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父と母とバレンタイン

母の命日が近付いている

亡くなる前に母は職場の方に
お父さんにバレンタインのチョコを買って帰る
と言って帰宅したらしい

父と母の部屋の片隅には49日が過ぎるまで母の買ったチョコが置いてあった

いつ父がチョコを食べたのかは分からないが
そのうち無くなってるのを見て
どんな気持ちで食べたのだろうと考えると
胸が苦しかった


そこから母の命日にお供えを贈るのと一緒に
父へのチョコも贈るようになった

渡す前に途絶えてしまった母の気持ちと
父が寂しい気持ちにならないように
娘の私からと言うより、母の代わりに
勝手に母の代行をする気持ちで贈った

つまり、私のエゴ。

これを18年ほど続けたのだろうか

昨年、私が私を縛っていると気が付き
母から父へ
ではなく
娘の私から父へのバレンタインのチョコでいいじゃないかと思えた

そこからバレンタインが近付く事も不安ではなくなったし
母の無念や父を安心させたいと言う私の考えた
勝手な決まり事、余計なお世話から解放された

母の代わりが出来るとも考えてはいなかったが
父にはあの日を思い出し
寂しい思いをして欲しくなかった

昨年からは娘からのチョコ
お父さんいつもありがとうのチョコ

今年も届いたよ!と父の元気な声を聞けて嬉しい

お父さんにはバレンタインチョコ
お母さんには美味しいお菓子のお供え

父と母とバレンタイン時々、私








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