病葉のダンス

コラムを書いています。 ‘’何気ない日常を特別に変えてしまうあなたへ‘’

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星の光は遅れて届く。

どうやら太陽が沈むことはないらしい。僕らが住む地球が自転しているのみで、太陽が決して動いているわけではない。だから「人間は太陽が勝手に沈み、次第に明けると思っている」と太陽が知れば、きっと怒るでしょう。動いているのはあなたの星で私が沈むことはないのだから。 人間は夜明けが好きな生きものだ。暗闇を抜け出し新たな光を浴びるその瞬間が好きなのだ。無情にも夜明けは誰にでも平等にやって来る。 診断を待つその日にも私には朝が来て、夜が来た。 先生、僕のパニック障害は治るんでしょうか?

    • 糸を渡す

      先日、祖父の訃報の知らせがあり、急いで支度を済ませ釧路を発った。祖父は言葉通り『優しくて強い人』だった。人への礼儀や、山での暮らし方、地域の文化や風土に至るまで、田舎暮らしにおける知恵をたくさん教えてくれた。地域の地区会長まで務めた祖父はことあるごとに、地域の人に支えられた自らの人生を、大好きな日本酒を片手に私たち家族へ熱く語ってくれた。葬儀は親戚・近隣住民をはじめ、多くの人で会場が埋め尽くされた。久しぶりに再会した親戚と話す中で、祖父は生前、遠く離れた地で暮らす孫(私)が心

      • 体長4m以上のものをクジラ、それ以下をイルカと名付けるのはあまりにも人間の勝手がすぎる。

        タイトル通り、海洋生物であるクジラとイルカの分類について僕はずっと不満があります。 現状認識 現在、イルカとクジラは一般的に体長によって区別されます。体長が4m以上のものをクジラと呼び、それ以下のものをイルカ、と呼びます。しかし、科学的な分類においては、両者は同じ鯨類に分類されます。 他の特徴で言うと、イルカは魚雷型の体形を持ち、歯を使って獲物を捕食します。一方、クジラは体がより丸みを帯び、鯨ひげ(バレン)を用いてプランクトンや小魚を濾過摂食します。 それって、雑じゃ

        • 『聲と忘却』

          電話で聞こえる声は周波数や発生音の関係で『実は本人の声ではない』という話を思い出し、この記事を書いています。 思えば、声は人間の心に深い印象を残すなあと感じます。古い友人の声や愛する人の声を忘れてしまうという経験は、私たちにとって喪失の象徴です。『声』は、私たちが他者とつながり、共感し、愛し合うための鍵となります。しかし、時が経つにつれて、その声は徐々に忘れ去られてしまうことがあります。 忘却のプロセスにおいて、その1番最初が声だと信じているのはなぜなのか、ここ数年疑問に

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        星の光は遅れて届く。

          九相図に見る生と死の寓意

          人生は不可逆の時間の連続で、全てのものが徐々に朽ちていく。樹木も、街並みも、そして人々も例外ではない。この儚さこそが、生の本質であり、美しさでもある。25歳にして、私は最近、この朽ちる過程の中にある美しさについて考えることが増えた。 ある日、散歩中に偶然目にした、サビだらけのビルディング。一見すると荒廃しているように見えるかもしれないが、私はそれに魅了された。なぜなら、そのビルディングも、私と同じように朽ちていく最中だからだ。 九相図において、「錆」は一つの要素である。錆

          九相図に見る生と死の寓意