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墓場珈琲店。

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現代社会における『死』をテーマとした、フィクションの短編集です。抵抗のある方はご遠慮ください。
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2021年1月の記事一覧

墓場珈琲店9。

墓場珈琲店9。

つねに笑顔を絶やすな、
愛らしくあれ。
ファンから要求されることは、真っ向からは絶対に断るな。

そんなことばかり言われて育ってきた。
ボク自身、そうありたいと思っていた。

しかし、どうやらそれも限界らしいと感じている自分があった。

ボクは、目の前の長蛇の列を見た。

ボク一人の為だけに、こんなにたくさんの人がやってきてくれている。
そう考えると、まぁ、まだなんとかやっていけそうな気になった。

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墓場珈琲店10。

墓場珈琲店10。

「うちの珈琲店も、大分繁栄してきたな……」

俺は背伸びをしながら、呟いた。
愛しのコーヒーの匂いとか、暖かな温度とかを、胸いっぱいに抱いて笑う。

「オーナー、エスプレッソ一杯、だそうです」
「わかった。……もう一回、お前がやってみるかい?」
「え、いいんですか?」
「いいよ。見よう見まねでも、実践は、上達への近道だ」
「ありがとうございます!」

バイトは、ニッと笑って俺に背を向け、カウンター

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墓場珈琲店11。

墓場珈琲店11。

全身が、冷たい痛みに覆われていた。
腹痛のように『波』のある痛みではなく、常に一定の痛みだった。なおかつ普通の痛みではなく、明らかな恐怖を覚えさせる痛みである。

おそらく、この痛みを経験したことのある者はいないだろう。

そう思いながら、私は目を開いた。
私は、明るい部屋にいた。水色のカーテン、真っ白な照明、埃一つない床。純白の布団は温かく、指先には透明なチューブが繋がっていた。

ここは、病棟

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