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運動音痴、笑うべからず

どうも。藁科侑希(わらしなゆうき)です。
普段は大学教員やスポーツ現場でコーチやトレーナーをしております。
今日が537日目のnote投稿です。

本日はこちらの動画を視聴して夫婦でしていた会話から。
妻も大学の教員で、体育・スポーツ分野の専門なのですが、この運動音痴具合に対して「最近は笑えなくなった」と言っていたんですね。

このような番組の構成上、郡司さんのできない様子はエンタメとして楽しまれているのだと思います。
ただ、我々体育・スポーツを専門にしている立場からすると、とても複雑な気分で。素直に笑顔になれるかというとそうでもないかなと思っているんです。

今日はそれはなぜか、という部分に焦点を当てて書いていきます。

●"運動嫌い"や"運動音痴"は周りがつくっている側面もある

まず、このような"運動音痴"あるいは"運動嫌い"な人がどのようにして形成されてしまうかというと。
周囲の要因が強く出ている場合がある、ということがあります。

もちろん、生来から運動やスポーツそれ自体を嫌い、という場合もあるのですがどちらかといえば、後天的にそのような思いを持つことが多いのだと思っています。

その理由としては、以前こちらの記事にもまとめてあります。

要点としては、以下の通りです。

日本での運動やスポーツに対する固定概念が強いこと。
順位づけをする/しないの2項論に固執していること。
学校側が管理や評価をしやすいような構造になっていること。

特に最後の部分がとても日本的で。教師側や学校側が評価しやすいように、数字化されるものを評価対象にしたり、運動が得意・好きな生徒に有利なような絶対評価を採用したりしているんですよね。

また、そのような評価の際や"競争"の際に、「周囲の目に晒される」と自分の劣等感を助長させられた、と感じる生徒・学生もいるのが事実です。
得てして、我々教員側は運動・スポーツが得意な人が多いので、そうした声を封殺していることが見受けられるのですが、それはその1人に真摯に向き合っていないということでもありますよね。

本来、このような体育・スポーツは「楽しむ」ことを目的とすることが求められ、競技スポーツのような勝利至上主義はその中に包含されているものなんですが。
その競技スポーツの部分を、大学体育やそれまでの体育の概念に落とし込みすぎてしまい、本来生涯スポーツや健康のための運動に継続して親しめる機会を損失していることにもなっているんです。

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●小さな"できた"を積み重ねて自信をつける

ちょっと想いが溢れすぎて脱線気味になりましたが。
郡司さんのお話に戻ります。

冒頭にリンクを貼った郡司さんのテニスへの導入ですが。
体育・スポーツに携わる人にとっては、とても良い観点を与えてくれるものだと思っています。
特にコーチングを学びたい人は必見です。

なぜかといえば。郡司さんが「なぜできないのか」「どうやったらできるのか」がこの動画の中に詰まっているんです。

「なぜできないのか」に関して、具体的なポイントをあげるとこちら。
・『打つ』動作の分解と統合ができていない
・動く物体に対しての距離感が掴めていない(両眼視)
・ボールの軌道予測ができていない
・身体位置覚とラケットの位置の統合ができていない
など
「どうやったらできるのか」に対して、テニスのコーチが実践していたいことがこちら
・片手ボールバウンド&キャッチ(ボールの軌道・バウンドになれる)
・両手ボールバウンド&キャッチ(身体位置覚の手とボールの統合)
・前から飛んでくるボールのキャッチ&スロー(自分に対して動いてくる物体への焦点を合わせる)
・ハイタッチ(腕の延長上へ力を伝達し、目標物を「打つ」)
⇨頭上でサーブ(当たる感覚を身体で覚える)
⇨10回ラリー(通常のストロークよりも目に近い位置で捉える|両眼視で捉えやすい位置から始める)

このような整理ができるかと思います。

何より、郡司さんの『できた!』の表情と語感が、このコーチの方の有能さと郡司さんの楽しさを如実に表していますよね。

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●「できる感じがする」を引き出すためのコーチング

そして最後に。

先生の手が持つボールを触るとできる感じがする

この言葉が指導を受けた側から出ること自体が、コーチングとしてとても価値あることだと思っていて。

最終的にコーチができることといえば、指導を受けた側が自分自身の足で立ち、「できる自信」をつけてプレーすることを手助けすることなんですよね。
このできる自信というのを、運動音痴の方は感じるまでの工程が多かったりするので、コーチ側もやる側も諦めてしまうことがあるんです。

しかしながら。
私も学校体育の現場にいる人間として断言しますが、"絶対にできない"ということは全くなくて。むしろ、「どうやったらできるか」「何からならできるか」ということを一緒に考え、やっていくことで、『小さなできた!』を積み上げることができるんです。

このできるかもしれないという感覚、そしてできた!を積み重ねて自信をつけることを繰り返して、運動や体育・スポーツへの理解や好感が育まれていくのだと信じています。

そのためにも、体育・スポーツに携わる人間として、運動音痴を決して笑わないこと。一緒に並走しながら「できた!」に向けて考え抜けることが求められるのだと思っています。

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今日はここまで。537日目おわり。
最後までお読みいただきありがとうございました!

それではまた明日。

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【保有資格】
 博士(スポーツ医学 筑波大学)
 日本スポーツ協会公認バドミントンコーチ3
 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
 日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツコーチ
 日本障がい者スポーツ協会公認中級障がい者スポーツ指導員
 日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツトレーナー
 NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
 NSCA認定パーソナルトレーナー
 高等学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
 中学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
 赤十字救急法救急員

【現在の大学担当授業】於:東京経済大学・千葉大学・東洋大学
 <体育実技>
  ●バドミントン ●卓球 ●バレーボール ●トレーニング理論実習 ●フィットネス
 <ワークショップ科目>
  ●テーピング・マッサージ実習 ●スポーツ医学理論実践
 <講義科目>
  ●健康の科学a ●健康の科学b ●スポーツとの出逢い


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