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創作物(詩)

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#ナンセンス文学

【詩】詩篇2023

 2023年に書いた詩群。
 音楽ジャンルで言えばグラインドコアか?

「入会」
「公園」
「人格排除センター長はずるい」
「足の裏に」
「愛妻家」
「橋が落ちた」
「時計」
「応じても仕方のないピンポン芸を許すのは一心同体」

  入会

ハイエナに食わせる虫たちを両手いっぱいかき集めている若い女の腕を洗っているのは
蛇口の横でいつも水筒に口をつけている
囚人かつ夫人である友人 受け答えだけはわ

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【詩】詩篇2022

 2022年に書いた詩群。

 「子らしき音」
 「出発」
 「月」
 「口裏」
 「残響炎」
 「田舎」
 「時間短縮」
 「洞穴」
 「人魚」
 「俺の分身が隣でむごく殺されるのを見せつけられるだけの人生を面白がって生きているだけの分身であるところの俺の隣でむごく殺されていくのを見せつけてくる分身の退屈そうな人生」
 「農舎」
 「事故詩」
 「恋」

  子らしき音


子の声を聞きつける

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【詩】破水

  破水

知らない乞食が垂らした洟を
すくいあげまいと拒んでみろよ
少女の群れが巣に戻れずに
道にたむろする羽目になる

よお汚い涙を恥ずかしげもなく流しっぱなしで消えようとする厚化粧したガキみたいな真似をしてみろよ
もう他人じゃない乞食の良心次第でいつでも足止めさせて恩を着せてやろう

死なせたくなる
魅力をたたえた
顔をいくつでも
飲み込んでくれる
海のように深い
粘液を
すくいあげまいと拒

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【詩】牛

  牛

 おう 放火魔が漏らした小便 破水に似ている 液漏れした乾電池に降り注げば どこからどこまで体液なのか 分からなくなってくれそうな 段取りの悪い排泄者の 苦し紛れの殺虫ごっこに ライターの火を近づけるのが 善意
 放火 犯行予告が好きなラジオを 乳頭に押し当てている 牛のような女の脳漿 体液に似た味がしている 堕ろされて間もない 経血
 将来、兵士になるはずだった精子が、コンクリートの隙

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