保険CRと自費CRの違い
かなり前にパッと見ただけで「ロバート・ツルッパゲとの対話」というタイトルの本を買ったことがあります。
「なんだよツルッパゲって。ふざけてるな。買おう」
くらいのノリで買ってしまったのです。
ユーモアを交えつつ、重くなりやすい話題を軽くのせてくる感じで、心地よく読ませてもらいました。
難しい問題に直面した時、ロバート・ツルッパゲだったらなんて言うかなぁ、と想像する。
中からではなく、外から見る感じで考える、とでも言いましょうか。
本書から新しい視点をもらうことができました。
こういう出会いの本って愛用してしまうんですよね。
なにげなくネットサーフィンしていると、ワタナベアニさんの新刊の紹介がでてきました。
引用の引用になってしまいましたが、私が日常的に治療しているCR充填でも同じだなーっと思いました。
やっぱりワタナベアニさんの言葉ってすごい。
誰でもできるCR充填
むし歯治療で使う白い詰め物のほとんどはCRです。光でピッて固める詰め物です。
研修医が最初に施術する治療No1でしょう。それくらいスタンダードかつベーシックな治療です。
だから私のように自費でCR充填を請求していると
「たかがCRなんかを自費で取って、ぼったくりだな」
と同業に思われることが多々あります。
私くらいのレベルであれば、ある程度の経験と手先の器用さがあれば誰でも施術可能です。
学術誌や商業誌でも同様かそれ以上のレベルの施術写真を拝見できます。
要するに、私は世界トップレベルではないです。
では自費CRだけで勝負する歯科医師と保険CRの差ってなんでしょうか。
アニさんの言う通り「量産できる」ことです。
大多数の先生はアポイントを調整して、時間を目一杯つかって自費レベルの充填を完成させます。
渾身の1本とでも言いましょうか。超がんばって仕上げます。
それで満足して終わってしまいます。だいたいの先生が2~3本で保険CRに戻ります。
なんで元の保険CRに戻ってしまうのかというと、アニさんの言う通り量産できないからです。
一定のクオリティを常に出し続けることができない。
自費CRと聞くと、何か特別な技術やテクニックを使っているように思えますが、私は何一つ特別なことをしていません。
ただし、全てのステップを完璧に遂行しています。
清掃
ラバーダム防湿
窩洞形成
ベベル処理(CRでも必須ですよ。辺縁着色の原因です)
エッチング
ボンディング(被着面の処理)
充填操作
調整
荒研磨~鏡面処理
このステップのどれかが欠けるとCR充填は失敗します。
CR充填は「掛け算」です。
ひとつでも0があるとすべてが0です。
ボンディングしてないけど、充填がんばればいいや
唾液が入っちゃったけど、研磨すればいいでしょ
こんなことが全て許されません。
CR充填は後でミスをカバーできないシビアな世界です。
高価なCRを購入すれば、自費CRができるようになるわけではありません。
はっきり言ってどの会社のCRを使っても大して問題ありません。
添付文書でスペックをざっと確認して、グローブの端っこにCRを出せば、どうやってこれを使えばいいのか即座にわかります。利点と欠点をカバーする充填も感覚でできます。
要するに、どこの会社のCRシステムでも自費クオリティを出せます。
それはステップを間違えることが無いからです。
特殊能力や才能でもない。
ひとつひとつの作業を丁寧に、間違いなく遂行することが自費クオリティです。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?