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専門家は「その分野のことを全て知っている」わけではない

どうも。藁科侑希(わらしなゆうき)です。
普段は大学教員やスポーツ現場でコーチやトレーナーをしております。
今日が326日目のnote投稿です。

本日は、「専門家」に対して自分が思うところについて。
私も博士の学位を持っている立場として、「スポーツ医学の専門家」となるのだと思いますが、自分の認識と世間の認知はかなりかけ離れている気がするな、と思ったことをつらつらと書いていきます。

結論としては、タイトルの通りで。
専門家、と呼ばれるいわゆる先生も、いち人間なので。
『知っていることも、知らないことも当然あるよ、ということは忘れないで欲しいし、忘れないようにしたい』というメッセージです。

こうやって言葉にすると、「当たり前でしょ」と思うかも知れませんが、実際にはそれを度外視して見聞きしていることも多いのだと思います。

●専門家が「正しい」とは限らない

見事にタイトルだけをこだわり抜いて、内容を考えることを放棄していました。
なので、思いつくままに書いていきますね。

最近よく見るのが、新型コロナウイルス関係の専門家の方々ですよね。
現状の感染リスクのお話や、感染の流れ、病床数の推移からの予測など、それぞれのご専門の知見から、データをもとにお話をされています。

私としてはそれらに対し、反応が両極端になっているような気がするんです。

「この人が言っているから正しい」あるいは「流れてくる情報をそのまま鵜呑みにする」ような肯定的反応
「いい加減な意見を言いふらさないでほしい」「こんなの間違ってる!」と否定したり、逆上するような否定的反応あるいは批判

どちらがいい、というわけではなくて。

ここで言いたいのは、専門家の方々の専門性とは「各々が深めている部分にこそ発揮されるもの」なので、少し外れたようなテーマや分野の意見を求められても、『間違ったこと』や『的外れなこと』も言ってしまうことがあるよ、ということです。

そのために、発信された情報を全て受け止めたり、全部を否定したりするのではなく、「この部分は同感だな」とか「それはちょっと違うのではないだろうか」と、自分のフィルターを通した考えを巡らせることが必要ではないか、と思ってもいます。

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●専門家だからこそ自分の知識は「氷山の一角」だと知っている

ここからは、我々は夫婦揃って専門家の立場なので、こちらのテーマについて話をした内容をまとめていきます。
※現在進行形で妻と話をしてまとめています(00:00 フォーゼロスタジオ配信しながら)

私も妻も、スポーツ医学の博士の学位を有している、大学教員です。
 私は、外科系スポーツ医学の分野。
 妻は、内科系スポーツ医学の分野で現場の活動や研究を進めています。
ともにアスリートを基本的に研究やサポートの対象としています。

私は怪我をしたらどうするか、その予防を具体的にどうやればいいのか、もし怪我をしたらどのようなリハビリテーションやトレーニングをするのか、ということを実際に自分の身体も動かしながら探究しています。

妻は、私なんか目ではないほどの研究者で。帰国子女ということもあり、英語に関してはよくアドバイスを求めています。
毎日英語論文と睨めっこして、データ整理や解析に日々勤しんでいます。特に、女性スポーツ医学分野として、女性アスリートのコンディショニングの中で、月経不順や無月経と関連するホルモンや遺伝子、睡眠などについて最近では研究を進めています。

妻:専門家の中でも、自分の感想とエビデンスベースでの情報をごっちゃにして話していることがある。

私:たしかに。このコロナの騒動で、ものすごくその辺りが浮き彫りになっている気がするよね。一個人の感想と、エビデンスがもとになったことでのディスカッションは意味合いもその発展性も全く異なると思う。

妻:あと最近思っているのは、専門家意見に対する「都合の良い切り取り」の悪用が多いこと。

そもそも、いわゆる一般の人たちは、『メディア(テレビ)が発信をしていること自体の信頼度が高すぎる』のだと思う。
これはその専門家一人の意見が、その専門をともにしている人たちの総意と捉えられることが多いためなんだと思う。

あとは、英語論文の和訳がいい加減すぎる。発信する側が読み込んでいない場合が多いよね。新型コロナ関連の文献も、「ワクチンが不妊を促進する!」って副作用を実際は確認されていないような結果なのに、その論文のちょっとの部分を拡大解釈してる。有意差も出てないようなことをさもあるかのようにいうこともあるし。
メディア側で都合の良いようにねじ曲げて(意訳されて)出ていることが多いよね。

私:そうだよね。…色々思うところが凝縮されている気がする。大学関連で仕事をしていると、専門外のことなのに専門家としてもてはやされて、自分がほとんど知らないことに対して、意見を絞り出すように求められることもあるしね。それをさらに切り取られて、「こいつはいい加減なやつだ!」とかレッテル貼られてもたまったもんじゃないと思う。

だからこそ「専門家でも知っていることは限られる」ことは認識してほしいし、逆に『専門家だからこそ、自分の知識は氷山の一角で、「全てを知っている」と奢ることのないように』という気概が必要だよなと思ってる。

妻:知れば知るほど、自分がいかに無知であるかわかるしね。研究していくと、こんなこともエビデンスとしてわかっていないのか、っていうことはたくさんある。

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●専門家の役目は、「新たな発見をすること」と「既存の知識を深めること」

その物事に対しての『新しい視点』を与えてくれる。それが専門家かもしれないですね。

つらつらと色々書いてきましたが、最終的には「資格とか肩書きがなんぼのもんじゃい」と思っています。

資格や肩書きはただの帽子で、使えるときは有効に使えばいいのですが、それ以外では誇示したり、マウンティングするためのものでありません。

その時々で、その帽子をかぶる際に培った知識や経験の引き出しを開けて、さらに新しい視点をどう作れるのか、この場に最適な行動や言動は何か、今後どうしたらいいのか、といった前向きな思考の材料にすればいいのだと思っています。

妻:資格や肩書きには絶対的な効力なんてないよね。
 ただ、それらを盲信したり、信頼感のバロメーターみたいに捉えている人もいるから、その責任は把握しておいた方がいいとは思ってる。

この自己紹介の記事に書いていたように、実際に私も資格や肩書きは多く持っていますが、それを自慢したりする気はさらさらありません。
自分の知識がいくら増えようが、自慢することではないですしね。

その思考の材料や考える元となる手段が増えていくと、次に考えることがどんどん楽しくなりますし、「これとこれがつながる!」「この視点はなかったな」とどんどんと深みが増していくのがいいなと思っています。

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今日はここまで。326日目おわり。
最後までお読みいただきありがとうございました!

それではまた明日。

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【保有資格】
 博士(スポーツ医学 筑波大学)
 日本スポーツ協会公認バドミントンコーチ3
 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
 日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツコーチ
 日本障がい者スポーツ協会公認中級障がい者スポーツ指導員
 日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツトレーナー
 NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
 NSCA認定パーソナルトレーナー
 高等学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
 中学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
 赤十字救急法救急員

【現在の大学担当授業】於:東京経済大学・千葉大学・日本女子体育大学
 <体育実技>
  ●バドミントン ●卓球 ●バレーボール ●トレーニング理論実習
 <ワークショップ科目>
  ●テーピング・マッサージ実習 ●スポーツ医学理論実践
 <講義科目>
  ●健康の科学a ●健康の科学b ●スポーツとの出逢い


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