と思ったら即行動の人生ですね。 それで、ふと振り返るとすべてが一直線でつながっ

          99%の人に嫌われる歯医者

          私は「いい歯医者がある」と聞いて来院された方が戸惑うことを何度も経験しています。 いい歯医者として紹介されることって、本当は嬉しいことです。 ですが私は「いい歯医者」ではありません。 だから「いい歯医者と聞いて来院された方」の期待に応えることができません。 いい歯医者とは いい歯医者とはどんな歯医者なのでしょうか。 まず「腕がいい」ことです。 多くの患者さんが考える「腕がいい」とは、痛くない歯医者です。 治療はすべて痛くない。痛い時はすぐに痛みを和らげてくれて、治療後も痛

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