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今まで気が付かなかった愛に気が付いた日
その日は、一番上の兄の誕生日。なんとなく重なる予感がしていた。春の穏やかで柔らかい日。兄の誕生日と父の命日。
もう余命わずかと分かっていても、どんな状態であろうとも、自分の親の死は最後の最後までなかなか受け入れられない。
だから親の死を目撃すると、死が一気に自分にとって身近なものになる。さっきまで温かかった体がみるみる冷たくなっていき肌の色が変わっていく姿を見て、もう本当に死んでしまって動かないんだということを受け入れた。
30年の長い戦いが終わった
やっと死んでくれた───
母へのDV。お金の問題。他にも沢山の問題。我が家の問題だった父からすべて解放されたのだ!今まで何回アタマの中で父を殺してきたことか!
「今までありがとうね」
母も私も泣いていた。
父も目尻にうっすら涙をためて泣いていた
「やっぱり私は、この父でよかったんだ」
広い病室を見渡して、他の余命わずかな患者を見た時に、何故か肚落ちした。
生きている間、家族を泣かせ続け
死んでからも、家族を泣かせた父
ひどい父親だったけど
「それだけではない」ということが
分かっていたのかもしれません。
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