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営業とマーケティングの違い #108 デマンドジェネレーション

マーケティングですが、日本においても多くの企業が取り組み始めているかと思います。
しかし、10年くらい前だと、マーケティングのことを市場調査のことだと真顔で答える人も少なくないほど遅れていました。

現在でも、マーケティングの本質を理解している人はまだまだ少ないと感じています。
実際、デジタルマーケターを名乗って上から目線の方でも、マーケティングに関しては初心者レベルの方は少なくありません。
マーケターを名乗る以上は、デジタル以前に、まずは、マーケティングの知識を高めることを疎かにすべきではないと思います。

そう言う私も大きな失敗をしました。
マーケティングの専任スタッフを規模の小さな企業という単純な理由で、営業部門の傘下に置いてしまったのです。

そもそも、マーケティングと営業は、似て、異なるものです。
どちらが上でも、下でもありません。
対等な関係であるべきです。

結果、マーケティングは、営業部門配下の道具となってしまい、思惑の成果を得ることはできませんでした。

営業とマーケティング、それぞれの違いを表現する、しっくりとくるフレーズがあります。

セールス(営業)は売る
マーケティングは売れる

シンプルに、それぞれの違いを表現してくれていると思います。

企業が社会における存在意義を示すには、まず、他社にはない独自の強みである価値を構築することが重要です。
しかし、どんなに優れた価値であっても、それを顧客が望んでいただければ宝の持ち腐れとなってしまいます。
マーケティングでは、この価値を活かして顧客のニーズに合った提案をします。
結果、その提案が顧客に認めてもらえたら、マーケティングの本質である自然と売れる仕組みづくりが成立することになります。

従来、生産性を高めるためにデジタル化や機械化の推進が課題となっていました。
しかし、現在の日本経済では、労働力不足が大きな問題となっています。
完全に待ったなしで、多くの職種で、それを補う意味デジタル化あるいは機械化が進んでいます。

そうなった場合に、営業職はどうするのかです。
実際に、インターネット通販などでは、営業職が不要なビジネスモデルもあるかと思います。
しかし、BtoBのビジネスモデルなどでは、まだまだ対人による営業活動に依存するところが少なくありません。

アプローチ手法には、大きく分けて、パーソナルアプローチマスアプローチがあるとされています。

パーソナルアプローチは、営業パーソンが顧客や見込み客に対して、訪問して、ほぼ、マンツーマンで提案するものです。
この場合、コンバージョン率(制約率)は高くなると言われています。

対して、マスアプローチは、不特定多数が対象となります。
従来は、テレビや新聞、雑誌などの広告が主でしたが、最近は、インターネットなどを駆使したデジタルマーケティングが一般的となりました。
この場合、広く多くの人たちに提案を拡散させることは可能ですが、コンバージョン率は低くなると言われています。

もちろん、業界にもよりますが、どちらの手法が優れているのかではありません。
しかし、従来、日本にはマーケティングと言う考え方がなく、アプローチ手法といえば、パーソナルアプローチのみに委ねられていました。

そのため売上を上げるには、営業パーソンが、一件、一件、お客様に訪問して商談するのが一般的でした。
売上は、概ね訪問件数と比例することから、成績の優れた営業パーソンは例外なく訪問件数が多くなり、そのような営業スタイルをドブ板営業と称されたりもしています。

パーソナルアプローチだけで売上を高めようと考えた場合に ①時間的制約 ②経済的制約 ③精神的制約 があるといわれています。
しかし、訪問件数を多くしようにも、必ず時間的な限界があります。
無理に増やそうものなら、1件あたりの商談の質あるいは、コンバージョン率を落としてしまいかねません。

マーケティング先進国である米国では、マーケティング関連に投じたコストの費用対効果を観測するKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)

として、ROMIを用いることが増えています。
ROMIとは、Return On Marketing Investmentの略で、マーケティング投資回収率のことです。
訪問件数を増やすことで、旅費交通費、残業などの経費が増えてしまいかねません。

さらに、パーソナルアプローチは、当然、生身の人間が行います。
常に限界に近い多くの訪問件数を維持しようとすれば、精神的あるいは身体的な負担も高まるともいえます。

しかしながら、だからと言って、営業パーソンを増員しては、ROMIを圧迫させてしまうジレンマに陥ることになります。

そうなった場合には、正にマーケティングが重要になってくると考えています。

これはデマンドジェネレーション(需要創出)という考え方です。
仕組みのイメージは、じょうご(funnel)です。

SNSなどのデジタルツールや展示会などの広報活動で、広く情報を発散させ、そこからの①レスポンスにより見込顧客の情報を入手します。(②リードジェネレーション)

しかし、この段階では多少の興味をお持ちであっても購入にまでは至りません。
下手に営業を掛けようものなら、煩わしがられ、不快に捉えられるだけです。
そこで、継続的に情報をご提供したり、困っていることなどの情報を得るなどの啓蒙活動を通して関係性を育成して行きます。(③リードナーチャリング)

ここから、購入意識が高い見込顧客に絞り込むことになります。(④リードナーリードクオリフィケーション)

営業パーソンは、この購入意識の高い相手だけに集中して ⑤パーソナルアプローチを実施しますので、商談の質が高まり成約率も上がると考えます。

また、現代の大きな問題に労働力不足があります。
営業職の不足も例外ではありません。
このマーケティングのデマンドジェネレーションの仕組みが確立できたら、営業職の労働力不足を補うことが可能となると考えいます。

これは、一例ですが、マーケティングと営業は、それぞれ別の役割を担っています。
しかし、それぞれの役割が上手く噛み合わなければ、逆に生産性を落としてしまうことになります。

故に、マーケティングと営業は、車の両輪と言えるのかと思います。

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