エビデンスが無意味な理由

「この最新治療にはエビデンスがあります」
「この新しい材料は有効性が確認されています」

しかし「正しい」と言われた治療が正しくない治療になるのが医療です。
ある日を境に、急に真逆になる。
エビデンスってなんなのだろう。

最近で言うと、根管治療の際に水酸化カルシウム製剤を根管の外に出すことが正しかった。
炎症で酸性になった環境にアルカリ性の薬剤を入れることで中和できると。

ところが強アルカリ製剤による薬害が頻発した。
強烈な腫れと痛みに苦しむ患者さんが出てしまった。
さらに根っこの先端から出てしまった薬は簡単に除去できない。
多くの歯が失われ、多くの患者さんが苦しむことになった。

エビデンスってなんなのか。
何をもって正しいのか。

現実は「お勉強」とは違う。
いくら頭が良くても、所詮は机上の空論。
人間は良い所ばかり強調しがちだ。

だから、やたらにエビデンスだの有効性だのを強調する治療には疑ってかかる。そして大先輩に聞く。
ちょっと上の先輩ではなく、50年くらい臨床に携わっているベテランに。水酸化カルシウム製剤の根尖孔外への貼薬を聞いた時に
「根尖から先に出すな。何を出しても痛い目を見るぞ」
と言っていた。

論文やエビデンスの類は良いことばかり。
逆に悪いことはお酒の席。
「あれって、実は駄目なんだよね」って感じで
はっきりダメと言われずフェードアウトする。

「私を信じてください」って言う人ほど不誠実。
医療行為も同じで「安全な治療です」って強調する治療には注意した方がいいですよ。


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