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わかおの日記43

今日から授業が始まった。久しぶりに勉強をしなくてはならぬ。夏休みボケした頭を奮い立たせてぼくはパソコンの前に向かった。

昨日抽選に外れ、仕方なくとった教育学の授業が意外にいいものだった。内容もそれなりに面白そうであるし、期末レポートは映画を見て感想文を書くだけという、非常に良い授業である。これはぼくの邪推であるが、そんなに偏差値の高くない大学から来ている非常勤の先生が担当する授業は易しめになるのではないか。なかなか好調な秋学期の滑り出しができたとおもう。

外は豪雨なので、この好機を逃すまいと、バイトの原稿にとりかかった。昨日のあがきが功を奏したのか、全編書き直しの刑は免れたので、著作権に引っかからないように、ちびちびと原稿を書き直していった。こういう作業は集中するまでが大変である。コーヒーを大量に飲み干して、なんとか重たい頭をスッキリさせることに成功した。

原稿が一段落して、さあてギターでも弾こうかなと思っていたら、バイト先の塾から電話がかかってきた。嫌な予感を強く感じながら電話に出ると、今日これから授業のはずだけどなにしてんだお前はという旨の連絡だった。ぼくの手元の出講表には何も書かれていないが、どうやらぼくが先週、口約束で引き受けてしまったらしい。しかたないのでぶつぶつ文句を言いながら、ぼくは田無へと向かった。

逆ギレしながら職員室に向かうときと同じような心境で塾に向かい、ふてぶてしく授業をしていたが、僕と対照的に教え子はやる気に満ち溢れている。どうしてこのガキはこんなに張り切っているのだろうと思い生徒ファイルを確認したら、前回の模試の成績が急上昇していた。前から頑張っていた子なので、よくやったなあと思い少し感動した。無理矢理出講させられたことなど、どうでもよくなった

大抵の中学受験生と違い、彼は主体的に勉強をすることができるタイプなので、ぼくはいつか彼の成績は伸びると思っていた。そうしたらその通りになったので非常に誇らしかった。やはり勉強はやらされてするものではないのだ。これだけは確かなことである。 ひとたび成功体験を味わったからにはもう大丈夫だろう。
大きな鞄を背負った小学生たちに囲まれながら、ひとりの人間の大きな契機に立ち会えてよかったなあとしみじみ思った。

追伸 数列は私文涙目やて

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